八雲 紫: 心象断片マインドフラグメンツ集めは、どうやら順調みたいね。 残りは、あと1つみたい。 八雲 紫: ところで、私の贋物が 言っていたことを覚えてる? 八雲 紫: 幻想郷を襲う本当の敵、シャングリ=ラの狙い。 それは、すべての世界を滅ぼすこと……。 八雲 紫: いつまでも放置しておくわけにいかないわね。 そろそろ……、私の出番かしら。 -------------- 人間の里 -------------- 博麗 霊夢: すべての世界を滅ぼす、ですって……!? 霧雨 魔理沙: ていうか、他の世界と融合って……、 そんなこと、あり得るのかよ? 八雲 紫?: ええ。そして、別世界との融合は、 すでに始まっているわ。 八雲 紫?: だから、今回の異変が起きているのよ。 貴方たちが贋物と呼んでいる彼女たちは……。 八雲 紫?: 境界のほつれから、こちらの世界に迷い込んだ、 別世界の幻想郷にいるはずの存在なのよ。 博麗 霊夢?: もう大丈夫。ユメミタマは浄化したわ。 里の人間: た、助かった……! さすがは巫女さまだ。 今度、神社にお礼に行くよ! 博麗 霊夢?: いえいえ、気をつけてお帰りください。 ……ふう。 霧雨 魔理沙?: おーい、霊夢。残念なお知らせだ。 霧雨 魔理沙?: あちこち見てきたが、見覚えのある景色とは、 やっぱり、ちょっとずつ違ってたよ。 霧雨 魔理沙?: ここはおそらく、別の幻想郷とでも 呼ぶべき場所なんだろう。 博麗 霊夢?: そっか……。それじゃ私たち、 どうやって帰ったらいいのかしらね。 霧雨 魔理沙?: さあな。引き続き調べてみるしかないさ。 それじゃ、私はもう行くよ。またな。 霧雨 魔理沙: 贋物たちは贋物たちで、 いろいろ調査をしているのか。 博麗 霊夢?: うわっ! いきなり誰かと思えば、私の贋物! 博麗 霊夢: 私が本物! って、そうじゃなくて。 あんたたち、帰り方がわかんないの? 霧雨 魔理沙: この小さい紫が言うには、おまえたちは 境界のほつれから、この世界に迷い込んだんだと。 霧雨 魔理沙: だったら、境界のほつれに飛び込めば、 元の世界に帰れるんじゃないのか? 八雲 紫?: それは不可能でしょうね。あれは常に不安定で、 無闇に入ったら、どの世界に出るかわからないわ。 八雲 紫?: みんなを無事に元の世界に帰すなら、まずは シャングリ=ラをどうにかしなければ……。 博麗 霊夢?: ……まあ、事情はわかったわ。 帰りたければ協力するしかないってわけね。 博麗 霊夢?: この話、一応みんなにも伝えておくわね。 納得してくれるかは知らないけど。 博麗 霊夢: ……結局、贋物たちも、 シャングリ=ラの被害者ってわけなのね。 霧雨 魔理沙: そもそも、シャングリ=ラってなんなんだよ。 人か、組織か、それとも別の世界ってやつか? 八雲 紫?: そうね、その説明をしてなかった。 立ち話もなんだし、ちょっと場所を変えましょう。 -------------- 博麗神社 -------------- 八雲 紫?: さて、何から話しましょうか。 貴方たち、博麗大結界は知ってるわよね? 博麗 霊夢: 当たり前でしょ。 この幻想郷には、存在しないみたいだけど。 八雲 紫?: そうね。そして、大結界は 最初から幻想郷にあったわけでもない。 八雲 紫?: 幻想郷は、一つの世界として閉じていなかった。 ただの世界の一部にすぎなかったわ。 八雲 紫?: けれどある時、妖怪の未来を憂えた賢者たちが、 世界を閉じることを決めた。 八雲 紫?: 幻と実体の境界で妖怪を集めて築き上げた場所を、 博麗大結界によって、一つの世界として確立させたの。 霧雨 魔理沙: ああ、少しだけ本で読んだことあるぞ。 龍神が怒ったとか、反対者も出た、とか。 八雲 紫?: そう、賛同するものばかりではなかった。 賢者たちの提案に異論を唱える者も多かったの。 八雲 紫?: 特に、強制的に呼び寄せられた妖怪たちの中に 反対者が多かったわ。 八雲 紫?: 自分たちは、まだ力を失ってなどいない。 人々に忘れ去られた幻想などではない、……って。 八雲 紫?: そうして、彼らは幻想郷を出ていった。 自分たちの思い描く理想郷を作るためにね。 八雲 紫?: そんな彼らが生み出した理想郷。 それが、シャングリ=ラよ。 霧雨 魔理沙: そ、そうだったのか……。 八雲 紫?: でも、彼らは、自分の理想郷を うまく発展させることができなかった。 八雲 紫?: だから、今となっては、彼らは貧弱な存在。 もうずっと衰退していて、消えかけているの。 八雲 紫?: それで、今も発展し続けている幻想郷を、 とっても憎んでいて……。 霧雨 魔理沙: そりゃあ、幻想郷が嫌で新しい世界を作ったのに 全然敵わないんじゃ、悔しいだろうけど。 博麗 霊夢: シャングリ=ラだかを作ったのは、 めんどくさいやつらなのねぇ。 霧雨 魔理沙: まったくだ。気持ちはわからんでもないが、 だからって、すべての世界を滅ぼそうなんて……。 八雲 紫?: 実は、シャングリ=ラは、前から幻想郷に攻撃を 仕掛けてきていてね。私が対処していたの。 八雲 紫?: でも、ちょっと油断してしまって……。 博麗 霊夢: それで、そんな姿になっちゃったの? めずらしいわね、あんたが油断なんて。 八雲 紫?: けれど、あと少し。最後の心象断片マインドフラグメンツさえ 取り戻せば、今度こそ私が止めてみせる。 博麗 霊夢: それじゃ、さっさと4つ目の心象断片マインドフラグメンツを 探しに行きましょう。今度はどこ? 八雲 紫?: こっちよ。3つのフラグメントを集めた今なら、 正確な位置まで突き止められるわ。すぐに……、 ???: あら、それは困ったわね。 八雲 紫: 残念だけど、4つ目のフラグメントには たどり着かせてあげないわ。