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守矢神社
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八坂 神奈子:
ついに、やってきた……。
七年に一度のお祭り、御柱祭!
洩矢 諏訪子:
今回も張り切ってるねぇ、神奈子。
ま、なんだかんだ、うちで一番大きな祭だしね。
東風谷 早苗:
ええ、守矢神社の御柱を建て替える、
とっても大切な行事です!
東風谷 早苗:
山から切り出した樅を曳いて里をめぐり、
時には崖から落とし、川を越えて……。
八坂 神奈子:
そうして地の恵みを得た木を建て、神木とする。
五穀豊穣の願いなんかも込めた、重要な祭だよ。
洩矢 諏訪子:
もう何度目になるかわからないけど、
今回も無事に、柱を建て替えられるといいね。
東風谷 早苗:
はい! 御柱祭が大成功するように、
一生懸命、準備しますね!
東風谷 早苗:
ええっと、樅の大木は諏訪子様が見繕ったから、
あとは綱を編んで、斧を用意して……。
東風谷 早苗:
よいしょっと。それにしても、
やることが多いなあ。……あら?
東風谷 早苗:
これ、何かしら。何かの台?
よくわかんないけど、片付けた方がいいわよね。
東風谷 早苗:
うんしょっ、……あ、あれ?
全然動かない……?
八坂 神奈子:
……な、なんですって!?
東風谷 早苗:
今の声は、神奈子様?
あんなに驚くなんて……。
東風谷 早苗:
あの、諏訪子様……?
何かあったのですか?
洩矢 諏訪子:
ああ、そこのおばあさんが参拝に来たんだけど、
妙なことを言ってて……。
八坂 神奈子:
おばあさん、もう一度聞くけど、
人間の里に、柱を曳いてる人がいたんですね?
老婆:
え、えぇ。御柱祭の時期が来たと仰ってて。
それなら参拝しようと思い、伺ったのですが。
東風谷 早苗:
どういうことでしょう?
私たち、御柱祭の準備を始めたばかりなのに。
八坂 神奈子:
とにかく、祭はまだ始まってないって説明して、
お帰りいただいたわ。
八坂 神奈子:
にしても、里で柱を曳いてる、ねぇ。
そんなことをする人なんて……。
東風谷 早苗:
心当たりがあるんですか?
八坂 神奈子:
さっぱりだね。
どこぞの妖怪が、何か企んでいるのか?
洩矢 諏訪子:
案外、熱心な信者が待ち切れなくて
祭を始めちゃっただけかもよ?
八坂 神奈子:
いずれにせよ、守矢の名を騙るのは許せない。
人間の里へ、様子を見に行きましょう。
多々良 小傘:
よってらっしゃい、みてらっしゃい!
七年に一度の御柱祭が始まったよー!
東風谷 早苗:
ええーっ!?
なんで小傘さんが、御柱を曳いてるんですか!?
多々良小傘:
そりゃあもちろん、
御柱を建て替えるためだよ!
東風谷 早苗:
はい!? そ、そうですけど、そうではなくて!
どうして貴方が、勝手にお祭りを……!
多々良 小傘:
さあさ、どいて! この曲がり角は難所のひとつ!
うっかり轢いちゃっても、知らないわよ。
東風谷 早苗:
きゃっ! ……もう!
悪いイタズラね。さっさと止めなくちゃ!
八坂 神奈子:
早苗、待って。
……あの柱、なんだかおかしいな。
洩矢 諏訪子:
ものすごい妖力だね。いつもの御柱とは、
比べ物にならないくらいの……。
多々良 小傘:
ふっふっふ……その通り。
これは、そんじょそこらの木とは違うのよ!
多々良 小傘:
これは、ロータスの木!
御柱にふさわしい、最強の聖木よー!