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人間の里
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霧雨 魔理沙:
昨日にも増して、ハニワが多いなー。
すっかり里の生活になじんでるぜ。
霧雨 魔理沙:
お年寄りをおんぶしたり、どぶ板を掃除したり、
魚をさばいたり。働き者だなぁ……。
里の女性:
ハニワのおかげで助かってるわ。うちなんか
大家族だから、家事だけでも大仕事で……。
里の青年:
ハニワか。夜中に家を抜け出してるって
聞くけど、本当に大丈夫かな……?
霧雨 魔理沙:
ハニワが、家を抜け出す?
そんなことあるのか?
女の子:
あっ! 魔法使いのお姉ちゃん。
こんにちは!
霧雨 魔理沙:
あぁ、昨日の……。こんにちは。
今日もハニワと一緒なんだな。
女の子:
ハニ次郎が送り迎えをしてくれるの。
お父さんとお母さんの代わりに。
女の子:
迷子になっても探しに来てくれるし。
私、ハニ次郎のこと、だーいすき!
ハニ次郎:
ハニ♪ ハニ♪
霧雨 魔理沙:
そりゃいいな。よーし! 私も昨日作った
ハニワを受け取りにいこう。じゃあな!
魂魄 妖夢:
魔理沙じゃな~い。
ハニワはいけないわよ、ハニワはぁ!
霧雨 魔理沙:
わっ!? どうしたんだよ、お前……。
まさか、こんな道ばたで朝から飲んでたのか?
魂魄 妖夢:
昨日かられ~す!
ハニワに仕事を奪われちゃったもんで。
霧雨 魔理沙:
昨日からって……。いや、それよりもだ。
ハニワに仕事を取られたって、本当か?
魂魄 妖夢:
ちょっと聞いてよ~~~。
本当にひどいんだからっ!
魂魄 妖夢:
何日か前、例の工房でハニワを作ったの。
幽々子様が、ほしいほしいって騒いでね。
魂魄 妖夢:
で、最初は仲良くやってたんだけど、
ハニワが私の代わりに庭仕事を始めて……。
魂魄 妖夢:
私は庭仕事をやれないし、幽々子様はハニワばっか
褒めるし……。だから、家出してやったのよ!
霧雨 魔理沙:
お前は幽々子の警護役で、剣術指南役だろ?
そっちの仕事に専念すればいいじゃないか。
魂魄 妖夢:
そういう問題じゃないの。
……あっ!!
魂魄 妖夢:
この子、うちのハニワじゃない!
私のこと、迎えに来たのかしら?
霧雨 魔理沙:
メモを持ってるな。なになに?
妖夢を探す、夕食のおかずを買う……。
魂魄 妖夢:
ちょっとちょっと! なんで私を探すのが、
夕食の買い出しと同じ扱いなの!?
魂魄 妖夢:
私、帰らないから。
幽々子様にも、そう伝えてよね。
妖夢のハニワ:
ハニ……。
霧雨 魔理沙:
あぁ、帰っちゃったよ。それにしても、
ハニワが人の仕事を奪う、か……。
魂魄 妖夢:
こうなったら、ハニワ工房にクレームを
言いにいってやるわ。魔理沙も来て!
古明地 こいし:
いらっしゃいませー。
あっ。さっそく取りに来てくれたんだ。
霧雨 魔理沙:
あぁ。私は、な……。
で、ハニワは焼き上がってるのか?
古明地 こいし:
ごめんなさい。店長さんたちが出かけてて、
実は窯に火を入れられてないの……。
魂魄 妖夢:
えーっ!?
せっかくクレームを言いに来たのに!
霧雨 魔理沙:
なあ、こいし。あの二人、
何か怪しいことはしてなかったか?
古明地 こいし:
そういえば、難しい顔で内緒話してたかな。
霧雨 魔理沙:
仕事を奪うハニワに、密談をする二人。
これは何かあるかもな……。
魂魄 妖夢:
善は急げよ、魔理沙。
あの二人を探してみよう!