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玄武の沢
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アリス・マーガトロイド:
霊夢に退治してもらうって、弾幕ごっこで
勝負して、懲らしめるわけじゃないわよね?
上白沢 慧音:
意思疎通のできる相手ならそれで済むが、
完全に暴走してる状態では……。
藤原 妹紅:
身体に溜まった厄ごと、存在を消滅させる。
厄だけ払うより、確実だし手っ取り早い。
聖 白蓮:
それだけは避けねばなりません。
鍵山 雛:
……ご、ごめんなさい。
厄を、抑えきれ……なかった……。
上白沢 慧音:
気がついたのか!?
鍵山 雛:
ええ……でも、一時的に戻っただけ。
きっと、すぐにまた我を忘れちゃう。
鍵山 雛:
貴方たちには、迷惑かけてばかりね。
ひな祭りの準備とか、流し雛の修理とか……。
鍵山 雛:
だからってわけじゃないけど……。
私、退治されるのも覚悟の上よ。
藤原 妹紅:
おい、正気か!?
妖怪が退治を受け入れるとか……。
聖 白蓮:
捨身の精神ですか……。
鍵山 雛:
元はといえば、私が厄の吸収を焦ったから。
自分の責任を取るだけよ……。
上白沢 慧音:
それでも……私は受け入れたくない。
きみが消えていい道理なんてない!
鍵山 雛:
なんにせよ、早く決めることね。
余計な犠牲が出ないうちに……。
上白沢 慧音:
おいっ! 気を確かにっ!
くっ……ダメか……。
アリス・マーガトロイド:
……試したいことがあるの。
慧音は私と一緒に来てくれる?
上白沢 慧音:
あ、ああ……。わかった。
アリス・マーガトロイド:
これから、私と慧音は祭の会場に戻る。
ここは二人に任せて構わない?
聖 白蓮:
ええ。もとより結界を維持するため、
この場から動けませんから。
藤原 妹紅:
任せろ。足止めくらいは、できるはずだ。
アリス・マーガトロイド:
慧音、急ぎましょう!
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ひな祭り会場
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お祭りの参加者B:
流し雛が中止になったの、
厄神様が怒ったからって噂が……。
お祭りの参加者A:
祟りにでもあうんじゃ……。
ここにいて、大丈夫かしら?
アリス・マーガトロイド:
異変に気づかれたようね。
まずいわ……。混乱が広がり始めてる。
上白沢 慧音:
すぐに始めよう……。
みんな、話を聞いてくれっ!
上白沢 慧音:
流し雛が中止になったこと。
すでに知っていると思う。
上白沢 慧音:
それは今まさに、厄神様が命がけで
恐ろしい量の厄と戦っているからなんだ。
上白沢 慧音:
私たちは一度、助けに向かったが、
雛人形の力が足らなくて戻ってきた。
アリス・マーガトロイド:
厄神様を助けるには、もう一度、
新しい雛人形を作る必要があるわ。
アリス・マーガトロイド:
でも、私たちだけじゃ間に合わない。
みんなの力が、どうしても必要なの!
上白沢 慧音:
お願いだ……また私たちに力を貸してくれ!
お祭りの参加者B:
……展示していたものでよかったら、
うちの着物を雛人形の材料に!
お祭りの参加者A:
私、祟りなんて失礼なことを……。
何か手伝えれば……!
上白沢 慧音:
感謝の言葉もない……。
よし、勝負はこれからだ!
アリス・マーガトロイド:
材料も道具も全部そろった。
全力を出すなんて、柄じゃないけど……。
アリス・マーガトロイド:
作ってやろうじゃないの。
厄神様を救う、等身大『雛』人形を!