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ひな祭り会場
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上白沢 慧音:
ひとまず、流し雛は中止にできたな。
参加者は残念そうにしていたが……。
上白沢 慧音:
川の途中で流し雛が詰まってる……なんて、
我ながら苦しい言い訳だ。
アリス・マーガトロイド:
仕方ないわ。これ以上続けてたら、
実際にそうなってたでしょうし……。
アリス・マーガトロイド:
それより、雛人形の材料なんだけど、
命蓮寺の住職さんに心当たりがあるそうね。
上白沢 慧音:
らしいな。そちらは彼女に任せて、
私たちは大量生産の方法を考えねば……。
アリス・マーガトロイド:
私一人じゃ、さすがに間に合わない。
結構な人手が必要よ。
上白沢 慧音:
人手か……。
上白沢 慧音:
そうだ!
人手なら、この場に十分いるじゃないか!
アリス・マーガトロイド:
なるほど、その手があったわね。
聖 白蓮:
お待たせいたしました。
こちらをお使いください。
アリス・マーガトロイド:
ずいぶんと豪華な着物ね。
生地も上等で新品みたい。しかも大量に……。
上白沢 慧音:
これは……等身大ひな壇の衣装では?
アリス・マーガトロイド:
じゃあ、今日のために仕立てたやつ!?
これから毎年使えそうなのに……。
聖 白蓮:
喜捨も、また修行ですから。
上白沢 慧音:
ありがたく使わせていただきます。
では……。
上白沢 慧音:
これより、アリス・マーガトロイド先生による
『雛人形の手作り教室』を開催いたします!!
上白沢 慧音:
参加費は無料! 流し雛がお済みの皆様は、
この機会にふるってご参加ください!
聖 白蓮:
なるほど。無料のイベントを装って、
人手を借りてしまおうという作戦ですね。
上白沢 慧音:
だましているようで少し気は引けますが、
事実を伝えても混乱を招くばかりなので。
アリス・マーガトロイド:
それにしても、アリス先生って……。
お祭りの参加者A:
アリス先生。
子供たちと人形を作りたいのですが……。
お祭りの参加者B:
アリス先生!
うちも家族で参加していいでしょうか?
アリス・マーガトロイド:
わかった! わかったわよ!
道具と材料を配るから、みんな席に着いて。
上白沢 慧音:
私も裁縫の心得はある。
教える側に回ろう。
聖 白蓮:
では、私は門徒たちを参加させます。
そちらの指導は、お任せください。
アリス・マーガトロイド:
じゃ、始めていきましょうか。
人形たち、衣装を解体しなさい!
お祭りの参加者B:
すごいっ!
あっという間に衣装がバラバラに……!
アリス・マーガトロイド:
道具と材料は、行き渡ったかしら?
アリス・マーガトロイド:
人形たち。それぞれのテーブルで
みんなに作り方を見せてあげて。
お祭りの参加者A:
目の前で、お手本を見せてくれるのね。
これなら子供たちにも、わかりやすいわ。
聖 白蓮:
作り方の手本を見せている人形たち。
あれらを一人で操ってるのですよね?
上白沢 慧音:
人形劇や弾幕ごっこ以外で見るのは
初めてですが、見事なものです。
聖 白蓮:
では、私は門徒たちの方へ。
何かあったら呼んでいただければ……。
藤原 妹紅:
やあ、慧音。こんな所で何してるんだ?
上白沢 慧音:
ちょうどよかったです。
妹紅も人形作りを手伝ってください。
藤原 妹紅:
人形作り?
やだよ、裁縫なんてチマチマしたこと。
上白沢 慧音:
焦げた袖を、いつも誰が繕ってあげてると?
藤原 妹紅:
うぐっ……。
わ、わかった。布を切るくらいなら。
上白沢 慧音:
それでこそ妹紅です。
はい、布はたっぷりありますよ。
藤原 妹紅:
で、何か理由があるんだろう?
あとで、ちゃんと話してくれよ。
上白沢 慧音:
ええ。事は一刻を争います。
手を動かしながら聞いてください。