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人間の里
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水橋 パルスィ:
盗みの予告をするなんて怪盗らしいけど、
勝手なことをしてくれたわね。
水橋 パルスィ:
大切なのは、バレンタイン自体を潰すことよ。
姉のチョコだからって、こだわる必要ないわ。
依神 女苑:
私は、のんきな姉の態度が気に入らないだけ。
ぎゃふんと言わせたら、元の方針に戻るわ。
依神 女苑:
(そうよ。私は姉さんをへこましたいだけ。
チョコさえ盗めば、すっきりするわ……)
水橋 パルスィ:
J、隠れて! 誰か来たわ!
鈴仙・優曇華院・イナバ:
チョコレート怪盗団!
このあたりに潜伏してるのは、お見通しよ。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
貴方たちが求めているものは、
迷いの竹林にあるわ。いつでも来なさい!
水橋 パルスィ:
行ったようね……。
でも、完全に罠だわ。J、どうする?
依神 女苑:
予告した以上、覚悟の上よ。
罠をぶち破って、華麗に盗んでやる。
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迷いの竹林
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依神 女苑:
姉さんのそばには、天人がいるだけ。
チョコは持ってきてるみたい。
水橋 パルスィ:
永遠亭のウサギが見当たらないわね。
間違いなく、どこかに隠れてるわよ?
依神 女苑:
あいつは、音波か何かで位置を探ってくるわ。
私たちが隠れる意味は、ほとんどない。
水橋 パルスィ:
となると、正面突破しかないわね。
上手く接近できたら、あとは私に任せて。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
やっぱり来たわね。
てゐ特製の竹林トラップ、起動!
水橋 パルスィ:
頭上から投網よ! 止まらずに進んで!
依神 女苑:
よし、避けたわ。
……って、今度は足下に落とし穴よ!
水橋 パルスィ:
ふんっ。落とし穴なんて、
穴に落ちる前に飛べば、問題ないわ。
水橋 パルスィ:
この程度の罠で止めようなんて、
私たちも見くびられたものね。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
てゐのトラップじゃダメかー。
そこそこ期待してたんだけど……。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
でも、私の見立て通りなら……。
依神 女苑:
もう罠は品切れみたいね。さあ、姉さん。
そのチョコを大人しく渡しなさい。
依神 紫苑:
女苑。このチョコは……。
比那名居 天子:
こいつらは、ユメミタマに憑かれてるんだ。
説得したところで無駄だよ、紫苑。
水橋 パルスィ:
その余裕そうな態度……妬ましい。
嫉妬心を増幅させて、同士討ちするといいわ!
比那名居 天子:
うっ!? うぅ……。
水橋 パルスィ:
さあ、お互いに嫉妬しなさい。
攻撃し合い、潰し合い、憎しみ合い……。
比那名居 天子:
なーんてね。
悪いけど、効果ないから。
水橋 パルスィ:
……き、効いてない!?
水橋 パルスィ:
う、嘘よ……。どんなやつでも、
多かれ少なかれ嫉妬心は持ってるはず……。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
やっぱり力を使ったわね。あれから調べたけど、
今までの盗みでは必ず使ってたものね。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
言っておくけど、この二人は例外よ。
そもそも、天人が貧乏神に嫉妬すると思う?
鈴仙・優曇華院・イナバ:
それに貧乏神の方は、天人を心から尊敬してる。
私には、それが波長でわかるの。絶対よ。
依神 女苑:
は、はは……。なにそれ。
嫉妬ゼロの信頼関係なんて、冗談じゃないわ。
水橋 パルスィ:
J、何してるの!? 早く逃げなくちゃ……。
きゃっ!?
鈴仙・優曇華院・イナバ:
あら、取り押さえた瞬間に気絶したわ。
弾幕の直撃を受けて、限界だったみたいね。
依神 女苑:
P!? 目を覚まして!
わ、私だけでも逃げないと……。
比那名居 天子:
おっと、そうはさせないよ。
依神 紫苑:
女苑。今、助けてあげる。
天人様、私といっしょに!
比那名居 天子:
お前から先に、浄化させてもらおうか。
それじゃあ……。
二人:
ダンマクカグラ!!