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裏山近くの市街地
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宇佐見 菫子:
ネット検索に聞き込みに現地調査……、
色々やったけど、手掛かりが見つからなーい!!
宇佐見 菫子:
人魂も獣もハズレで、次に手掛かりが
見つかっても、当たりとは限らないし~……。
藤原 妹紅:
おいおい、音を上げるのが早いな。
最初の自信は、どこにいった?
藤原 妹紅:
着実に近づいてはいるんだ。
この調子なら見つかるさ。さあ、次に行くぞ!
宇佐見 菫子:
妹紅さん……。うん、そうよね。
弱気になるなんて、私らしくない!
宇佐見 菫子:
妹紅さんと一緒にいると、安心しちゃうみたい。
今まで誰かと探求することなんてなかったから。
宇佐見 菫子:
よし、決めた! 妹紅さん、貴方を
秘封倶楽部の名誉副会長に任命するわ!
藤原 妹紅:
名誉副会長? なんだよ、それ。
勝手に変な肩書をつけるんじゃない。
宇佐見 菫子:
要は、特別な部員ってこと!
大丈夫、特に何かしてもらうわけじゃないから。
宇佐見 菫子:
今が楽しいから、その記念、みたいな?
よーし、もう一度聞き込み調査に行くぞー!
藤原 妹紅:
はぁ、やれやれ……。
活躍期待してるよ、会長さん。
宇佐見 菫子:
有益な情報が得られたわね。まさかこの地域に、
噛み傷のある被害者が複数いたなんて。
宇佐見 菫子:
みんな暗い場所で襲われて、
それからずっと眠ったまま、かぁ。
藤原 妹紅:
噂通りなら、犯人は『るみちゃん』という妖怪だが。
ソイツが幻想郷から忍び込んだヤツなのかな。
藤原 妹紅:
どちらにせよ、この山に潜んでいる可能性が
高そうだが……ん? あんな所に洞窟がある。
宇佐見 菫子:
本当だ! 暗闇に潜む化け物なら、あそこが
根城でもおかしくないわね。入ってみる?
藤原 妹紅:
可能性は充分あるな。しかし、洞窟内か……。
中で襲われたら、ひとたまりもないぞ。
藤原 妹紅:
一旦入らずに、様子を見るのも手じゃないか。
出入りするようなら、そこを捕らえればいい。
宇佐見 菫子:
確かに! 張り込み調査ってやつね。
それじゃ、あの岩の影で待機して……。
男性:
だ、誰かーーー! 助けてくれぇーーー!!
宇佐見 菫子:
洞窟内から人が……!?
ど、どうしました? 何かあったんですか?
男性:
か、彼女が襲われて、洞窟の中に……!
俺は助けを呼ぼうと、逃げて……。
男性:
あ、あれはきっと、噂の人食い妖怪だ……。
ああ、こんな時どうすれば!!
宇佐見 菫子:
彼女さん、中にいるんですか!?
……妹紅さん!
藤原 妹紅:
ああ。私が助けに行く。
菫子は、ここで待ってろ。
宇佐見 菫子:
ううん、私も行く!!
妹紅さん一人に、危ないことさせられないもん!
藤原 妹紅:
はぁ。止めても、どうせ聞かないよな。
行くぞ。くれぐれも警戒を怠るなよ!
藤原 妹紅:
この洞窟、思っていたより、ずいぶん広いな。
ずっと奥まで続いているようだ。
宇佐見 菫子:
スマホのライトで照らしても、真っ暗ね……。
襲われた人が無事だといいけど……あっ!
宇佐見 菫子:
大丈夫ですか!? お怪我は……
ダメ、眠ってる。腕には噛み痕もあるわ。
藤原 妹紅:
この洞窟内に、ヤツがいるのは確実か。
よし。まずは急いで外に……菫子、伏せろ!!
宇佐見 菫子:
へ!? キャァァアアア!!
宇佐見 菫子:
も、妹紅さん!? 妹紅さーーん!!
うそ、どうしよう! 私のことを守って……!
宇佐見 菫子:
わ、私が助けなきゃ!!
けど、この人をこのままにしておけない……!
男性:
おーーい、大丈夫かーーーーー!?
……ああ、無事でよかった!
宇佐見 菫子:
ちょうどいいところに! ここは危険です。
この方を連れて、早く外へ!
男性:
彼女を助けてくれてありがとう!
でも君は? それに、もう一人の子は……。
宇佐見 菫子:
だ、大丈夫。心配いらないわ。
さあ、早く行って!
宇佐見 菫子:
妹紅さん、お願い無事でいて!
私が、必ず助けるから……!