--------------
洞窟の中
--------------
宇佐見 菫子:
うぅ、この洞窟、本当に広い……。
妹紅さーん! いるなら返事してー!
宇佐見 菫子:
あっ、妹紅さ……違う。そこにいるのは誰!?
ルーミア:
んー? あんたこそ、いったい何者?
宇佐見 菫子:
お、女の子!?
もしかして、貴方も妖怪にさらわれて……。
ウサギの飼い主:
人食い妖怪の正体は『るみちゃん』って名前の
小さな女の子なんですって。
宇佐見 菫子:
まさか、貴方が、るみちゃん……?
ルーミア:
るみちゃん? 違うよ、私はルーミア。
あんた、さっきの人を探してるの?
ルーミア:
残念だけど、もうおなかの中よ。
久々に、おいしい食事にありつけたわー。
宇佐見 菫子:
う、うそっ!?
いや、妹紅さんがそう簡単にやられるわけ……!
ルーミア:
幻想郷の味がして、とってもおいしかったわ。
こっちの人間って、ちっともおいしくないんだもん。
ルーミア:
何人もかじったけど、もー全然ダメ。
せっかく幻想郷から出てこられたのになー。
宇佐見 菫子:
幻想郷から出てきた妖怪と、一連の昏睡事件の
犯人は、貴方で間違いなさそうね……。
宇佐見 菫子:
貴方、元人間なんでしょう?
どうして人間を食べようとするのよ!
ルーミア:
元人間? 誰がそんなことを言ったのかしら。
私は生まれた時から、人間がごちそうよ。
ルーミア:
それより、あんたは不思議な感じがする。
こっちでも幻想郷でもないような、不思議な……。
ルーミア:
おいしいのかな? まずいのかな?
気になるな~。ちょっと、食べさせて……!
宇佐見 菫子:
くっ、どうやら話が通じる相手じゃなさそうね。
貴方には、幻想郷に帰ってもらうわ!
宇佐見 菫子:
私だって、戦える!
覚悟しなさい、人食い妖怪!
ルーミア:
ふふっ。真剣勝負は得意じゃないけど、
あんたはこの暗闇の中で、いつまでもつかしら?
ルーミア:
闇符「ダークサイドオブザムーン」!!
宇佐見 菫子:
消えた!? テレポート?
いや、姿が見えないんだ……!
ルーミア:
私は、闇を操る妖怪。
暗闇の中じゃ、誰も私に敵わない!
宇佐見 菫子:
ぐっ……! いつの間に後ろに!
これじゃ、攻撃を避けることも当てることもできない!
宇佐見 菫子:
(妖怪って、こんなに強力なの!?
私なんかじゃ、とても……)
宇佐見 菫子:
(うう、あきらめるな菫子! 勝機はある!
そう、きっと妹紅さんが来てくれるはずよ!)
ルーミア:
お? 逃げるの? 逃げるのかー?
逃がさないぞー!
宇佐見 菫子:
いたた……。
とにかく、今は逃げるだけでいい!
ルーミア:
もー、すばしっこい! でも鳥目な人間に、
この洞窟で逃げ続けることは不可能よ。
宇佐見 菫子:
わっ、しまった! ここ、行き止まりじゃん!
ど、どうしよう……!
ルーミア:
もう逃げられないぞ。覚悟しろー!
それじゃ、いただきまーーー……。
藤原 妹紅:
リザレクション!!
宇佐見 菫子:
も、妹紅さん! よかった、無事で!
もー、遅いよ!
藤原 妹紅:
悪い。復活に時間がかかった。
菫子も無事か? ……状況は?
宇佐見 菫子:
相手は闇を操る妖怪、ルーミアよ!
コイツが、例の幻想郷から逃げだした妖怪で間違いないわ!
ルーミア:
あちちっ! 炎が、服にっ!
な、なんだ? さっき食べた人間が復活した?
藤原 妹紅:
なるほどな。菫子、私に作戦がある。
よく聞け、相手は……。
宇佐見 菫子:
……わかったわ。その作戦でいきましょう!