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玄武の沢
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姫海棠 はたて:
玄武の沢に到着したわー!
さて、河童は……っと、いたいた。
河童:
お、椛さん。
将棋盤の用意なら、できてますよ。
犬走 椛:
あ、ううん。
今日は、花火の発注をしにきたの。
河童:
花火?
いったい何をするおつもりなんですか?
犬走 椛:
実は、音楽と流星をシンクロさせた
花火大会を開こうとしてるの。
姫海棠 はたて:
こう……、音楽にバッチリ合いそうな花火を
探してるんだけど、そういうのってある?
河童:
またずいぶんと難しい注文ですね……。
けど、花火ならたくさんありますよ。
姫海棠 はたて:
わ、星っぽくて、かわいいー。
犬走 椛:
こっちは、散り際が流星の尾みたいで、
儚げですね~。
河童:
気に入ったのがあれば言ってください。
発注書に書き込んでいきますので。
犬走 椛:
じゃあ、これと……
姫海棠 はたて:
あと、こっちもかなー。
姫海棠 はたて:
うん、これで十分かな!
河童:
まいどあり~。じゃあ、ご用意しますね。
犬走 椛:
ん、これは……。ねえ、この箱、何の機械?
前に将棋指しに来たときは、こんなのなかったよね。
河童:
ああ、これですか? さすが椛さん。
大将棋以外も、目の付け所がいいですねえ。
河童:
これは、七色映写箱という、
光で綺麗な絵を投影する装置です。
姫海棠 はたて:
へえ、また面白そうな機械ね!
何に使えるか全然分かんなくて、河童らしいわ。
河童:
技術は私たちの命ですので。
で、この機械の使い方なんですが……
河童:
空に光を出すだけじゃ絵は描けないんですが、
この機械はとにかく光量がすごい! なので……
河童:
で、花火を上げたときに煙が出ますよね?
そこに投影するんですよ! すると空に、絵が!
河童:
ちなみに、どんな絵でも投影できますよ~。
河童とか、きゅうりとか、もちろん天狗様も!
姫海棠 はたて:
へー! よくわからないけど、すごそうじゃない。
飯綱丸様も気に入るでしょ、これなら。
犬走 椛:
そうですね、せっかくなのでお借りしましょう。
こちらも含めて、予算はいくらになりますか?
犬走 椛:
飯綱丸様! 花火の調達、無事に終わりました!
こちらが発注書になります!
飯綱丸 龍:
ご苦労。
……そうだな、1曲目は、柳の花火にして……。
犬走 椛:
それと飯綱丸様! こちらもご覧ください!
河童が作った珍妙な機械で、なにやら七色……
飯綱丸 龍:
……これと、これと……準備時間で流す曲もほしいな。
星空イメージの楽曲を発注して、と。
姫海棠 はたて:
あー、ああなってる時のめぐむちゃ……飯綱丸様は
あんまり聞こえてないから、報告はあとがいいかもね。
犬走 椛:
え? ですが、ちゃんと報告はしておかないと……
姫海棠 はたて:
聞いてもらえるタイミングでの報告も、
上司に取り入るスキル、ってことよ。
犬走 椛:
なるほど。勉強になります!
飯綱丸 龍:
夏の終わりを彩る夜空か。
我ながら、テーマが壮大すぎたかも……?
飯綱丸 龍:
内容もだが、集客のことも考えないと。
そこは、顔が広い鴉天狗たちに任せるか……。
菅牧 典:
飯綱丸様~。
渋い顔で、どうかなさいましたか?
飯綱丸 龍:
典か、いいところに現れた。
楽曲の発注を頼みたい。これが発注書だ。
飯綱丸 龍:
それと、花火大会の宣伝チラシを作って配るよう、
鴉天狗たちに言付けてもらえるか?
菅牧 典:
はーい。典にお任せください♪
飯綱丸 龍:
次は、大会本部の準備か。設営日時は……。
忙しいけど、張り切っていこう。
菅牧 典:
飯綱丸様、あんなに真剣な表情で……。
菅牧 典:
ふふふ……。飯綱丸様が喜んでくれるよう、
私なりのやり方で協力させていただきます……♪