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地下室
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上白沢 慧音:
ここのメイドに呼ばれて、来てみたが……。
なんだ、誰もいないのか? って、うわっ!
上白沢 慧音:
な、なんだ、この大穴は!?
んん? 穴の底に誰かがいる?
宇佐見 菫子:
あっ! その声は、寺子屋の先生!
ちょっと待っててね、今行くから。
上白沢 慧音:
お前たち、いったい何をしているんだ?
フランドール・スカーレット:
今、地下の発掘調査をしているのよ。何か
面白い物が見つかるかもしれない、と思ってね。
宇佐見 菫子:
慧音さんは歴史の先生だから、
こういうのに興味があるんじゃないかなって。
上白沢 慧音:
そう言って、手伝わせる気なんだろう?
くだらない、帰るぞ。
宇佐見 菫子:
待って待って! 帰っちゃう前に、これを見て!
宇佐見 菫子:
さっき地下を掘っていたら、見つけたの。
これ、寺子屋の授業に役立つんじゃないかな?
上白沢 慧音:
これは、貝殻の化石か? こんなものが
見つかるとは。……ふむ、確かに興味深い。
上白沢 慧音:
そうだな、見つかった化石を教材として
寄贈してくれるというのなら、手伝おう。
宇佐見 菫子:
やったあ! ありがとう!
フランドール・スカーレット:
人手が増えたわね。
さ、早く続きをしましょうか。
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数時間後
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上白沢 慧音:
いやあ、素晴らしいな! はっきりとした層理に、
豊富な化石! どこを掘っても発見がある!
フランドール・スカーレット:
もう一つ、横穴を開けたわ。
今度は、こっちを探してみましょう。
宇佐見 菫子:
よーし、さらに深くまで掘って、
もっと化石を見つけるぞー!
上白沢 慧音:
おお! 今度は生物の骨か!
……うん? なんだか、地響きが聞こえるような?
レミリア・スカーレット:
ちょっと、あなたたち!?
館が傾き始めてるんだけど、何をやってるのよ!
宇佐見 菫子:
そ、そんな!
家具が、ぐちゃぐちゃになってる!
上白沢 慧音:
ほ、本当だ! このままではいけない!
すぐに穴を埋めて修復しよう!
レミリア・スカーレット:
なるほどね。化石の発掘に夢中になって、
地下を掘りすぎたってことね……。
上白沢 慧音:
本当に申し訳ない! 次々に面白いものが
見つかったもので、つい熱中してしまって……。
レミリア・スカーレット:
まあいいわ。ちゃんと修復もしてくれたことだし。
ただし、もう二度とここで発掘はしないで。
フランドール・スカーレット:
ま、そうね。
寝床がなくなると、私もさすがに困るし。
宇佐見 菫子:
残念だったね、先生。
せっかく、いろいろ見つけたのになぁ。
レミリア・スカーレット:
ああ、掘り出した化石なら、
好きに持って行ってよ。放置されても困るわ。
上白沢 慧音:
本当か、恩に着る!
では、さっそく持ち帰って、鑑定を……。
上白沢 慧音:
……ん!? ちょっと待て、ないぞ。
ここに置いていたはずの化石が、一つもない!
宇佐見 菫子:
えっ? ……あっ! そ、そういえば、
さっき、全部いっしょに埋めちゃったよ!
上白沢 慧音:
な、なんてことだ。
せっかくの貴重な教材が……。