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人間の里
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稀神 サグメ:
里を覆うユメミタマの原因が……、私!?
村紗 水蜜:
そうです。貴方に憑りついたユメミタマが、
他のユメミタマを里に引き寄せているんです。
村紗 水蜜:
そして、そのユメミタマたちこそが、
人や物の本来の姿を隠しているのです。
多々良 小傘:
ええ!? この人、ユメミタマ憑いてたの!?
それ、大変じゃない!
チルノ:
んー? でもどうして、そいつのユメミタマが、
他のユメミタマを引き寄せてるってわかるんだ?
村紗 水蜜:
はっきりとしたことは言えませんが、
サグメさんには、心当たりがあるはずですよ。
村紗 水蜜:
ユメミタマが再現している建物は、
里とは異なる文化の建物です。
村紗 水蜜:
それは、月の世界でよく使われている装飾や、
建築様式ですよね? サグメさん?
稀神 サグメ:
確かに建物の違和感には気がついていたわ。
だけど……!
稀神 サグメ:
(そう、気づいていたはずだわ。あれらは、
すべて私が声をかけたものじゃないの……!)
村紗 水蜜:
すでに猶予はありません。
一刻も早く、貴方を浄化させてもらいます!
稀神 サグメ:
待って! 私のユメミタマが原因なら、
すぐに浄化してはいけない!
村紗 水蜜:
この期に及んで、
まだ研究を続けるとでも言うつもりですか!
稀神 サグメ:
違う! 私を浄化すれば、私の言葉で
荒れ果てた建物が、全部あらわになってしまう!
稀神 サグメ:
そうすれば、家を失った人が一斉に現れて……、
里は大混乱になってしまうだろう!
村紗 水蜜:
む……、それは確かに。
ならば、どうするつもりなんですか?
稀神 サグメ:
この状況を、逆に利用すればいい。住人は助けて、
建物はユメミタマが生み出したものを使うの。
稀神 サグメ:
二度と傷むことのない不滅の建物が使えれば、
里にとっても有益なはず。そうでしょう?
聖 白蓮:
いいえ。その提案は、受け入れられません。
稀神 サグメ:
……なぜ? 朽ちることがなければ、
失うことに悩まなくて済むでしょう?
稀神 サグメ:
それに、ユメミタマを浄化する労力も不要。
今は、時間も惜しいはずでは?
聖 白蓮:
人も物も、絶えず変化し続けていく。
だから幻想郷は……、この世界は美しいのです。
聖 白蓮:
貴方が引き寄せるユメミタマが作る里は、
偽りにすぎません。
稀神 サグメ:
そ、そんなこと……っ!
聖 白蓮:
もうエイプリルフールは終わり。
ウソをつくのは、そろそろやめませんか?
稀神 サグメ:
……そう、ね。
私は、この口を……もう閉ざすべきだわ。
稀神 サグメ:
少し、夢を見すぎました。
自由に話せることに、はしゃいでしまった。
稀神 サグメ:
私が喋れば、運命は歪んでしまうのに。
やはり、私は人と話すべきではなかった……。
チルノ:
んー、よくわかんないけど、
そんなに落ち込まなくてもいいんじゃない?
多々良 小傘:
そうだよ! 喋らないなら、筆談とかもあるし!
今日のお礼に、筆とか作るよ!
クラウンピース:
今日のことが、全部ウソになるわけじゃないしね。
これが解決したら、また遊ぼうよ!
稀神 サグメ:
(ありがとう、みんな。彼女たちのためにも、
私も夢から覚めて、やるべきことをしないと)
稀神 サグメ:
時間がありません。浄化を始めましょう。
私に憑いている、ユメミタマを。
稀神 サグメ:
(……言及した。私の能力が生きているなら、
これでいい。きっと運命の車輪は逆転する)
聖 白蓮:
覚悟の出来た者の目ですね、わかりました。
いざ、南無三!