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玄武の沢
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上白沢 慧音:
不吉な気配を追ってきたが……。
あいつの姿が見えないな。
アリス・マーガトロイド:
ねえ、あそこに倒れてるの!
鍵山 雛:
う、ううっ……。
上白沢 慧音:
どうした!? 何があった!?
聖 白蓮:
とにかく、この場から離れましょう。
悪い予感がします。
アリス・マーガトロイド:
流し雛を置いてきちゃったけど、
大丈夫かしら?
聖 白蓮:
確かに気にはなりますが、それよりも今は……。
鍵山 雛:
くっ……私としたことが……。
上白沢 慧音:
よかった。気がついたか。
鍵山 雛:
里の先生に……貴方たちは……。
どうやら、助けられたようね。
上白沢 慧音:
いったい何があったんだ?
鍵山 雛:
流れてくる雛人形の厄が多すぎて、
受け止めきれず、力が抑えきれなくて……。
鍵山 雛:
里に溜まった厄を全部すっきりさせようって、
私が言い出したことなのに……ごめんなさい。
上白沢 慧音:
遅かれ早かれ、厄の対処は必要だったんだ。
きみは何も間違ってない。それよりも……。
聖 白蓮:
流し雛は中止した方が賢明ですね。
鍵山 雛:
ええ……。ただ、今まさに流れてきてる
流し雛だけは、対処しないといけないわ。
鍵山 雛:
集まって強力になった厄は、
どんな災いを引き起こすかわからない。
聖 白蓮:
もしかしたら、会場の人たちにも危険が……。
でも、その身体で持ちこたえるのは無茶です!
鍵山 雛:
ゆっくり少しずつ吸収すれば、
あと二時間くらいは、厄を受け止められるわ。
上白沢 慧音:
に、二時間……!
その間に解決法を探すしかないのか……。
アリス・マーガトロイド:
とにかく、厄が多すぎるのがよくないのよね?
それなら一旦、別の何かに移してみるのはどう?
アリス・マーガトロイド:
何かに移して、一時的に封印する。そのあと、
祈祷でもなんでも、ゆっくり対処すればいいわ。
鍵山 雛:
確かに、それがいいかも。新しい雛人形を
たくさん用意すれば、可能だと思うわ。
鍵山 雛:
ただ、インスタントやリサイクルでは、
長時間、厄を封じるには力不足だと思う。
アリス・マーガトロイド:
大量、かつ高品質に……。
難題だけど、やるしかないわね。
上白沢 慧音:
手伝ってもらえるのか?
アリス・マーガトロイド:
ここで手を引くやつなんて、いないわよ。
聖 白蓮:
私もお手伝いさせていただきます。
とても見過ごせません。
上白沢 慧音:
なんて心強い……。
二人とも、お力添え感謝します!
アリス・マーガトロイド:
人形の大量生産なんて、
私以上の適任はいないでしょ?
聖 白蓮:
妖怪と人。
等しく救うことが私の信条ですから。
上白沢 慧音:
では、我々は人形を作るために、
一旦、祭の会場へ戻るとしよう。
上白沢 慧音:
流し雛を任せて、本当に大丈夫か?
鍵山 雛:
厄神のプライドにかけて、
ここは絶対に持ちこたえてみせるわ。
上白沢 慧音:
わかった。時間内に必ず戻る。
二人とも行こう。
鍵山 雛:
私を気遣ったりして、
本当に不思議な人たち……。
鍵山 雛:
さあ、流し雛をなんとかしないと。
これは、私にしかできないことだもの……。