--------------
人間の里・御柱祭当日
--------------
東風谷 早苗:
うんうん、すごく盛り上がってるわね。
大変だったけど、準備をした甲斐があるわ!
多々良 小傘:
あっちにもこっちにも、出店が並んでる!
ちょっと柱を曳くのを休憩して、冷やかしに……
茨木 華扇:
こら、サボっちゃダメよ。
私たち、お詫びとしてお手伝いしてるんだから。
犬走 椛:
すみません……。ユメミタマのせいとはいえ、
迷惑をかけてしまって。
東風谷 早苗:
いえいえ!
こうして、準備も間に合いましたから。
多々良 小傘:
そうよそうよ! 今日はパーッと、
お祭りを楽しみましょうよ!
茨木 華扇:
まったく、あなたは……。でも、そうよね。
せっかくのお祭りですものね!
東風谷 早苗:
さあさあ、このまま里を練り歩いて、
いざ守矢神社へ向かいますよー!
--------------
守矢神社
--------------
東風谷 早苗:
御柱迎えも冠落としも、無事に終わりましたね。
次はいよいよ、建御柱です!
八坂 神奈子:
いろいろトラブルもあったけど、
無事に開催できてよかったわ。ねえ、諏訪子。
洩矢 諏訪子:
……なんで、殺さなかったのかなあ。
八坂 神奈子:
は?
洩矢 諏訪子:
ここは幻想郷だ。外の世界の、諏訪とは違う。
一度失ったはずの信仰は、既に満ち充ちた。
洩矢 諏訪子:
私を殺せば、あんたはこの神社の
唯一の祭神になれた。 違う?
八坂 神奈子:
それは……。
東風谷 早苗:
諏訪子様! 神奈子様ー!
いよいよ御柱を建てますよー!
洩矢 諏訪子:
はいはーい。
行くわよ、神奈子。
八坂 神奈子:
え、ええ。
犬走 椛:
ふー。私たちが勝手に始めちゃった御柱祭も、
これで、いよいよ終わるのね。
茨木 華扇:
そういえば、今回の騒動のことだけど、
ユメミタマはふたつあったのよね?
多々良 小傘:
そうらしいわね。樅の木の御柱と、
あっちの神様に憑いていたのと。
東風谷 早苗:
樅に憑いていたほうは、ユグドラシルなどの聖木を
生み出していて、諏訪子様に憑いていたほうは……、
洩矢 諏訪子:
私の方は、神奈子を倒して守矢神社の主神に
成り代わる……ってことだったようだね。
八坂 神奈子:
茨華仙たち三人は、その両方の
ユメミタマから影響を受けてしまったんだよ。
東風谷 早苗:
だから皆さん、聖木の異様な力を発揮していたんですねぇ。
東風谷 早苗:
それにしても、どうして諏訪子様は
『元々自分の神社』なんて言ってたんでしょう。
東風谷 早苗:
今も昔も変わらず、
諏訪子様は、ずっと守矢神社の神様なのに。
八坂 神奈子:
……さて、ね。それよりも今はまず
御柱を建てるわよ。みんな、気合いを入れて!
一同:
よぉーお!
多々良 小傘:
いやー、ついに柱が建った!
こうして見ると、本当に大きいわねえ!
犬走 椛:
たしかに壮観ね! 昔の人間が、
柱に神を見たというのも、わかる気がするなあ。
八坂 神奈子:
ねえ、諏訪子。さっきの答えだけど……。
洩矢 諏訪子:
ん、なに?
八坂 神奈子:
今の守矢神社は、神が三柱揃ってこそ、
守矢神社なのだと、私は思う。
八坂 神奈子:
だから……、困るのよ。
今さら乗っ取られても、いなくなられても。
洩矢 諏訪子:
……ああ、そう。
まったく、仕方ないんだから。
東風谷 早苗:
みなさん、本当にお疲れ様でした!
さあ、お茶でも飲んで、一息いれましょう!
八坂 神奈子:
……それに、弱い神を身近に従えておけば、
私を、より強く見せることもできるしね。
洩矢 諏訪子:
あ? ……はあ~!?
八坂 神奈子:
ついでに、口論をして暇つぶしもできるし。
いやー、助かるわねえ。
洩矢 諏訪子:
あ、あんたってやつは……。
ほんっと、偉そうなんだから!
洩矢 諏訪子:
覚悟なさい、神奈子! ケンカ相手として、
しっぶ~いお茶を淹れてきてあげるわよ!
八坂 神奈子:
言ったな? この私が悶絶するくらいの
渋さのやつを、持って来なさい!
東風谷 早苗:
あ、あら? 神奈子様たち、
またケンカをしていらっしゃるわね。
東風谷 早苗:
止めるべき? でも……。
なんだか楽しそうだから、いいのかしら。
東風谷 早苗:
ふふ。……それじゃ、
口直し用のお茶菓子を用意してこようっと!