--------------
人間の里
--------------
霧雨 魔理沙:
里に来るのも久しぶりだな。
魔法の研究で、ずっと家にこもってたもんな。
霧雨 魔理沙:
研究も途中だし、今日は食料を買い込んで……。
んんっ!?
霧雨 魔理沙:
なんだこりゃ!? ハニワが里を闊歩してるぞ。
幻想郷は、いつから古墳時代になったんだ!?
霧雨 魔理沙:
気になるし、ちょっと聞いてみるか……。
なあ。そのハニワ、流行ってるのか?
女の子:
うん、そうだよ。このハニ次郎はね、
私の、手作りハニワなんだー。
ハニ次郎:
ハニ!!
女の子:
うちって、お父さんもお母さんも忙しいから、
ハニ次郎が手伝ってくれて、大助かりなの。
霧雨 魔理沙:
ははぁ、そんな便利なものが……。
ちなみに、そのハニワは、どこで作れるんだ?
古明地 こいし:
はいはーい! それは私が説明しまーす。
霧雨 魔理沙:
うわっ! いきなり出てくるなよ。
心臓に悪いだろ。
古明地 こいし:
先週、この里にハニワ工房ができたの。
その子にも、私が教えてあげたんだー。
女の子:
お姉ちゃん、あの時はありがとう。
ハニ次郎と会えて、もう全然寂しくないの。
古明地 こいし:
新しい家族がほしいって、言ってたもんね。
家族が増えるのはいいことだよ。うんうん。
霧雨 魔理沙:
ハニワ工房の、手作りハニワか……。
よし、こいし。さっそく案内してくれ。
霧雨 魔理沙:
ここがハニワ工房か。大賑わいだな。
みんな、ハニワ作りに熱中してるぜ。
古明地 こいし:
じゃ、案内はここまでね。
私は客引きをしないといけないから。
霧雨 魔理沙:
あいつ、ここで働いてるのかよ。
妙にノリノリで案内するわけだ。
埴安神 袿姫:
あら、面白いお客さんね。
貴方も手作りハニワが入り用なのかしら?
霧雨 魔理沙:
お前っ……畜生界の造形神!
ハニワって時点で、予感はしてたが……。
埴安神 袿姫:
そんなに警戒しないで。
別に悪いことはしてないわ。
埴安神 袿姫:
ハニワのおかげで、人間は仕事が楽になる。
私も信仰を集められる。Win-Winでしょう?
霧雨 魔理沙:
(そういや、こいつは人間霊の信仰心から
力を得てたんだったな……)
埴安神 袿姫:
で、貴方もハニワを作りに来たんでしょう?
ほら。レクチャーするから、そこに座って。
霧雨 魔理沙:
お、おう……。
初心者なんで、よろしく頼む。
埴安神 袿姫:
では、最初にねんどをこねましょう。
柔らかくなったら、こぶし大にちぎります。
埴安神 袿姫:
ちぎったねんどは、板の上でひも状に伸ばす。
それをろくろの上に、輪を作るように重ねるの。
霧雨 魔理沙:
ねんど遊びなんて、子供のころ以来だ。
やってみると、案外楽しいな。
埴安神 袿姫:
ねんどのひもを作ったら、それを円の上に重ねる。
これを繰り返すと、長い筒状になるわ。
埴安神 袿姫:
ひも同士の接着面をきれいに整えて、
顔と腕を作ってあげたら、造形は完了よ。
霧雨 魔理沙:
ふぅ。つい熱中してしまった。
里の人たちがハマるのも、わかる気がするな。
埴安神 袿姫:
あとは、工房の窯で焼けば完成ね。
明日、取りに来てちょうだい。
霧雨 魔理沙:
焼き上がりが楽しみだ。
どれだけ便利なもんか、期待してるぜ。
杖刀偶 磨弓:
お仕事中、失礼します。
袿姫様、少しお話が……。
埴安神 袿姫:
ええ、わかったわ。
それじゃ、次はハニワが焼き上がった時に。
霧雨 魔理沙:
ハニワ軍団の隊長も、地上に来てるんだな。
あの造形神の部下なんだから当然か。
霧雨 魔理沙:
さてと。必要なものを買って帰るかな。
研究研究っと……。
魂魄 妖夢:
ううう……。なーにがハニワよ……。
認めない。ぜっっったいに認めないわぁ~!