-------------- 霧の湖 -------------- チルノ: 次はあたいの特技、カエルの氷漬けで勝負だ! これは偽者にはマネできないはず。 ドリームチルノ: ふーん、別にいいですけど。あなたの特技ってことは、 あたいの特技でもあるんですからね? チルノ: そんなの知るか! それじゃあ、あたいからね。 そぉれ! ……フフン、上出来ね。 射命丸 文: きれいに凍ってますねー。 まあ、カエルがかわいそうではありますが……。 ドリームチルノ: 見せてあげましょう。あなたを超えた、 あたいの特技を。そぉれっと! 射命丸 文: これは……! カエルを凍らせるだけでなく、 氷で彫刻まで作っています! 射命丸 文: この形は人……いえ、チルノさんの形ですね!? あの一瞬で、なんと器用な……。 チルノ: こ、これ……あたいが陰でこっそり 練習してたけど、まだ成功してないやつ……! ドリームチルノ: あなたが成功を夢見たおかげです。だから、 夢の中のあたいは成功できたんですよ! チルノ: う、うう……負けない! あたいだって、 成功してみせるんだ! ……あっ。 射命丸 文: ああ、カエルもろとも崩れて……。 なんとご無体な……。 ドリームチルノ: まあ、そうなるでしょう。そもそもあなたは、 ただ凍らせるのだって3回に1回は失敗しますしね。 ドリームチルノ: それに比べ、あたいはその半分も失敗しません。 この差は歴然! さっすが、天才のあたいですね。 チルノ: つまり夢の中のあたいは、 3回やったら4回成功するってこと……!? チルノ: う、うう~~~~!! 今のは 運が悪かっただけだもん! つ、次だ次ー!! 射命丸 文: 3回中4回は確率的に不可能ですよ! しかし、夢の中のチルノさん、やりますね……。 ドリームチルノ: 次は、この紙をどっちが遠くまで飛ばせるかで 勝負です! どう? 簡単でしょう。 射命丸 文: ちょっと、それ私の新聞! 勝手に取らないでくださいよ!! チルノ: 紙を遠くに? そんなのヨユーじゃん! くしゃくしゃに丸めて、こうだ! 射命丸 文: ああーーー!? 人が丹誠込めてつくった 新聞を、そんなゴミみたいに……! ドリームチルノ: フフン、バカなあなたならそうすると思いました。 真の天才なら、こうやるんですよ! チルノ: 紙ヒコーキだとー!? くそっ、その手があったか……! 射命丸 文: おおー、風に乗って遠くまで……って、思わず 感心しちゃったけど、人の新聞で遊ぶなー! チルノ: それならあたいだって! あ、あれれ? すぐ落ちちゃった……。 チルノ: おかしいなぁ、なんで? 何回やっても、うまく飛ばないよー!! ドリームチルノ: 当たり前です。そんなクシャクシャの紙で 作っても、翼が開かないから飛ぶわけありません。 ドリームチルノ: バカは何やっても、天才には敵わないものです。 さあ、そろそろ負けを認めなさい! 射命丸 文: チルノさん、諦めも肝心ですよ! 新聞がなくなっちゃいますからーー!! チルノ: ムキ~~~!! こうなりゃ最終手段だ! くらえっ! 氷符「アイシクルフォール」! ドリームチルノ: 不意打ちなら刺さると思いました? 甘いですね! 華麗によけて……凍符「パーフェクトフリーズ」! チルノ: うぎっ、カウンターだとぅ!? しかも、囲まれた!? に、逃げ場がない……! ドリームチルノ: あなたの不意打ちをよけるのなんてイージーです。 あたいのルナティックな弾幕に散りなさい! チルノ: うぎゃああーーーー!!! 射命丸 文: チ、チルノさーーん! 大丈夫ですかーーー!? 取り巻きの妖精A: わー、偽者を吹っ飛ばした! やっぱり今日のチルノちゃん、かっこいい~! ドリームチルノ: これで実力差ははっきりしたでしょう。 バカなあなたはもういりません。 ドリームチルノ: 今日からあたいがチルノとして、 この幻想郷で暮らすのです! 射命丸 文: なっ……ドリームチルノさん、正気ですか!? 射命丸 文: チルノさん、立ってください! このままじゃ本当に乗っ取られちゃいますよ! ドレミー・スイート: こんな所にいたのね、夢の世界からの脱走者。 案の定、トラブルを起こしている様子で。 ドレミー・スイート: ドリームチルノさん、貴方を夢の世界に 連れ戻しにきました。おとなしく従いなさい。 射命丸 文: ドレミーさん! ふう、よかった。 これで乗っ取られずに済みそうです……。 チルノ: う、うう……。 夢の世界には、あたいが行く……。 射命丸 文: は!? 何言ってるんですか? チルノ: 夢の世界にはあたいが行く! もういいよ! みんなして、そいつばっかり褒めちゃってさ! チルノ: 最強じゃないあたいなんて、いる意味ないんだ~! うわあああ~~~ん!! 射命丸 文: えええ! チルノさんが、こんなに弱気に!? どうしちゃったんですか、らしくないですよ!? ドリームチルノ: ふん、やっと負けを認める気になったのですね。 そういうことです、ドレミー! ドリームチルノ: 入れ替わったところで、問題はないんでしょう? なら、そっちのチルノを連れて帰りなさい! ドレミー・スイート: 何があったかわかりませんが…… それで本当にいいんですか? ドレミー・スイート: ……わかりました。今は時間がありません。 ひとまず、貴方を連れて戻りましょう。 射命丸 文: 本当に夢の世界に行っちゃうんですか!? チルノさん! チルノさーーーん!!