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妖怪の山
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飯綱丸 龍:
ふふ。あの地獄の女神たちの音楽フェス、
夏にぴったりの、アツいイベントだったねぇ。
菅牧 典:
飯綱丸様、おかえりなさーい。
飯綱丸 龍:
ああ、ただいま。
菅牧 典:
……そのお顔、相当興奮なさってますねぇ?
飯綱丸 龍:
あはは、顔に出てたか。
最高にアツいグルーヴが全身に染みわたってね。
飯綱丸 龍:
しかし、以前、秘神が開催したアイドルフェスも
好評だったようだし……
飯綱丸 龍:
私たち天狗が、ああいうイベントを開くのも
アリかもしれないな。
菅牧 典:
……ほほう?
それはそれは、楽しそうじゃありませんか。
飯綱丸 龍:
だろう? 夏の終わりにふさわしい、
満点の星空のような祭りを開こうじゃないか!
飯綱丸 龍:
天狗の力を知らしめてやろう。
この夏最後のフェス、名付けて……
飯綱丸 龍:
「夏暮山の花火大会」を仕掛けるぞ!
菅牧 典:
お~。花火大会。
風流でいいですね~。
飯綱丸 龍:
こうしちゃいられない。
典、さっそく天狗たちを呼んできなさい!
菅牧 典:
了解でーす。
姫海棠 はたて:
緊急招集! ってきいて集まったけど。
天狗で花火大会を開くんでしょ? 面白そうじゃない!
犬走 椛:
このお話、飯綱丸様から直々のお達しらしいです!
ここで良いところを見せれば、昇給や有給確保も……!
射命丸 文:
この花火大会、発案も飯綱丸様らしいですねえ?
そんな催し物に興味を持つ心がお有りだったんですねえ。
射命丸 文:
大天狗飯綱丸といえば、ビジネスと数字にしか
興味のない、つまんなーい合理性の塊でゆうめ……。
射命丸 文:
あっだぁっ!?
さ、三脚が、頭にぃ……。
飯綱丸 龍:
さすが、文々。新聞は情報が早いな。今後は、
報道の正確さにも気をつけてもらいたいところだ。
射命丸 文:
はい、恐縮です……。
飯綱丸 龍:
さて。お前たちには、この花火大会の開催に向けて、
粉骨砕身働いてもらいたい。
飯綱丸 龍:
さしあたって、観客が盛り上がり
天狗の威光を示せる良い案が必要だ。何かあるか?
姫海棠 はたて:
え~と……思わずカメラで撮りたくなる、
カラフルな花火大会なんてどう?
飯綱丸 龍:
悪くない案だが……、幻想郷でカメラを
持っているのは、天狗の新聞記者くらいだな。
犬走 椛:
飯綱丸様! 空に打ち上げず、目の前でバーン!と
花火が開いたら面白いのではないでしょうか!
飯綱丸 龍:
陸上花火、ということか?
それはなかなか……大惨事になりそうだな。
射命丸 文:
あー、痛みがやっと引いてきた……。
叩かれたついでに、ひとつ思いつきましたよ。
射命丸 文:
飯綱丸様の能力を使って、夜空の花火と
流星をシンクロさせるってのはどうでしょう?
射命丸 文:
「星空を操る程度の能力」。
そのお力と空に咲く花火は、相性ピッタリでは。
飯綱丸 龍:
流星と花火、か。たしかに相性はよさそうだ。
姫海棠 はたて:
それなら、これまでのフェスの音楽と花火を
合体させちゃっても面白いんじゃない?
犬走 椛:
わぁ! アイドルやDJの曲に乗せて
花火が打ちあがるんですね! それは楽しそうです!
飯綱丸 龍:
……ふむふむ。だんだん形が見えてきたな。
お前たち、助かったぞ。
飯綱丸 龍:
では、大天狗の名のもとに命じる。
我が同胞の力を結集し……
飯綱丸 龍:
星空をテーマに、音楽と流星で彩った
「夏暮山の花火大会」プロジェクトを始動する!
三人:
了解です!
飯綱丸 龍:
よし!
ではまず、花火の手配から始めるか。
犬走 椛:
それなら河童が詳しかったはずです、
私が話をつけてきます!
飯綱丸 龍:
よく言った! はたて、お前も同行しなさい。
河童から花火大会に役立つ情報を聞き出してくれ。
姫海棠 はたて:
頼まれましたー!
飯綱丸 龍:
文。お前は白狼天狗たちとともに、
会場の立地調査をしてもらえるか。
射命丸 文:
わかりました! すぐに向かいます!
飯綱丸 龍:
実働は奴らに任せて、
私は全体の進行を考えるとしよう。
飯綱丸 龍:
ふふふ。こうした一つ一つの積み重ねが、
プロジェクトを成功に導く……。
飯綱丸 龍:
アイドルライブや音楽フェスに負けない、
最高の花火大会を作り上げてやろうじゃないか!