八雲 紫: それじゃ、前回の話をおさらいするけど……。 八雲 紫: 異変解決の宴会をしようとしたら、 彷徨月から大量の瀝青があふれ出てきたのよね。 八雲 紫: どうやら霊夢は、事情を 知っているみたいだったけれど……。 八雲 紫: みんなは大丈夫なのかしら。 とにかく、様子を見てみましょう。 -------------- 博麗神社 -------------- 霧雨 魔理沙: ……霊夢。今度こそ本当に、 全部、きちんと、説明してもらうぞ。 博麗 霊夢: ええ。あなたたちが、一から十まで説明しないと 何も理解できないバカなのは、身に染みたもの。 霧雨 魔理沙: はぁー? おまえの説明が、意味不明だったんだよ。 霧雨 魔理沙: ……まあ、いいや。 それで結局、何が起こってるんだ? 博麗 霊夢: じゃあ、最初から話すわね。そもそも、 あなたたちは勘違いしているようだけど……、 博麗 霊夢: 幻想郷を復興するエネルギーは、ダンマクカグラで ユメミタマを浄化してできるわけじゃないわ。 高麗野 あうん: え……? で、でも実際、 浄化すればするほど復興は進みましたよ? 博麗 霊夢: そうね。でも私たちは、ユメミタマから出た 瀝青のエネルギーを、空に送っていただけ。 博麗 霊夢: 汚れたエネルギーをきれいに浄化して、 幻想郷に返してくれていたのは…… 博麗 霊夢: あの彷徨月の向こうにいる、ロカなのよ。 霧雨 魔理沙: ロカ……。結局、何者なんだ? 月の向こうにいるってことは、月の民ってことか? 博麗 霊夢: 違うわ。あれって月のように見えるけど、 本当は、この世界の境界に開いた穴だから。 博麗 霊夢: その向こうにいるロカは、この幻想郷において、 博麗大結界と同じ役割を担う存在なの。 博麗 霊夢: この、新しい幻想郷を守るシステム。 この世界には存在しない博麗大結界の、代理役。 鬼人 正邪: ……は? ちょっと待て、この世界には、 外と内を隔てる博麗大結界が、ないだって!? 博麗 霊夢: そうよ? だから、結界を守る博麗の巫女としての 使命がなくて、いまいちやる気が出なかったのよね。 博麗 霊夢: でも、ロカが結界と同じだと気づいたから……。 あれを守るのが、私の使命だって決めたのよ。 霧雨 魔理沙: ……いや、いやいや。待て。 情報が多くて混乱するんだが。 博麗 霊夢: 情けないわねぇ。 まあ、とにかく! 博麗 霊夢: あんたたちが、ダンマクカグラをしすぎたせいで ロカの浄化能力が限界を超えてしまったのよ! 博麗 霊夢: 彷徨月だって、どんどん陰っていったでしょ? ……まさか、それにも気づいていなかったとか? 霧雨 魔理沙: き、気づいていたに決まっているだろ? なあ、あうん! 高麗野 あうん: ええ。たしかに、彷徨月の色が おかしいような気がしていました。 霧雨 魔理沙: そうだったのか……。 と、とにかく、今の状況はこういうことだな!? 霧雨 魔理沙: ロカに溜まった瀝青が限界を超えたから、 彷徨月から幻想郷にあふれてきている! 博麗 霊夢: そうよ。で、このまま放っておけば、ロカは死ぬ。 そして、ロカが死ねば……。 博麗 霊夢: せっかく生まれ変わったこの幻想郷も、 私たちもみんな、おしまいよ。 宇佐見 菫子: そ、そんなぁ……。 何か打つ手はないの!? 霧雨 魔理沙: どうにかして、ロカを助けないとだ。でも、 瀝青に汚染されたやつを助ける方法なんて……! 菫子・正邪: ……あっ!?