宮古 芳香: あいどるって、なんだ? もしや、新しい侵入者か? 霍 青娥: 違う違う。アイドルっていうのは、歌と踊りで、 人々に希望を見せる存在のことよ。 宮古 芳香: うーん……? つまり、どういうことだ? 霍 青娥: 芳香ちゃんが、みんなから愛される人気者になるの。 ファンがいっぱいできるわよ? 宮古 芳香: 食べて我々の仲間にする、ってこと? もしや、美味しいのか? 霍 青娥: あらダメよ、ファンをかじっちゃ。 客席に穴が開いたら、見栄えが悪いわ。 霍 青娥: やっぱり芳香ちゃんには難しいわよねぇ……。 まあ、そこも可愛いところなんだけど。 摩多羅 隠岐奈: お邪魔するよ。 なかなか手こずっているようだね? 霍 青娥: あら、賢者様。それとも、アイドルフェスの 実行委員長とお呼びしたほうがいいかしら? 摩多羅 隠岐奈: あえて言うなら、プロデューサーだろうか。 多くのアイドルたちを担当しているからな。 霍 青娥: プリズムリバーの専属ではないのですか? それに、二人いた踊り子はどうされたのです。 摩多羅 隠岐奈: 今回はお休みさ。実は、あの場を借りて、 うちの二童子の後継を探していてね。 摩多羅 隠岐奈: そのために、複数のアイドルのプロデューサーを 担当している。まあ、私の話はいいんだ。 摩多羅 隠岐奈: アイドルたちのレベルを底上げするため、 合同レッスンを開くんだが、参加する気はないか? 霍 青娥: 貴方が担当するアイドルたちと、合同レッスン? まあ、願ってもないことですわね! 霍 青娥: 貴方の辣腕らつわんぶりも、間近で見られそうですし。 ぜひ、参加させていただきますわ! 宮古 芳香: うーむ、あいどるとは、いったい……? -------------- 合同レッスン会場 -------------- 霍 青娥: ずいぶん参加者が多いのね。けど、見た感じ 芳香ちゃんが一番可愛いし、余裕かしら。 宮古 芳香: ここにいるのが、全員あいどる、なのか? 摩多羅 隠岐奈: ここにいるのは、そのたまごさ。 まずアイドルとは何かを教えたかったのだが……。 霍 青娥: 何か問題があったようですね。 もしかして、教材が届かなかったとか? 摩多羅 隠岐奈: その通りだ。『鳥獣伎楽』を呼んでいたのだが、 メンバーの屋台がトラブルで、来られないと。 摩多羅 隠岐奈: 方向性は違うが、ステージの経験はある。 だから講師にふさわしいと思ったのだが……。 クラウンピース: だったら、あたいが見せてやるよ! アイドルのお手本ってやつをさ! クラウンピース: スピード上げていくよ! みんなついて来て! イッツ、ルナティックターイム! 霍 青娥: すごい盛り上がりだわ……! これも、貴方の指示ですか? 摩多羅 隠岐奈: いや……、これは私の予定にはない。 だが、面白いじゃないか! ヘカーティア・ラピスラズリ: どう? 地獄で鍛えられた、 うちのトップアイドルの実力は? ヘカーティア・ラピスラズリ: そろそろ地上へ進出しようと思ってたのよ。 このオーディション、私たちも参加するわ。 摩多羅 隠岐奈: ようこそ地獄のプロデューサー。歓迎するよ。 見てくれ、アイドルたちの反応を! クラウンピース: 楽しかったでしょ? あたいのステージ! 本気のやつは、オーディションで見せてあげる! ルナサ・プリズムリバー: あれがアイドル……。超えるべき壁ね。 メルラン・プリズムリバー: すっごいハッピーだったわぁ! 私たちも頑張ろう! リリカ・プリズムリバー: あれだけ言われたら、 こっちも負けてられないね。 摩多羅 隠岐奈: おかげで、アイドルたちに熱が入った! これは面白いフェスになるぞ! 確実に! ヘカーティア・ラピスラズリ: 真のアイドルは、あらゆる人の心を動かすのよ。 オーディション、楽しみにしてるわ。 霍 青娥: なかなかの強敵ね。さて、うちの娘はどうかしら? 少しはアイドルに興味を持ったり…… 宮古 芳香: …………………ぁ。 霍 青娥: するわけないわよねー。う~ん、そんな おとぼけなところも芳香ちゃんらしくて、いい! クラウンピース: じゃ、次はオーディションで会いましょ! まったねー! 宮古 芳香: (うた……歌。なぜだ、心が、あたたかい。  胸の鼓動が止まらない。死体なのに……) 宮古 芳香: (これが、アイドル。  こんなに楽しいものだったのか……) 霍 青娥: 芳香ちゃん。帰りましょう。アイドルが何か わからなくても、私が勝たせてあげるからね。 宮古 芳香: 青娥……。我々、いや私は、 アイドルになりたい! 霍 青娥: え、ええ!? 大丈夫なの? アイドルがなんなのか、わかったの? 宮古 芳香: よくわかった! アイドルとは、 楽しいことだったのだ! 私も楽しくなるぞ! 霍 青娥: ……まあ、いいでしょう。 この娘なりに、解釈したようだし。 霍 青娥: そうと決まれば、私もいろいろ応援しないと。 この娘をトップアイドルにするために!