--------------
投擲種目会場
--------------
古明地 さとり:
第三種目は、槍投げよ。ルールについては、
円盤投げと同じとさせていただきます。
古明地 こいし:
投げるのは、槍だけどね!
じゃあ、みんな頑張ってー!
火焔猫 燐:
さーて、どこまでやれるのか……。
せーのっ! そりゃ!
古明地 こいし:
記録がでたよ! 100メートル!
さっすがお燐! けっこう飛んだんじゃない?
火焔猫 燐:
そ、そうですかね?
まあ、このくらいは……。
射命丸 文:
さすがは地底の妖怪! 正々堂々って感じですね!
私は取材のために、なんでも使いますよ!
古明地 こいし:
おおー! ぴゅーって飛んでった!
ただいまの記録は……、200メートル!
藤原 妹紅:
私の番か。この槍は頑丈そうだし、
ちょっと火力を強めても大丈夫だな。……せいっ!
古明地 こいし:
すごーい! なんか大砲みたい!
記録は……、300メートル!
霊烏路 空:
よーし、やり方は、さっきと一緒!
核融合開始。角度補正、完了。……発射ぁ!
古明地 こいし:
うひゃー! ただいまの記録は、500メートル!
すごい勢いで、一位が入れ替わってく!
霊烏路 空:
やった! 上手くいったよ!
この感じで二回目も頑張ろうっと。
火焔猫 燐:
…………。はぁ。
火焔猫 燐:
あーあ、みんなポンポン記録を出していく……。
これ以上は、もう無理かな。
二ッ岩 マミゾウ:
おやおや、まだ能力も使ってないのに、
あきらめてしまうのか?
火焔猫 燐:
あきらめるも何も、あたいの力は、
その辺にいる怨霊を操るだけだよ。
火焔猫 燐:
そもそも競技向きじゃない。
最初から、張り合えるわけがなかったんだ。
二ッ岩 マミゾウ:
なるほどな。じゃが、儂も同じじゃよ。
風も、炎も、核熱だって使えやしない。
二ッ岩 マミゾウ:
だから、頭を使う。小細工で勝負するんじゃ。
こんな感じでな。
火焔猫 燐:
投げる槍と自分を、弓矢に?
それは、さすがにズルじゃないか?
二ッ岩 マミゾウ:
能力の使用は、白線の内側のみ。
槍だけ変化を解けば、問題ないじゃろ、っと!
古明地 こいし:
んー、記録は150メートル!
クリア圏内だね! 今の弓矢、私も撃ちたい!
二ッ岩 マミゾウ:
それはくすぐったいから、勘弁しておくれ。
まあ、こんな戦い方もあるんじゃよ。
二ッ岩 マミゾウ:
ダメと言われてないなら、槍を矢に変えようが、
誰かに運んでもらおうが、なんでもありじゃろ?
火焔猫 燐:
なんでもあり、かぁ。
火焔猫 燐:
そうだね。なんにもしないよりは……、
反則覚悟で、ちょっとやってみるかね。
火焔猫 燐:
ところで、お姉さん。ありがたいけど、
どうして敵に塩を送ってるんだい?
二ッ岩 マミゾウ:
大したことではない。ライバルの多い方が、
気合いが入る。それだけじゃよ。
火焔猫 燐:
ふーん……。ま、いいか。
よし、それじゃあ気合い入れていくよ!
火焔猫 燐:
そーら、怨霊たち! 集まりな!
こいつを……、遠くに運んでおくれ!
怨霊:
オオオ……。遠クヘ、運ブ……。
射命丸 文:
え……、えええっ!? 燐さんが投げた槍を、
怨霊がつかんで運んでいきますよ!?
二ッ岩 マミゾウ:
あっはっは!
いいのう、思い切ったのう!
火焔猫 燐:
ほどほどで落とすんだよ!
記録を測る人が、大変だからね!
古明地 こいし:
すごい記録になりそうだけど、これいいのかな?
んー、協議ターイム! お姉ちゃん、どう思う?
古明地 さとり:
運動する趣旨からは離れてるけど、
確かに、ダメとは言わなかったのよね。
古明地 さとり:
偶然いた怨霊ではなく、能力で集まったのなら、
それはお燐の力と言える。問題なし、とします。
古明地 こいし:
はーい。ということで、記録は600メートル!
おめでとう、お燐! 一位だよ!
火焔猫 燐:
……い、一位。
火焔猫 燐:
……そっか。そっかぁ……!
あたい、まだまだ張り合えるじゃん……!
古明地 さとり:
(お燐……。前から、ずっと気にしていたのね。
今の結果で、自信が持てればいいのだけど)
霊烏路 空:
お燐、すごいよ!
これで二人とも、次の競技に出られるね!
火焔猫 燐:
ああ、そうだね……。
あたいの力は、みんなに負けちゃいない!
古明地 さとり:
(……長い間、あの子が抱えていた想い。
この大会で、何かが変わるといいのだけど)