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人間の里
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魂魄 妖夢:
魔理沙、そっちはどうだった?
霧雨 魔理沙:
袿姫と磨弓の行方はさっぱり……。
でも、ハニワの悪い噂は結構耳にしたな。
魂魄 妖夢:
それは私も。ハニワに仕事を奪われた人、
意外に多いみたいね。
魂魄 妖夢:
大工仕事とか、荷運びとか、道の舗装とか、
もう色々な仕事をハニワが代わりにやってる。
霧雨 魔理沙:
ハニワのやつら、人間より力持ちで、
手先も器用だ。労働力としては、ぴったりさ。
魂魄 妖夢:
お腹も空かない。疲れもしない。
おまけに、お給料も必要ないものね。
魂魄 妖夢:
そうそう。霊夢はどうだったの?
調査に協力してくれそう?
霧雨 魔理沙:
それが聞いてくれよ! 事件の匂いがするって
霊夢に伝えにいったらさぁ……。
霧雨 魔理沙:
あいつ、袿姫からご神像をもらってたんだ!
すっかり舞い上がっちゃって話にならない。
魂魄 妖夢:
完全に先手を打たれてるじゃない。
あのハニワ主従、問題を起こす気満々よ。
霧雨 魔理沙:
よし。夜になったら、ハニワを追いかけよう。
きっと、何かの手がかりになるはずだ。
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人里離れた森
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魂魄 妖夢:
ハニワが夜な夜な家を抜け出してるって噂、
本当だったのね。長蛇の列になってる。
霧雨 魔理沙:
森の奥に集まってるみたいだな……。
おい、あれを見ろ!
魂魄 妖夢:
大きな窯から、できたてのハニワがたくさん!
ここは、ハニワ工場ってこと?
霧雨 魔理沙:
あんな量のハニワが里に来たら、
人間の仕事なんて、一瞬でなくなっちゃうぞ。
杖刀偶 磨弓:
量産型ハニワの製造、急ピッチで進めています。
それと、手作りハニワたちの報告ですが……。
杖刀偶 磨弓:
人間の代わりにハニワを働かせたい者は、
私たちの予想以上に多いようです。
埴安神 袿姫:
順調そうでよかったわ。早いところ、
人間の仕事をなくしてあげましょう。
霧雨 魔理沙:
待て! 今のは聞き捨てならないぞ。
人間の仕事をなくして、どうするつもりだ!
杖刀偶 磨弓:
袿姫様、お下がりください。
この者たちを取り押さえます。
埴安神 袿姫:
その必要はないよ、磨弓。別に私たち、
悪いことをしてるわけじゃないんだから。
埴安神 袿姫:
里の人間のために……、ひいては
人類のために計画を進めてるんだもの。
魂魄 妖夢:
何が人類のためよ! 仕事を奪うのが、
人のためになるって言うの?
埴安神 袿姫:
あら、いつかの半人半霊まで……。
その質問の答えはもちろん、YESよ。
埴安神 袿姫:
人間を進化させる。今風に言うなら、
人間をアップデートさせるのが計画の目的。
魂魄 妖夢:
あ、あっぷでえと……?
埴安神 袿姫:
最初に手作りハニワを流行らせて、
人間社会にその存在を浸透させる。
埴安神 袿姫:
続いて、量産したハニワを里に送り込み、
人間たちを労働から解放するの。
霧雨 魔理沙:
待て待て! 人間が労働から解放されても、
食い扶持がなくなったら、生きていけないだろ。
埴安神 袿姫:
問題ないわ。計画の最終段階、それはすべての
人類をハニワと同じ身体にすることだもの。
魂魄 妖夢:
な、なんなの、その計画!?
人類を……ハニワにって……。
埴安神 袿姫:
ハニワは便利よ。壊れても簡単に直るし、
空腹も疲れも死もない。あらゆる苦痛がないの。
埴安神 袿姫:
それに好きな見た目にもなれるわ。
美男にも、美女にも、かわいい動物にも。
埴安神 袿姫:
どう? メリットしかないでしょ?
霧雨 魔理沙:
……バ、バカなこと言うな。
ハニワになりたいやつなんて、いるわけない!
古明地 こいし:
はいはーい!
私、ハニワになりたーい!
古明地 こいし:
面白そうだから、ついてきちゃった。
二人を静かにさせちゃったけど、よかったかな?
埴安神 袿姫:
ええ、助かったわ。ハニワの大量生産を
邪魔されたら、計画が遅れてしまうもの。
埴安神 袿姫:
計画が上手くいった暁には、
貴方もハニワの身体にしてあげるわね。
古明地 こいし:
わーい、やったー!
私、八頭身にしてもらおーっと♪
杖刀偶 磨弓:
この二人は、洞窟にでも閉じ込めておきます。
食料を持たせておけば、死にはしないでしょう。