八雲 紫: それじゃ、さっそく前回のおさらい。 ついに魔理沙たちが、形代の巣を壊したのよね。 八雲 紫: でも、その矢先、空に黒い球体が現れて、 幻想郷中のユメミタマを吸い込み始めた……。 八雲 紫: ……ところで、瀝青に汚染された正邪を 助けるために、奔走していた菫子のことだけど。 八雲 紫: そろそろ、何か見つかったんじゃないかしら。 さあ、様子を見てみましょう。 -------------- 紅魔館 -------------- 鬼人 正邪: ぜっ、ぜぇっ……。 宇佐見 菫子: あぁもう。どこに行っても、誰に聞いても、 助ける方法がわからないなんて! 宇佐見 菫子: あとはもう、ここしか……! パチュリー・ノーレッジ: そう、そこの天邪鬼が瀝青に……。 鬼人 正邪: 諸行無常、ゆえに一切皆苦。雑念を捨て去り、 一心に努めれば……、くそっ。また勝手に。 パチュリー・ノーレッジ: 愉快ではあるけれど、ちょっと気味が悪いわね。 いいわ、そいつを助ける方法を教えてあげる。 パチュリー・ノーレッジ: まず、そもそも瀝青と呼んでいるあれが、 本物のタールではないということは、いい? 宇佐見 菫子: 前に、現実を黒く侵食する 汚染エネルギーだって言ってたよね。 パチュリー・ノーレッジ: ええ。あれは、外の人間の空想や妄想が 元になって生まれたエネルギーなの。 パチュリー・ノーレッジ: 様々な思いが雑じり合った黒いエネルギー。 そんなものに、身体ごと浸かったりしたら……、 パチュリー・ノーレッジ: 身も心も、魂の芯までも、 きれいに黒に染め上げられてしまうわ。 宇佐見 菫子: そ、それで……、黒くなっちゃった人を 元に戻すには、どうしたらいいの? パチュリー・ノーレッジ: 本によれば……、黒に汚染された人に 彩りを取り戻す、とっておきの秘薬があるの。 パチュリー・ノーレッジ: ただし、作るのはとっても大変。まず材料を 集めなければいけないし、手順も複雑で……。 宇佐見 菫子: それでも作るよ! お願い! その秘薬の作り方を教えて! パチュリー・ノーレッジ: ……いいわ。それじゃ、菫子。まずは、 ここに書いた材料を集めてきてくれる? 宇佐見 菫子: こうして、混ぜて……っ。 よし、できた! パチュリー・ノーレッジ: あとは……。あ、咲夜。いいところに! パチュリー・ノーレッジ: 20年物くらいの、落ち着いた味のブランデーが 必要なんだけど……。これ、熟成させてくれない? 十六夜 咲夜: は? 熟成……? いえ、わかりましたわ。一瞬で終わらせます。 十六夜 咲夜: ……はい、終わりましたよ。 ちゃんと、木樽で熟成させておきましたから。 パチュリー・ノーレッジ: さすが、咲夜。気が利くわね。 宇佐見 菫子: つ、ついに……。 宇佐見 菫子: ついに、できたーっ! 図書館印の特製ブランデー! 宇佐見 菫子: いや~、飲むの楽しみだな~! 肴は何にしようかな? 宇佐見 菫子: ……って、違うよ! 私が作りたかったのは、 正邪を助ける秘薬なんですけど!? パチュリー・ノーレッジ: 落ち着いて。 さあ、最後の仕上げといきましょう。 パチュリー・ノーレッジ: この林檎に、このブランデーを一滴垂らして…… パチュリー・ノーレッジ: ……アルドカローロ。 宇佐見 菫子: え? パチュリーさん、今なんて……。 宇佐見 菫子: うわっ!? なんか、カラフルに光り出しましたけど!? パチュリー・ノーレッジ: で、これを、そこの黒いのに押し込めば……。 鬼人 正邪: ぐ、うぅ……っ! うああああっ! 宇佐見 菫子: す、すごい! 身体からユメミタマが出て、 正邪を染めてた瀝青が、すっかり消えちゃった! パチュリー・ノーレッジ: ふふ……。これはね、 銀枝の林檎という、特別な林檎なの。 パチュリー・ノーレッジ: 百日以上、毎日世話をしないと枯れてしまう 銀色の木に、月夜の晩にだけ生る真っ赤な林檎…… パチュリー・ノーレッジ: 滅多に手に入らない、本当に貴重なものなのよ。 たまたま、一つ残っててよかったわ。 宇佐見 菫子: そんな貴重なものを……! ありがとう、パチュリーさん! 宇佐見 菫子: よーし! あとは、このユメミタマを浄化するだけね!