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天界ビーチ
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東風谷 早苗:
こんなに深いところまで潜るなんて、
なんだか貴重な体験ですね~。
東風谷 早苗:
わあ、見てください!
サンゴ礁がこんな間近に! 綺麗……。
十六夜 咲夜:
海の中って、こうなっているのね。これほど
深くて美しい青は、はじめて見たわ……。
十六夜 咲夜:
(でも、変ね。海にも魚がいるものだと
思っていたのだけど。一匹も、見かけない……?)
東風谷 早苗:
あのぅ……浜からずいぶん離れたようですけど、
面白いものは、どこにあるんでしょうか?
比那名居 天子:
ああ、そうだな。そろそろ、
姿を現してもいい頃だと思うんだが……。
霧雨 魔理沙:
な、なんだっ!?
あの巨大イカは!?
博麗 霊夢:
こいつ……もしかして、
砂遊びのときに見た、白い影!?
永江 衣玖:
これはどういうことですか、総領娘様!?
まさか、これまでの「揺れ」というのは……!
比那名居 天子:
あー、あー! 話はあとだ!
ひとまず、安全なところまで退避しよう!
永江 衣玖:
……それで。さきほどの巨大イカは、
いったい何なのですか?
比那名居 天子:
順を追って話すよ。
実は、この天界ビーチは、私が作ったんだ。
博麗 霊夢:
は? あんたが、作った?
比那名居 天子:
そう。雲海が本当の海になったら面白いと思って
河童と萃香に協力をお願いしたんだ。
比那名居 天子:
そして、巨大プールタンクを作り、
天界の海を完成させたってわけ。
十六夜 咲夜:
……なるほどね。だから、
この海には、魚がまったくいなかったのね。
比那名居 天子:
いや。元々は、いっぱいいたよ。
大量に捕まえて、一気に放流したんだけど……
比那名居 天子:
その中に一匹、活きのいいイカがいてね。
そいつが、私の帽子の桃に食いついたんだ。
永江 衣玖:
そ……総領娘様。その桃って……。
比那名居 天子:
我々天人の主食、仙果だ。霊力にあふれる果実で、
簡単に言うと、食べるとすごく強くなる。
比那名居 天子:
仙果を食べたイカは、霊力にあてられて
みるみるうちに巨大化し、怪物となった。
比那名居 天子:
で、天界中を大暴れ。そのうえ、
他の魚を食い尽くして、海底に潜っていったのさ。
比那名居 天子:
さっき、地面が揺れただろう?
人の気配を感じると、あいつは身震いするんだ。
永江 衣玖:
し……知ってて私に調査を手伝わせていたのですか!?
「天界で地震なんて一大事だ」と!?
比那名居 天子:
一大事には変わりないだろう?
あいつを退治しない限り、天界に平穏は訪れない。
東風谷 早苗:
ちょ……ちょっと待ってください。
もしかして、私たちをここまで連れてきたのって。
比那名居 天子:
天界にビーチを作ったことと、あの巨大イカが
大暴れしたことに、天人たちが、もう大激怒でね。
比那名居 天子:
巨大イカの退治と、天界ビーチの撤去を、
私に命じてきたんだよ。
博麗 霊夢:
……それで、
私たちに、巨大イカ退治を手伝えって?
比那名居 天子:
そう。そのために、博麗神社を訪れたんだ。
比那名居 天子:
このビーチ、雲ごと天界の外に移動させる
予定なんだけど、あのイカが邪魔でさ……。
比那名居 天子:
天界からビーチがなくなれば、天人たちも文句はない。
巨大イカさえ倒せば、ビーチは移転できるんだ。
比那名居 天子:
というわけで。楽しい夏の遊び場を守るために、
ひとつ手伝ってくれないか?
博麗 霊夢:
ねえ、こう言ってるけど、どうする?
霧雨 魔理沙:
海で遊ぶのは、実際楽しかったしな……。
もう少しビーチでわちゃわちゃ遊びたいし……。
比那名居 天子:
もしも、巨大イカ退治を手伝ってくれたら、
新・天界ビーチの無料招待券を進呈しよう。
博麗 霊夢:
よし、みんな! やるわよ!
十六夜 咲夜:
しょうがないわね。
巨大イカ退治を手伝ってあげる。
比那名居 天子:
そう言ってくれると思ったよ!
永江 衣玖:
ですが、どうやって巨大イカを引きずりだします?
海底に潜られていては、やりづらいですよ。
東風谷 早苗:
私に任せてくれませんか?
いい方法があるんです。
東風谷 早苗:
みなさん、しばらく私から離れていてください。
発現せよ……開海「海が割れる日」!!
十六夜 咲夜:
す、すごい! 本当に海が割れていくわ……!