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永遠亭
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今泉 影狼:
さてと。永遠亭に着いたけど……。
因幡 てゐ:
ほらほら、みんな! もっと素早く手を動かしな!
このままじゃ十五夜に間に合わないよ!
鈴仙・優曇華院・イナバ:
てゐ、招待状の準備ができたわ。
いつでも配りにいけるわよ。
因幡 てゐ:
お。それじゃあ、何人か配達に回すか。
残りは、このまま飾り付けに……。
今泉 影狼:
す、すごいバタバタしてるわね。
うう、話しかけづらい……。帰ろうかしら……。
因幡 てゐ:
およ? ねー、そこの狼女。
永遠亭に、なんか用?
鈴仙・優曇華院・イナバ:
あ、もしかして患者さん?
ごめんなさい、すぐ案内するわ。
今泉 影狼:
あっ、ううん! 違います!
薬がほしいわけじゃなくて……。
因幡 てゐ:
ふーん。お月見で何したらいいかわかんないから、
うちに聞きにきたのね。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
まあ確かに、うちは、幻想郷で
一番お月見に力を入れてるだろうしね。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
でも……ごめんなさい。
教えてあげたいのはやまやまなんだけど……。
今泉 影狼:
ううん! 忙しそうなのはわかるわ。
しばらく準備の様子を見させてもらえれば、それで……
因幡 てゐ:
いやいや、見てるだけなんてもったいないよ。
任せて。お月見のことを教えてあげる!
鈴仙・優曇華院・イナバ:
ちょっと、てゐ? 今そんな余裕は……。
因幡 てゐ:
立ってるものは狼でも使う!
てなわけで、実地訓練で叩き込んであげるわー!
今泉 影狼:
え、ええ!?
鈴仙・優曇華院・イナバ:
ああ、そういう……。確かに、手も足りてないし
手伝ってもらえるなら助かるわね。
因幡 てゐ:
さっそく行くぞ、新入り!
まずは会場の飾り付けだー!
今泉 影狼:
えええ~っ!?
因幡 てゐ:
その布は向こうから、ここまで敷いといて!
ちゃんとシワは伸ばしてね。頼んだよ!
今泉 影狼:
はーい!
因幡 てゐ:
次は、こういう感じでススキを飾って回って!
終わったら、向こうの箱を持って調理場来てね!
今泉 影狼:
はい、ただいまー!
今泉 影狼:
はあ~っ! つ、疲れた……。
お月見って、こんなにいろいろ準備するのね。
因幡 てゐ:
まあ、うちのは特に規模がでかいしねー。
あ、丸めたお団子はそっちの皿に置いていって。
今泉 影狼:
はーい。……こんなに準備が大変なのに、
貴方たち、よく毎回がんばれるわね。
因幡 てゐ:
あったりまえでしょー。お月見ってのは、
私たち竹林の兎にとって、大事なイベントなのよ。
因幡 てゐ:
お月さんってのは、この世でもっともまぁるくて、
私たちに力を与えてくれるものだからねぇ。
今泉 影狼:
……わからないなぁ。
力を与えられるって、そんなにいいものかしら。
因幡 てゐ:
どんなもんでも使いようでしょ。
さ、おしゃべりは終わり! 次は団子を並べるよー!
今泉 影狼:
ええと……たしか、山なりになるように
お団子を積んでいくのよね。こうやって……、
今泉 影狼:
で、できた……! まさしく月見団子だわ!
因幡 てゐ:
いいじゃん! こじんまりしたお月見会なら、
これとススキが1本あれば、雰囲気十分だよ。
因幡 てゐ:
後は……、私らは杵と臼で薬を搗いてるけど、
これは兎じゃないあんたには不要かな。
因幡 てゐ:
ただ、「搗き」は「月」にも「運のツキ」にも通じる。
お月見で何か搗いたら、運気が上がるかもね!
今泉 影狼:
いろいろと、ありがとう。
ところで、お団子の粉はどこで買ったらいいの?
因幡 てゐ:
ああ、それなら……、
鈴仙・優曇華院・イナバ:
てゐ、材料が減ってきたから
買い出しにいこうと思うんだけど。
因幡 てゐ:
ちょうどよかった。
新入り、次は鈴仙と一緒に買い出しにいってきて。
因幡 てゐ:
ついでに自分の必要なものを買ってきなよ。
お店は、鈴仙が知ってるからさ。
今泉 影狼:
わかったわ。よろしくお願いします。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
こちらこそ、荷物持ちよろしくね。
それじゃ、さっそく行きましょうか!