八雲 紫:
心象断片集めは、どうやら順調みたいね。
残りは、あと1つみたい。
八雲 紫:
ところで、私の贋物が
言っていたことを覚えてる?
八雲 紫:
幻想郷を襲う本当の敵、シャングリ=ラの狙い。
それは、すべての世界を滅ぼすこと……。
八雲 紫:
いつまでも放置しておくわけにいかないわね。
そろそろ……、私の出番かしら。
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人間の里
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博麗 霊夢:
すべての世界を滅ぼす、ですって……!?
霧雨 魔理沙:
ていうか、他の世界と融合って……、
そんなこと、あり得るのかよ?
八雲 紫?:
ええ。そして、別世界との融合は、
すでに始まっているわ。
八雲 紫?:
だから、今回の異変が起きているのよ。
貴方たちが贋物と呼んでいる彼女たちは……。
八雲 紫?:
境界のほつれから、こちらの世界に迷い込んだ、
別世界の幻想郷にいるはずの存在なのよ。
博麗 霊夢?:
もう大丈夫。ユメミタマは浄化したわ。
里の人間:
た、助かった……! さすがは巫女さまだ。
今度、神社にお礼に行くよ!
博麗 霊夢?:
いえいえ、気をつけてお帰りください。
……ふう。
霧雨 魔理沙?:
おーい、霊夢。残念なお知らせだ。
霧雨 魔理沙?:
あちこち見てきたが、見覚えのある景色とは、
やっぱり、ちょっとずつ違ってたよ。
霧雨 魔理沙?:
ここはおそらく、別の幻想郷とでも
呼ぶべき場所なんだろう。
博麗 霊夢?:
そっか……。それじゃ私たち、
どうやって帰ったらいいのかしらね。
霧雨 魔理沙?:
さあな。引き続き調べてみるしかないさ。
それじゃ、私はもう行くよ。またな。
霧雨 魔理沙:
贋物たちは贋物たちで、
いろいろ調査をしているのか。
博麗 霊夢?:
うわっ! いきなり誰かと思えば、私の贋物!
博麗 霊夢:
私が本物! って、そうじゃなくて。
あんたたち、帰り方がわかんないの?
霧雨 魔理沙:
この小さい紫が言うには、おまえたちは
境界のほつれから、この世界に迷い込んだんだと。
霧雨 魔理沙:
だったら、境界のほつれに飛び込めば、
元の世界に帰れるんじゃないのか?
八雲 紫?:
それは不可能でしょうね。あれは常に不安定で、
無闇に入ったら、どの世界に出るかわからないわ。
八雲 紫?:
みんなを無事に元の世界に帰すなら、まずは
シャングリ=ラをどうにかしなければ……。
博麗 霊夢?:
……まあ、事情はわかったわ。
帰りたければ協力するしかないってわけね。
博麗 霊夢?:
この話、一応みんなにも伝えておくわね。
納得してくれるかは知らないけど。
博麗 霊夢:
……結局、贋物たちも、
シャングリ=ラの被害者ってわけなのね。
霧雨 魔理沙:
そもそも、シャングリ=ラってなんなんだよ。
人か、組織か、それとも別の世界ってやつか?
八雲 紫?:
そうね、その説明をしてなかった。
立ち話もなんだし、ちょっと場所を変えましょう。
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博麗神社
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八雲 紫?:
さて、何から話しましょうか。
貴方たち、博麗大結界は知ってるわよね?
博麗 霊夢:
当たり前でしょ。
この幻想郷には、存在しないみたいだけど。
八雲 紫?:
そうね。そして、大結界は
最初から幻想郷にあったわけでもない。
八雲 紫?:
幻想郷は、一つの世界として閉じていなかった。
ただの世界の一部にすぎなかったわ。
八雲 紫?:
けれどある時、妖怪の未来を憂えた賢者たちが、
世界を閉じることを決めた。
八雲 紫?:
幻と実体の境界で妖怪を集めて築き上げた場所を、
博麗大結界によって、一つの世界として確立させたの。
霧雨 魔理沙:
ああ、少しだけ本で読んだことあるぞ。
龍神が怒ったとか、反対者も出た、とか。
八雲 紫?:
そう、賛同するものばかりではなかった。
賢者たちの提案に異論を唱える者も多かったの。
八雲 紫?:
特に、強制的に呼び寄せられた妖怪たちの中に
反対者が多かったわ。
八雲 紫?:
自分たちは、まだ力を失ってなどいない。
人々に忘れ去られた幻想などではない、……って。
八雲 紫?:
そうして、彼らは幻想郷を出ていった。
自分たちの思い描く理想郷を作るためにね。
八雲 紫?:
そんな彼らが生み出した理想郷。
それが、シャングリ=ラよ。
霧雨 魔理沙:
そ、そうだったのか……。
八雲 紫?:
でも、彼らは、自分の理想郷を
うまく発展させることができなかった。
八雲 紫?:
だから、今となっては、彼らは貧弱な存在。
もうずっと衰退していて、消えかけているの。
八雲 紫?:
それで、今も発展し続けている幻想郷を、
とっても憎んでいて……。
霧雨 魔理沙:
そりゃあ、幻想郷が嫌で新しい世界を作ったのに
全然敵わないんじゃ、悔しいだろうけど。
博麗 霊夢:
シャングリ=ラだかを作ったのは、
めんどくさいやつらなのねぇ。
霧雨 魔理沙:
まったくだ。気持ちはわからんでもないが、
だからって、すべての世界を滅ぼそうなんて……。
八雲 紫?:
実は、シャングリ=ラは、前から幻想郷に攻撃を
仕掛けてきていてね。私が対処していたの。
八雲 紫?:
でも、ちょっと油断してしまって……。
博麗 霊夢:
それで、そんな姿になっちゃったの?
めずらしいわね、あんたが油断なんて。
八雲 紫?:
けれど、あと少し。最後の心象断片さえ
取り戻せば、今度こそ私が止めてみせる。
博麗 霊夢:
それじゃ、さっさと4つ目の心象断片を
探しに行きましょう。今度はどこ?
八雲 紫?:
こっちよ。3つのフラグメントを集めた今なら、
正確な位置まで突き止められるわ。すぐに……、
???:
あら、それは困ったわね。
八雲 紫:
残念だけど、4つ目のフラグメントには
たどり着かせてあげないわ。