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玄武の沢
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アリス・マーガトロイド:
う、うーん……。
私、いったい何を……。
上白沢 慧音:
よかった。気がついたか。
アリス・マーガトロイド:
私、気を失ってたのね……。
上白沢 慧音:
雛と同じように、厄で暴走してたんだ。
でも、もう大丈夫。一件落着だ。
上白沢 慧音:
厄は等身大雛人形に吸い取らせたから、
あとは雛が、ゆっくり吸収しなおすだけ。
上白沢 慧音:
長年、里に溜まっていた厄も、
これで綺麗さっぱりなくなるだろう。
アリス・マーガトロイド:
それはよかったけど……、
おでこが妙にズキズキするわ。
上白沢 慧音:
すまない。手加減できなかった。
アリス・マーガトロイド:
ま、いいわ。ありがと。
厄は抜けてるようだしね。
藤原 妹紅:
慧音の頭突きは効くからなぁ……。
衝撃で、厄が吹っ飛んだんじゃないか?
上白沢 慧音:
厄は貴方の雛人形で
ちゃんと吸い取ったでしょう?
聖 白蓮:
私はあの雛人形、
味があって可愛いと思いますよ?
鍵山 雛:
私はもう平気よ。ゆっくり休んでから、
雛人形の厄を吸収するわ。
鍵山 雛:
みんなはその間に、
中断したひな祭りを仕切り直して。
上白沢 慧音:
ああ、任せろ。
このまま終わりでは、すっきりしない。
上白沢 慧音:
それに……ほら、
やり忘れたことがあるだろ?
アリス・マーガトロイド:
あー、あったわね!
自分のことなのに、すっかり忘れてた。
聖 白蓮:
これも何かの縁……。
最後まで、ご一緒いたします。
藤原 妹紅:
しかたがない。やることやって、
さっさと宴会でもしようじゃないか。
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ひな祭り会場
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アリス・マーガトロイド:
アクション人形劇、新訳・桃太郎!
午後の公演、開幕よ!
藤原 妹紅:
私らの弾幕を劇の演出に使うなんて、
面白いことを考えるもんだ。
聖 白蓮:
協力してくださった皆様へ、
恩返しのつもりで務めさせていただきます。
上白沢 慧音:
避難していた人たちも戻ってきたな。
よし、ここからまた盛り上げるぞ!
アリス・マーガトロイド:
さあ、まずは午前公演の振り返りから。
三匹のお供たちに命を救われた桃太郎は……、
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数日後 アリスの家
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アリス・マーガトロイド:
ひな祭りに人形劇、ともに大盛況で
終わったことを祝して……かんぱーい!
三人:
かんぱーい!
鍵山 雛:
かんぱーい……。
アリス・マーガトロイド:
茶葉のブレンドがお気に召さなかったかしら?
それとも、厄の影響が残ってて……。
鍵山 雛:
ううん、紅茶はちゃんと美味しいわ。
それに身体の方も大丈夫。
鍵山 雛:
等身大雛人形に封印されてた厄も、
すべて私の力に変えることができた。
鍵山 雛:
だから、むしろ元気が余ってるくらい。
でも私、大変なことをしちゃったでしょ?
上白沢 慧音:
そんなことだろうと思って、
里の人たちから手紙を預かってきた。
鍵山 雛:
手紙?
上白沢 慧音:
無病息災に過ごせたのは、厄神様のおかげです。
……これは子供を持つ母親からの手紙だ。
上白沢 慧音:
雛人形は使い回さないよう心がけます。
……これは呉服屋の若旦那から。
上白沢 慧音:
やくじんさま、いつもありがとう。
……これは里の子供からだな。
上白沢 慧音:
手紙はまだまだあるが、
これくらいにしておくか。
鍵山 雛:
そう……これで流し雛は来年も続きそうね。
厄不足にならないなら、私はなんでもいいけど。
聖 白蓮:
私にはわかっていますよ。
貴方の人を想う心が……。
藤原 妹紅:
今日くらいは、嫌われ者を気取らなくても
いいんじゃないか?
鍵山 雛:
も、も~~っ!
上白沢 慧音:
では、改めてお茶会を楽しむとしよう。
アリス・マーガトロイド:
次の人形劇のアイディアも
みんなに聞いておきたいしね。
鍵山 雛:
はい! それならいい考えがあるわ。
えーとね、まずは妖怪と人間が……。