-------------- 博麗神社 -------------- 博麗 霊夢: あっついわね~。 今年の夏は、特に……。 霧雨 魔理沙: そうだな。こう毎日暑いと、 ほんと、嫌になってくるぜ……。 東風谷 早苗: そう暑い暑い言わないでくださいよ~。 余計に暑くなっちゃいます……ん? 十六夜 咲夜: あ、いたいた。 みなさん、こんにちは。 博麗 霊夢: あら、珍しい。 もしかして、涼みにでも来たの? 博麗 霊夢: 残念だけど、ここもひどい暑さよ~。 十六夜 咲夜: いえ、そうじゃないの。 実は、お嬢様からお暇ひまをもらってね。 博麗 霊夢: お暇ぁ? なによ、咲夜。ついにクビにされたの? 十六夜 咲夜: 違うわ。昨日ね、 お嬢様のお部屋に行ったら、書置きがあって…… 十六夜 咲夜: 『咲夜。なんだか動きが悪いわよ。  休暇をあげるから、しっかり休んできなさい』 十六夜 咲夜: 一応、隠していたつもりだったんだけど、 お嬢様にはバレバレだったのねぇ……。 十六夜 咲夜: ここ最近、なんだかぼーっとしちゃうことが多くてね。 身体もだるい気がするし、能力も不調気味で……。 東風谷 早苗: あら……。夏バテですか? 十六夜 咲夜: どうなのかしら。……まあ、そういうわけで、 とりあえず休暇を取らせてもらったんだけどね。 十六夜 咲夜: 正直、どうやって休めばいいのか、 ちょっとわからなくて……。 霧雨 魔理沙: 休み方もわからないとは、メイド長の勤勉ぶりも 大概だな。どこぞの巫女にも見習ってもらいたいぜ。 博麗 霊夢: はぁ? なんか言った? 東風谷 早苗: どうやって休めばいいのか……、ですか。 でしたら、夏らしい遊びをしてみませんか? 十六夜 咲夜: 夏らしい、遊び? 東風谷 早苗: そうです! 照りつける真夏の太陽の下で、 サマーバカンスをするんです! 十六夜 咲夜: サマー、バカンス……。 なんだか、楽しげなフレーズね。 博麗 霊夢: 太陽の下って、このあっつい中で遊ぶの? そんなのより、私は水浴びがしたいわ~。 東風谷 早苗: 水浴び、いいじゃないですか! それもサマーバカンスです! こういうときは海に行くのが一番なんですが……。 霧雨 魔理沙: 残念ながら、幻想郷に海はないぜー。 水浴びするとしても、玄武の沢あたりがいいとこだ。 比那名居 天子: やあ、人間諸君。 海なら、天界にあるよ。 博麗 霊夢: いつもながら唐突ね。急に現れたと思ったら、天界に海? 冗談は休み休み言いなさい。 比那名居 天子: まあまあ、まずは話を聞いてくれ。 実は、天界の雲が海になってね。 比那名居 天子: せっかくの海を使わないのは、もったいないでしょ? そこで、観光用ビーチとして利用することにしたんだ。 比那名居 天子: 空に浮かぶ天界ビーチだ! よかったら遊びに来ないか? 特別に無料にしておくよ。 東風谷 早苗: て、天界ビーチ……!? 東風谷 早苗: それって、空に海が浮かんでるってことですよね! 雲の上のビーチ……景色も素敵なんだろうなぁ……! 霧雨 魔理沙: にわかには信じられないが……。 天人がわざわざ嘘をつきに来るとも思えないしな。 比那名居 天子: 来るも来ないも、お前たちの自由だ。好きにしていい。 それじゃ、私はこれにて。 東風谷 早苗: ビーチなら、日焼け止めにサングラスに……。 さっそくいろいろ用意しなきゃですね! 博麗 霊夢: え、ちょっと本気? なーんか怪しい気もするんだけど……。 東風谷 早苗: せっかくのお誘いですし、 様子だけでも見にいきましょうよ! 霊夢さん! 霧雨 魔理沙: そうだぜ霊夢! そういえばウチにも、 バカンス用のアイテムがあったような……。 博麗 霊夢: ……ま、行ってみてから考えればいっか。 じゃあ私は魔理沙を手伝うから、天界で会いましょ。 東風谷 早苗: はーい、また後で~! ……咲夜さん? 浮かない顔して、どうかしましたか? 十六夜 咲夜: ……いえ。休暇をいただいたことに、 まだ実感が湧いていなくて。 東風谷 早苗: 咲夜さん。せっかくのお休みなんですから、 パーッと遊ばなくっちゃ損です! 東風谷 早苗: 私にまかせてください!  咲夜さんに、夏休みの楽しみ方を教えてあげます! 十六夜 咲夜: ……ふふっ。そうね。 ええ、よろしく頼むわ。早苗。 -------------- 数時間後 -------------- 霧雨 魔理沙: おーい、早苗ー! 咲夜ー! こっちだ、こっちー! 十六夜 咲夜: これが、海……。 博麗 霊夢: いやー、本当にビックリだわ。 天界に、こんな場所ができたなんて。 東風谷 早苗: わー、ほんとに海だあー! 水面がきらめいてて、綺麗ですねー! 東風谷 早苗: どうですか? 咲夜さん。 海、綺麗でしょ? 十六夜 咲夜: ……え? ええ、そうね。 少し見とれてしまったわ。 霧雨 魔理沙: ……あ、そうだ、早苗。これ持ってきたぜ。 私なりに、海の楽しみ方を調べてきたんだ。 霧雨 魔理沙: じゃーん! でっかい日除けの傘だ。 紅魔館から借りてきたぜ。コレがいるんだろ? 十六夜 咲夜: それ、ウチでプール開きした時に使ったやつじゃない! いつの間に勝手に持ち出して……。 霧雨 魔理沙: あと、この旗! なんか、砂浜には 旗を立てるといいらしいぞ。香霖の店の本で読んだ。 東風谷 早苗: さすがです、魔理沙さん! 私も、水着やサングラスを用意してきました。 東風谷 早苗: さあ、みんなでサマーバカンスを楽しみましょう! 四人: おーーー!!