-------------- 人間の里 -------------- 射命丸 文: パっと目を引くチラシを作るには、 ターゲットとなる顧客の関心を調べなくては! 射命丸 文: ……と思って里にやってきましたが、 なんだか、いつもと雰囲気が違う? 里の人間: 今日も山から、強い風が吹いてるな……。 やっぱり、天狗の仕業だろうな。 里の人間: 毎日、物騒な音も聞こえてくるし、 はああ、不安だねぇ……。 射命丸 文: あのぅ、何かあったんです? 里の人間: ああ、新聞記者さんですか。 里の人間: いえね、近ごろ天狗や河童が、 せわしなく動いてるでしょう? 里の人間: 何かよくないことが起こる気がして、 私たち不安なんですよ。 射命丸 文: (ふむ。私たち天狗が恐れを抱かれるのは  大切なことだけど、今回はちょっと困ったなあ) 射命丸 文: ほうほう……。これは小耳に挟んだ話ですが、 天狗たちは、花火大会の準備中だとか。 里の人間: 花火大会だって? 射命丸 文: はい。なんでも、音楽に合わせて 花火が上がる、楽しいお祭りにするそうで……。 射命丸 文: 人間に危害を加える企てではないみたいです。 安心しても良さそうですよ。 里の人間: あら。なーんだ、そうだったの! 心配しすぎちゃったわ、天狗もそんな事するのね。 里の人間: ここ最近の音楽祭の続きかねえ。 そんじゃあ花火も、楽しませてもらうとするか! 射命丸 文: 物騒な話ではないらしくて、私も一安心です。 …………ふぅ。 射命丸 文: ……そうだ! よければ、みなさん、 花火大会に参加してみませんか? -------------- 数日後 -------------- 飯綱丸 龍: ふっふっふ。ようやく完成したぞ。 妖怪の山の、特設花火会場が! 飯綱丸 龍: これならあのフェスと同じ……いや、 それ以上の人数も収容できる! 射命丸 文: あやややや! 山頂一帯が、ぜーんぶ会場とは……。 今から待ちきれませんね! 飯綱丸 龍: 必ず成功させなくてはな! よし、明日に向けて、段取りの確認だ。 飯綱丸 龍: まずは流星群の操作だが、 これはもちろん、私の担当だ。 飯綱丸 龍: 次に、花火大会の進行役だな。 これがいなきゃ始まらない。 飯綱丸 龍: この役には、記者の文とはたてが適任だと思う。 二人で協力して、進めてほしい。 射命丸 文: 了解です! 姫海棠 はたて: オッケー! 任せて、めぐむちゃん! 射命丸 文: あー、またはたてにタメ口きかせてる! なんで怒らないんですか、飯綱丸様! 飯綱丸 龍: 良いんだ、はたては。慣れない言い回しで、 コミュニケーションが淀むほうが困る。 射命丸 文: なら、私だってタメ口きいても良いですよね? 飯綱丸 龍: お前は駄目に決まってるだろう。 また一発もらいたいのか? 射命丸 文: なんで!? 飯綱丸 龍: 最後に、七色映写箱プロジェクションマッピングばこの操作と、 花火の発射役だが…… 飯綱丸 龍: これは、特に人手が必要だろうから、 白狼天狗たちと、典に任せるとしよう。 白狼天狗たちと典: かしこまりました! 飯綱丸 龍: 犬走椛、例の機械はお前が借りてきたそうだな。 あれがなければこの演目は組めなかった、恩に着るよ。 犬走 椛: い、いえ、そんな、飯綱丸様が私に感謝なんて……! 有難うございます! 飯綱丸 龍: 発射のタイミングは、私が指示を出す。椛には、 白狼天狗たちの陣頭指揮をお願いしたい。出来るか? 犬走 椛: は、はい! お任せ下さい! 任された任務、完璧に果たしてみせます! 菅牧 典: うふふ……お客さんの驚く顔が楽しみだわ。 飯綱丸 龍: いいか、みんな。プリズムリバー三姉妹と 純狐の演奏が始まったら、打ち上げ開始だ。 飯綱丸 龍: 一秒でもズレたら、せっかくの演出が台無しだ。 観客を喜ばせられない。 飯綱丸 龍: それを意識して、リハーサルに臨もう。 さあ、最後の総仕上げだ! 姫海棠 はたて: みなさま、「妖怪の滝」は、 お楽しみいただけたでしょうか? 射命丸 文: 次は、真夏の夜空に輝く、 「メテオシャワー」をお楽しみください! 飯綱丸 龍: ナレーションも完璧だな。 これなら、本番も大丈夫そうだ。 犬走 椛: 飯綱丸様。 流星群の嵐、お願いします! 飯綱丸 龍: わかった。 私の能力、とくと見ておけ。 射命丸 文: な、なんとか最後まで通せましたね……! 飯綱丸 龍: うん、大きなミスはなかった。 これなら、本番もいけるはずだ。 姫海棠 はたて: キ、キンチョ~して、 ちょっと噛みそうになっちゃった……。 犬走 椛: 明日は、お客さんがたくさんいるんですよね~。 ちょっぴり怖いですが、ワクワクします……! 飯綱丸 龍: ほどよい緊張があるくらいが丁度いいさ。 さあ、今日はもう休んで、明日に備えよう! 射命丸 文: さてさて。明日はみんなを、 あっと驚かせますよ……!