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迷いの竹林
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藤原 妹紅:
……こりゃいったい、どういうことだ?
蓬莱山 輝夜:
ねぇ貴方、どうしたの? 大丈夫?
……ダメね。聞こえてないみたい。
蓬莱山 輝夜:
一旦、うちに運びましょうか。
永琳なら、何かわかるかもしれないわ。
藤原 妹紅:
そうだな。ったく、なんでこんな所で……。
おい、しっかりしろ。おーい……。
藤原 妹紅:
……ーい、……れこ……。
……おーい。菫子、起きろー。
宇佐見 菫子:
……ふわぁ~あ。
うーん、誰かが私を呼んでたような……。
藤原 妹紅:
やっと起きたか、菫子。
のんきに寝てる場合じゃないぞ。緊急事態だ。
宇佐見 菫子:
妹紅さん? えっと、緊急事態って……?
藤原 妹紅:
寝起きのとこ悪いが、落ち着いて聞いてくれ。
実は、妖怪が幻想郷からこっちに紛れ込んだ。
藤原 妹紅:
私はそいつを退治しに来たんだが……。
まずは人のいない所で話したい。ついてきてくれ!
宇佐見 菫子:
え、こっち? 妖怪を退治?
っていうか妹紅さん、なんで……?
宇佐見 菫子:
だって……ここ、私の学校だよーーー!?
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東深見高校・校舎裏
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藤原 妹紅:
よし、ここなら誰にも聞かれないだろう。
さっきの続きだが……。
宇佐見 菫子:
ごめん、一旦整理させて!
妹紅さん、なんでこっちにいるの!?
藤原 妹紅:
だから、幻想郷から逃げだした妖怪を追って
来たんだよ。方法は、一応伏せるが……。
宇佐見 菫子:
どうやって学校に入ったの?
何か言われなかった? 不審者とか……。
藤原 妹紅:
ん、普通に正面の門から入ったよ。
周りの服装的に、菫子もこの中だと思ってさ。
宇佐見 菫子:
んん~~? じゃあさ、
幻想郷から妖怪が~ってのは、どういうこと?
藤原 妹紅:
そのことだが、私も詳しくは知らないんだ。
そいつの正体も、目的もな。
藤原 妹紅:
わかっているのは、この辺りに気配があること。
それに、人を食らう妖怪だってことだ。
宇佐見 菫子:
人を……。それで、こっちに詳しい私に
協力してほしいってことね。
藤原 妹紅:
話が早くて助かる。人食い妖怪にとっちゃ、
ここは格好の餌場だよ。一刻も早く退治したいんだ。
藤原 妹紅:
既に被害が出ている可能性もある。
そういう噂を聞いたことないか?
宇佐見 菫子:
うーん、知らない……。
けど、噂が集まりそうな所なら知ってるわ。
宇佐見 菫子:
強力な妖怪なら、都市伝説になってるかも。
まずは、ネットでの情報収集から始めましょう!
藤原 妹紅:
おお、さすが頼もしいな。
その、ねっと?って場所で情報を集めるのか?
宇佐見 菫子:
スマホさえあれば、ネットには簡単に
アクセスできるの。今、見せてあげる。
宇佐見 菫子:
ふふっ♪ 秘封倶楽部初代会長の名に懸けて、
私が必ず、妖怪の正体を曝いてみせるわ!
藤原 妹紅:
……お前、楽しんでないか? 相手は人食い、
ともすれば命に係わる。遊びじゃないんだぞ。
宇佐見 菫子:
だいじょーぶ、充分気をつけるから!
それに、妹紅さんだってついてるし。
宇佐見 菫子:
深秘の方から転がり込んでくるなんて、
こんなチャンス、滅多にないもんね♪
藤原 妹紅:
はぁ、やれやれ。
もっと危機感を持ってほしいんだが……。
藤原 妹紅:
どうしてそんな、非日常に憧れるのかねぇ。
いいものだなんて限らないのに……。
宇佐見 菫子:
ん、何か言った? スマホでサッと見た感じ、
確かに怪しい噂が出回ってるみたい。
宇佐見 菫子:
これなら、きっとすぐに見つかるわ。
さっそく、情報をまとめていこー!
藤原 妹紅:
まったく、痛い目見ないことを願うよ。