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数日後 人間の里
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杖刀偶 磨弓:
バリケードの撤去作業も大詰めだ。
ハニワたち、最後まで気を抜くなよ!
杖刀偶 磨弓:
そんな所に置いたら、人間たちが困るだろう。
人間のために撤去せよと、袿姫様は言われたのだぞ!
埴安神 袿姫:
磨弓、いつもご苦労様。
あとでいっしょに、里の散策でも行きましょうか。
杖刀偶 磨弓:
は、はい! 喜んで!
ハニワたち! 最後はあっちを片付けるわよ!
埴安神 袿姫:
さて、計画のほうはゼロからやりなおしね。
ハニワが人間の味方をしたのも想定外だったし。
霧雨 魔理沙:
そのまま諦めてくれ。せっかくハニワが帰って、
賛成派と反対派の対立も終わったんだ。
魂魄 妖夢:
失業した人たちも、元の仕事に戻れたものね。
私も今は、ハニワと交代で庭仕事をしてるし。
女の子:
あっ、ハニワ屋さんとお姉ちゃんたち。
こんにちは! 今日はハニ次郎とお散歩なの。
ハニ次郎:
ハニ!
魂魄 妖夢:
こんにちは、お嬢ちゃん。
お散歩はどこに行くの?
女の子:
寺子屋までの道を覚えるんだ!
じゃあ、またねー。
埴安神 袿姫:
てっきり、すべてのハニワが追い出されると
思ってたけど、意外に仲良くやってるみたいね。
埴安神 袿姫:
これが、貴方の望んだ形?
霧雨 魔理沙:
まあ、そうだな。
霧雨 魔理沙:
人間とハニワの相性は、別に悪くはないんだよ。
計画の急ぎすぎが問題だったわけで……。
霧雨 魔理沙:
それに大げさな言い方かもしれんが、
人間だって進化するんだ。
埴安神 袿姫:
あの人間の女の子が、迷子にならないよう
道を覚えるみたいに?
霧雨 魔理沙:
あの子が腹も減らず、疲れもしない身体なら、
道を覚える気にはならなかったろうな。
魂魄 妖夢:
人間はいつか死ぬからこそ、知識や技を磨き、
それを誰かに伝えようとするのです。
魂魄 妖夢:
そうやって、少しずつ進化する道を
選んだのですよ。人間って生き物はね!
霧雨 魔理沙:
おおっ? なんか妖夢にしちゃあ、
やたら賢いことを言い出したぞ。
魂魄 妖夢:
んなっ……。べ、別に幽々子様の
受け売りとかじゃないわよ……?
埴安神 袿姫:
人間の……人類の進化について、
もっともっと調べる必要があるようね。
古明地 こいし:
焼き上がったハニワ、連れてきたよー!
霧雨 魔理沙:
こいつ、私が作った……! すっかり忘れてた。
連れてきてくれてサンキューな、こいし。
霧雨 魔理沙:
新入り。お前には私の助手になってもらう。
魔法の研究、頑張って手伝えよな!
魔理沙のハニワ:
ハニっ!
古明地 こいし:
じゃあ、さっそく名前をつけないと!
よーし。君の名前は、今から田吾作ね。
魂魄 妖夢:
待って。もっと強そうな名前がいいわ。
武蔵! あなたは今から武蔵よ!
杖刀偶 磨弓:
いいえ、スサノオにしましょう。
ヤマタノオロチより強いわよ。
霧雨 魔理沙:
お前ら、勝手に名前を決めるなよ。
こいつは私の助手なんだぞ!
埴安神 袿姫:
……ふふ。人類のアップデートは
まだまだ先になりそうね。