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守矢神社
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東風谷 早苗:
この柱……、この甘い匂い!
これ、仙人様が曳いてた柱ですよ!
東風谷 早苗:
神社を囲むように建てられた三本の柱……。
まさか仙人様たちが、これを?
八坂 神奈子:
やられたわ。これはおそらく、
守矢の神域を塗り替えるための策よ。
八坂 神奈子:
柱の位置からして、四本目の柱が建つことで
完成するのでしょう。
東風谷 早苗:
神域を塗り替える……って、
どういうことですか?
八坂 神奈子:
四方の柱は、その内側を神の領域と示す。
そして柱は、神と同一視されるもの……。
八坂 神奈子:
私以外の神が宿る四本目の柱が建ったとき、
守矢神社は、その神の社に成り代わってしまう。
八坂 神奈子:
そして、私は……
神社の主神の座から、引きずり下ろされる。
東風谷 早苗:
つまり……仙人様たちの狙いは、
守矢神社の乗っ取り!? そんな、なんで!?
八坂 神奈子:
あの連中は操られていただけかもしれないが、
今はとにかく、柱をなんとかしなければ。
東風谷 早苗:
はい! ……あら?
柱が建てられている、この台座って……。
東風谷 早苗:
準備のときに見かけたやつだわ!
あの時、壊しておけば……。
八坂 神奈子:
私も確認したけど、厄介な術が
かけられていたから、下手に触らなくて正解だったよ。
八坂 神奈子:
さてと。それじゃあ、私は最後の柱の建立を
防ぎに行く。早苗は……。
東風谷 早苗:
私は、他の柱を見に行ってきます!
そのまま、べきっと折っちゃいますよー!
東風谷 早苗:
この木はたしか、小傘さんが曳いてた……。
多々良 小傘:
来たわね、守矢の巫女。柱を折るつもりでしょうけど、
……やらせはしないわ。
東風谷 早苗:
小傘さん! やっぱり貴方たちが
柱を建てたんですね。なぜこんなことを!
多々良 小傘:
言ったでしょ。
私たちの目的は、柱を建て替えることだって。
多々良 小傘:
そう、柱を建て替える……。
神社の主神を、建て替えてやるのよ!
多々良 小傘:
柱は、すでに三本建った! 真なる守矢の
降臨は近い。今から貴方に、何ができるかしら?
東風谷 早苗:
今の……! そうか、小傘さんは、
ユメミタマに憑りつかれて……!
東風谷 早苗:
じゃあ、この柱もユメミタマによって作られたもの?
……それなら、ダンマクカグラで!
多々良 小傘:
なにをごちゃごちゃ言ってるの?
油断してると、ほら、おねむの時間よ!
東風谷 早苗:
くっ、でも、眠るわけにはいかない……!
目を覚ましてください、小傘さん!
多々良 小傘:
あれ……? ここは?
私、なんで守矢神社にいるの?
東風谷 早苗:
よかった、元に戻った!
でも……柱は、そのままなのね。
東風谷 早苗:
ユメミタマに作られた物ではないの……?
他の柱も確認してみないと。
多々良 小傘:
ええと……巫女さん?
何がどうなっているの?
東風谷 早苗:
ああ、道すがら説明しますね。
今はとりあえず、ついてきてください!
多々良 小傘:
ええっ!? 待ってよー!
八坂 神奈子:
たしかこの辺りに……あった、この台座ね。
まったく、私の神社に余計なものを置いて……。
八坂 神奈子:
……おまえが来ると思っていたわ。
ずいぶん重そうな柱ね。
洩矢 諏訪子:
ありゃ、まさか、お出迎えがあるとは。
全部お見通しってわけ?
八坂 神奈子:
ふざけないで。どうして今さら、
守矢神社の主神に成り代わろうとしているの?
洩矢 諏訪子:
成り代わる? ずいぶんな言いぐさじゃない。
ここは元々、私の神社よ。
洩矢諏訪子:
長いあいだ貸してきたけど、
そろそろ返してもらおうと思ってね。
八坂 神奈子:
ユメミタマ……!?
そう、そういうことだったか。
洩矢 諏訪子:
ここは私の王国よ。さあ、神奈子。
あんたを、主神の座から引きずり下ろしてあげるわ!