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畜生界
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霧雨 魔理沙:
量産型ハニワたちが、霊長園に向かってる。
地上での活動を報告しに行ってるんだ。
魂魄 妖夢:
あの列に紛れ込めば、ハニワ兵の監視を
簡単にかいくぐれるって寸法ね。
霧雨 魔理沙:
こいしの情報を信じるならな。
さあ、列が途切れる前に紛れ込むぞ。
魂魄 妖夢:
うまく紛れ込めたわね。それにしても、
このハニワのかぶりもの、窮屈すぎない?
霧雨 魔理沙:
急ごしらえなんだからしかたないだろ。
霊長園に忍び込むまでの我慢だ。
魂魄 妖夢:
……あっ! 霊長園が見えてきた。
うわっ……でも、あいつが……。
杖刀偶 磨弓:
そこの二体、止まって。
お前たち、ちょっと見た目が変ね?
霧雨 魔理沙:
(ヤバい。怪しまれてる。かくなる上は……)
霧雨 魔理沙:
ハ、ハニ! ハニハニ! ハニャニャ!
魂魄 妖夢:
はぁっ!? あっ……。
ハ、ハニ……ハニハニ、ハニィ……。
杖刀偶 磨弓:
やっぱり怪しい。どうせ簡単に直るし、
壊して確かめるか。……えいやっ!
霧雨 魔理沙:
あいてっ! くっそー。
割と自信作だったのに……。
杖刀偶 磨弓:
あっ、お前たちは……。侵入者よ!
ハニワ兵、こいつらを取り囲みなさい。
埴安神 袿姫:
どうしたの、この騒ぎは?
あら、二人とも来ちゃったのね。
霧雨 魔理沙:
ようやくお出ましか。言わせてもらうが、
あんたの計画は間違いなく失敗する!
霧雨 魔理沙:
里は今や、混乱の極みだ。このままじゃ、
人間同士の争いは激化する一方だろう。
魂魄 妖夢:
それに、私が集めた天狗の新聞を見て!
天狗や河童も、量産型ハニワを迎え始めてる。
魂魄 妖夢:
しかも、ハニワに仕事を奪われた結果、
同族同士で対立したのも、人間と同じなの。
霧雨 魔理沙:
つまり、あんたの計画が成功する前に、
幻想郷の社会システムが崩壊するってことだ。
埴安神 袿姫:
それはアップデートの意義と利点を、
まだちゃんと理解できていないからよ。
埴安神 袿姫:
幻想郷の現状は把握できたわ。
あとは、改めて私が説明し直せば……。
魂魄 妖夢:
今から説明し直したところでダメなのよ。
あなたの計画は性急すぎた。
霧雨 魔理沙:
人間たちは恐怖心をあおられ、焦り、戸惑い、
正しい判断ができなくなってる。思考停止だ。
霧雨 魔理沙:
そんな状態で、神様の言うとおりに
ハニワになってみろ。絶対に後悔する。
魂魄 妖夢:
もしくは、ひたすら神様の言いなりね。
それって、本当に人類の進化なの?
霧雨 魔理沙:
本気でハニワになりたいやつがいるなら、
私は止めるつもりはない。止める権利もない。
霧雨 魔理沙:
でも、私は自分の未来くらい自分で選ぶ。
みんなにも、そうあってほしいんだ。
埴安神 袿姫:
ふふっ……。
霧雨 魔理沙:
なにがおかしい。
埴安神 袿姫:
ハニワになれば、そんな些細な悩みに
惑わされることもないのに……。
霧雨 魔理沙:
それでも、私は絶対ならない。
埴安神 袿姫:
そう、そこまで強情なら……。
しかたがない。しかたがないねぇ。
埴安神 袿姫:
磨弓、相手をしてやれ!
杖刀偶 磨弓:
はっ! 仰せのままに!
霧雨 魔理沙:
未来を掴みたければ、力を示せってか?
なんとも神様らしい考えだぜ。
魂魄 妖夢:
戦って勝てば、なんとかなる。
私好みの、わかりやすい展開になったわ。
埴安神 袿姫:
磨弓、思いっきり痛めつけてやりなさい。あの二人が、
今すぐハニワになりたくなるくらいに。
杖刀偶 磨弓:
もちろんです。
ハニワ兵、弾幕を撃ちながら前進!
霧雨 魔理沙:
なんて弾幕の厚さだ……。
でも、これくらい蹴散らしてやる!
杖刀偶 磨弓:
無尽蔵のハニワ兵に、貴様らの攻撃は通じない。
今だ! 新型のハニワ爆弾を撃ち込め!
魂魄 妖夢:
こんな攻撃、前はなかったのに!
なんとか、反撃のチャンスを……。
霧雨 魔理沙:
くっ……。ここまでか……。
杖刀偶 磨弓:
これで、とどめよ。
騎馬兵ハニワ、全軍……。
古明地 こいし:
二人とも、お待たせ!
心強い味方を連れてきたよー。
魂魄 妖夢:
手作りハニワたち、本当に来てくれるなんて!
しかも、ハニ次郎に、私のハニワまで……。
霧雨 魔理沙:
よっしゃ、ここから反撃だ!
手作りハニワ軍団、このまま突っ込めー!
埴安神 袿姫:
ハニワがハニワと戦ってる!?
まさか、こんなことが……。
杖刀偶 磨弓:
袿姫様、下がってください!
巻き込まれたら危険……。
霧雨 魔理沙:
今だ! 恋符「マスタースパーク」!!
杖刀偶 磨弓:
なんとか防げ……。
剣士のほうはどこ!?
杖刀偶 磨弓:
貴様、レーザーの下をくぐって……!?
魂魄 妖夢:
人鬼「未来永劫斬」!!