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人里離れた森
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霧雨 魔理沙:
はぁ……はぁ……。ようやく出られた。
閉じ込められてから、何日経ったんだ?
魂魄 妖夢:
数日としか。洞窟が真っ暗で、
昼か夜かも、わからなかったし……。
霧雨 魔理沙:
里に急ごう。どうなってるか心配だ。
あの邪神の企みを伝えなくちゃ!
霧雨 魔理沙:
なんだこれ!?
里がバリケードで分断されてる!?
魂魄 妖夢:
人もハニワも、ほとんど出歩いてない。
これじゃ、まるで廃村よ。
霧雨 魔理沙:
おっ……あそこに人が!
おーい、ちょっと待ってくれ。
里の女性:
なぁに? 言っておくけど、私は賛成派よ。
貴方、もしかして反対派じゃないわよね?
魂魄 妖夢:
賛成派に反対派? なんなの、それ?
ハニワ賛成派:
ハニワに賛成か、反対かってことよ。
うちの店は、ハニワに働いてもらってるの。
ハニワ賛成派:
もっとハニワを受け入れたいのに、
まったく、反対派のせいで……。
霧雨 魔理沙:
あぁ、行っちゃったよ……。おっと、
今度はバリケードの向こう側にいるな。
霧雨 魔理沙:
なあ、そこの人!
このバリケードは、どうしたんだ?
ハニワ反対派:
そりゃあ、賛成派と反対派の陣地を
里の真ん中で区切ってるに決まってるだろ。
霧雨 魔理沙:
は、はぁ……。そうなのか?
ハニワ反対派:
ハニワが人間の仕事を奪うようになって、
里での生活は一変しちまった。
ハニワ反対派:
ハニワのせいで失業し、食っていけないやつ。
生きがいをなくして、無気力になるやつ。
ハニワ反対派:
このままじゃ、俺たちの生活は……。
お、おい! ハニワどもが来たぞ!
霧雨 魔理沙:
うわっ! 家から一斉に出てきたぞ!
しかも、武器まで持って……。
ハニワ反対派:
ハニワを里に入れるな! これ以上、
俺たちの居場所を奪わせるんじゃないぞ!
魂魄 妖夢:
ハニワ工場の量産型ハニワだわ。
魔理沙、私たちも加勢するわよ!
霧雨 魔理沙:
そうだな。話はハニワを追い返してからだ。
ハニワ反対派:
あんたら、強いな。おかげで追い払えたよ。
このまま反対派として戦ってくれないか?
霧雨 魔理沙:
悪いが、どっちかに肩入れするつもりはない。
この争い自体を止めなきゃいけないんだ。
魂魄 妖夢:
騒ぎを聞きつけてか、賛成派の人たちも
集まってるわね。話すなら今かも……。
霧雨 魔理沙:
よし。みんな、聞いてくれ!
今回のハニワ絡みの事件は……。
霧雨 魔理沙:
……というのが、あの造形神の計画なんだ。
人間同士で争ってる場合じゃないだろ?
ハニワ反対派:
すべては、俺たちをハニワの身体にするため?
おいおい。仕事だけじゃ済まないのかよ……。
ハニワ賛成派:
あのハニワ屋さんが、そんなことを!?
にわかには信じられないわ。
埴安神 袿姫:
事実ですよ。でも、人間の生活をより良くしたい
想いからなのは、理解してほしいわね。
魂魄 妖夢:
あなたの企みは、すべてバラした。
これで、人類あっぷでえと計画は破綻……。
里の青年:
反対派に入るつもりだったけど、
美男子になれるなら、ハニワもいいかな……。
里の女性:
うちのハニワが、こんな怖い計画の
一員だったなんて……。
霧雨 魔理沙:
まずい……。ますます混乱しちゃってる。
み、みんな落ち着けー!
埴安神 袿姫:
あらゆる苦痛から解放されると言われても、
すぐには受け入れられないわよね。
埴安神 袿姫:
でも、時が経てば自ずと理解できるはず。
その時まで、私は霊長園から見守っていますね。
杖刀偶 磨弓:
では、我々はここで失礼します。
さとり妖怪さんも、私たちといっしょに……。
古明地 こいし:
はーい、隊長さん。
じゃ、二人とも。また遊びに来るからねー。
魂魄 妖夢:
待ちなさい、三人とも!
こんな状態で、里を放って……。
ハニワ反対派:
おい、ハニワが出歩いてるぞ!
こいつも里から追い出せーっ!
女の子:
きゃーっ! やめて!
ハニ次郎を連れていかないで!!
霧雨 魔理沙:
あっ、あの子は……! いくぞ、妖夢。
あっちを止めるのが先だ!