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地下室
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パチュリー・ノーレッジ:
ちょっといいかしら、フラン。
って、これは……ロケット?
パチュリー・ノーレッジ:
ちょっと、貴方たち。何をしているの?
東風谷 早苗:
あ、お邪魔してます。今、宇宙観光のための、
ロケットを造っているんですよ!
河城 にとり:
幻想郷初の宇宙旅行事業を立ち上げて、
一儲けするんだ〜。
東風谷 早苗:
前も紅魔館で、ロケットを建造されたんですよね。
なので、縁起がいいと思いまして。
パチュリー・ノーレッジ:
それはそうかもしれないけど、
だからって、勝手にこんなことを……。
東風谷 早苗:
あ、許可ならちゃんといただいています。
この地下室の所有者から。
フランドール・スカーレット:
この部品は、ここで使うのよね?
できたわよ! 次はどうするの?
パチュリー・ノーレッジ:
……どうやら、嘘じゃないみたいね。
パチュリー・ノーレッジ:
でも、このロケット、本当に飛ぶのかしら?
この構造では、推進剤が足りなくなりそう……。
東風谷 早苗:
あ、なんだか詳しいご様子!
もしかして、手伝っていただけるんですか?
パチュリー・ノーレッジ:
いや、私は手伝わないけど。
東風谷 早苗:
そうですか……。では、完成した暁には
お呼びしますので、楽しみにしていてくださいね!
パチュリー・ノーレッジ:
ねえ、ちょっと。そこのパーツは、
その大きさじゃサイズが合わないわよ。
東風谷 早苗:
えっ!? あ、ありがとうございます……。
パチュリー・ノーレッジ:
そこを居室にするなら、快適さを考えて、
もっとスペースを取った方がいいと思うわ。
河城 にとり:
びっくりした……。
って、やっぱり手伝う気になったのか?
パチュリー・ノーレッジ:
いいえ、そんなつもりはないわよ。
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数時間後
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東風谷 早苗:
やりました! ついに、ロケット完成です〜!
パチュリー・ノーレッジ:
やるじゃない。本当に完成させるなんて。
フランドール・スカーレット:
結構かっこいいのができたわね。
それじゃ、さっそく試験飛行を始めましょ!
河城 にとり:
よーし、導火線に点火〜!
パチュリー・ノーレッジ:
……あら? そういえば、
天井はどうやって開けるつもり?
東風谷 早苗:
え、天井? ……あああっ!?
パチュリー・ノーレッジ:
ま、まさか、天井を開けるのを忘れてたの!?
これじゃあ、ロケットが激突するわよ!
東風谷 早苗:
た、大変! にとりさん!
試験飛行は中止! 今すぐ中止です〜!
河城 にとり:
ひゅい!? 急にそんなこと言われても!
そ、そうだ! 導火線の火を消せば……!
パチュリー・ノーレッジ:
それなら、魔法で水をかけて……ダメ、消えない!
ああ、もう間に合わないわ……っ!
パチュリー・ノーレッジ:
……あ、あれ? ロケットは?
フランドール・スカーレット:
もしかして……、飛ばなかった?
東風谷 早苗:
これは……、どうやら打ち上げ用の燃料が、
入ってなかったみたいですね。
河城 にとり:
つまり、不幸中の幸いか……。
って、ん? なんか、ロケットが傾いてる?
フランドール・スカーレット:
ちょっと……。これ、倒れるわよ!
河城 にとり:
ああーっ! 私たちのロケットがぁー!
……ううっ、こんなのあんまりだぁ……。
パチュリー・ノーレッジ:
あやうく、館ごと吹き飛ぶところだったわ……。
この程度の被害で済んで、幸運だったわね。