-------------- 白玉楼 -------------- 吉弔 八千慧： 次の一戦が終われば、怨霊が成仏し、 私もドレスから解放される……そうですね？ 二ッ岩 マミゾウ： そうじゃ。そこの半人半霊の庭師殿に勝てればな。 それで、このゲームは本当に終わりじゃよ。 吉弔 八千慧： （どう考えてもこの狸は本当のことを言っていない。 　だが……すべてが嘘というわけでもなさそうだ） 吉弔 八千慧： ……いいだろう。貴方の策に乗ってあげます。 少なくとも、これで終わりなのは確かなようですから。 西行寺 幽々子： あらあら。なんだかんだ言って、結局はやるのね？ 妖夢、あとは任せましたよ。 魂魄 妖夢： はい、幽々子様。 西行寺 幽々子： やるからには勝ちなさい。 さあ……、ヤッチマイナー！ 魂魄 妖夢： せやああっ！ 吉弔 八千慧： ふっ！　……貴方と戦うのは久しぶりですが、 やはり、なかなかいい動きをしますね。 魂魄 妖夢： え、ええと。ありがとうございます……？ 吉弔 八千慧： （……さて。こうして戦わせて、二ッ岩マミゾウは 　いったい何を企んでいるのだろうか） 吉弔 八千慧： （そもそも、なぜドレスが私の元に持ち込まれたのか。 　刀の形になっているのも、おかしな話だ） 吉弔 八千慧： （呪いのドレスが私にピッタリな理由は。 　化け狸がゲームを吹っ掛けてきた意味は……） 魂魄 妖夢： あ、あのー……。 なんで、その刀を抜かないんですか？ 吉弔 八千慧： ああ、貴方も見たでしょう？　これを抜くと、 ドレス姿になってしまって気が散るので。 魂魄 妖夢： ええっ！　じゃあ、ずっと刀を使わずに 戦うつもりですか？　こ、困る……！ 吉弔 八千慧： （…………困る？） 吉弔 八千慧： ……そういう貴方こそ、 なぜ短い方の剣で戦っているのですか？ 魂魄 妖夢： これは、そう指示されたからです。幽々子様と マミゾウさんが……あわわわ、なんでもないです！ 吉弔 八千慧： （二人に指示された？ 　その剣、たしか幽霊の未練を断つ……） 吉弔 八千慧： ……そうか。ならば、 この刀は、抜いた方がいいようですね。 吉弔 八千慧： 私の渾身の一撃、受けていただきますよ！ 魂魄 妖夢： なっ……くぅぅっ！　重い、けど負けない！ このまま、斬る！　でやあああああっ！！ 悪霊： ああ、あぁぁぁぁ……。 わたしの、しあわ、せ……。 魂魄 妖夢： 刀が、白い布切れになって、散っていく……。 吉弔 八千慧： 花嫁の怨霊とやらが、成仏したんでしょう。 よく剣を振り抜いてくれました。 吉弔 八千慧： これで満足ですか？　化け狸の頭領さん。 二ッ岩 マミゾウ： もちろんじゃ。これで、 呪いのウェディングドレスの騒動は、すべて解決。 二ッ岩 マミゾウ： うちのもんの無念も、 きっと晴らされたことじゃろう。 吉弔 八千慧： ……そうですか。