-------------- 灼熱地獄 -------------- 火焔猫 燐: あれ? 灼熱地獄が封鎖されてる? 燃料を運んできたのに、入れないじゃないか。 霊烏路 空: 大変! 大変だ、お燐! 間欠泉地下センターが故障しちゃった! 火焔猫 燐: お空! 故障って、どういうことさ? 霊烏路 空: 水を運ぶパイプが壊れたって言ってた。 直るまで、お仕事できないって! 火焔猫 燐: だから、ここも閉じてたんだ。 ん? ということは……。 火焔猫 燐: しばらく仕事も休みってことだー! お空、長い休みだよ! ゴロゴロし放題! 霊烏路 空: そっか! 直るまで、お仕事ないもんね! やったー! お休みだー! -------------- 地霊殿・数日後 -------------- 霊烏路 空: 間欠泉地下センター、全然直んないねぇ……。 休みも長いと、飽きちゃうよ。 火焔猫 燐: だけど、お空には、いい機会じゃない? 間欠泉センターの管理、大変だったでしょ? 火焔猫 燐: お空はすごいよね。真面目だし、神様の力も あるし、さとり様からも褒められてさ……。 霊烏路 空: えへへ、ありがと。これからも頑張るよ! でも、いつになったら直るんだろう? 火焔猫 燐: だねぇ。くあぁ~……。 あくびが止まんないよ、まったく。 古明地 さとり: すっかりだらけちゃって……。 忙しくて、様子を見てなかった私も悪いけど。 古明地 さとり: 他の子も、みんなだらけきっている……。 なんとかして、身体を動かす機会を用意しないと。 古明地 こいし: ただいま、お姉ちゃん! 見てよこれ! いいもの拾ったよ! 古明地 さとり: それは……本? ずいぶん古そうね。 こいし。なんでもかんでも拾ってきたらダメよ? 古明地 こいし: 面白いんだよ、これ。 昔の運動会が紹介されてるの。ウチでもやろうよ! 古明地 さとり: なになに……? 古代五種、陸上競技? なるほど、面白そうね。 古明地 さとり: だけど、地霊殿は大会を開くには、 少し狭すぎるし……。 射命丸 文: 話は聞かせてもらいました! この私に、すべてお任せください! 古明地 さとり: どこから出てきたのよ……。 特ダネが手に入るなんて、思わないでください。 射命丸 文: さすがは地底のサトリ妖怪。話が早い! ですが、そちらにとっても都合がいいのでは? 射命丸 文: 広い場所が必要なら、旧都を丸ごと使えばいい! 私が鬼の方々と交渉してみます! 古明地 さとり: 何か勝算があるんですか? 射命丸 文: いいお酒と、大会の特等席ですよ。 競技そのものが、最高のおつまみになるかと。 射命丸 文: 鬼の方々は、競うのが好きですからね。 任せてもらえれば、いい結果をお持ちしますよ? 古明地 さとり: その見返りに、取材をさせてほしい、と。 まあ、いいでしょう。わかりました。 古明地 さとり: こちらで温泉入浴券を賞品に出します。 ささやかですが、これで大会になるはずよ。 射命丸 文: では、宣伝と場所の交渉はお任せを! さっそく準備にかかりましょう! 古明地 こいし: おお、なんか面白くなってきた! 私、実況やる! 実況! 古明地 さとり: たしか、地上でも吸血鬼の館で、 ステージ形式の催しを開催したのよね……。 古明地 さとり: それを参考に、勝ち残り形式にして、 小規模の陸上競技大会にしましょう。 古明地 さとり: これで、だらけた子たちに、 楽しい運動の機会が作れそうだわ。 霊烏路 空: お燐、大変だ! スポーツ大会やるって! なんか、地上からも参加するんだって! 火焔猫 燐: それ、昨日もさとり様から聞かされたよ。 あたいは出る気ないけどね。 霊烏路 空: ええ!? なんで? 一緒に出ようよ! 優勝賞品に、温泉入浴券もつくんだよ? 火焔猫 燐: ずっと休んでたから、動く気がさぁ……。 たまにはダラダラしてても、よくない? 火焔猫 燐: (それに、お空と並ぶと、  不思議と自分が小さく見える気がするし……) 霊烏路 空: でも頑張れば、忙しそうなさとり様に、 温泉入浴券をプレゼントできるよ! 霊烏路 空: そしたら、私たち褒められるし! 行こうよ、お燐! 一緒に頑張ろう! 火焔猫 燐: ちょ、お空ストップ!? 張り切りすぎだよ! 今からじゃ、早すぎだからあああぁぁぁ……。