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竹林前
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宇佐見 菫子:
この前のこと、ちゃんと謝らないと……!
ああ、兎さん、まだ怒ってるかなぁ。
因幡 てゐ:
見つけたー! ここにいたのか、外来人!
懲りもせず、また竹林を荒らしやがってー!
宇佐見 菫子:
えっ? ええっ!? 待って待って!
またって、なんのこと?
因幡 てゐ:
シラを切る気? さっき報告があったんだよ。
また竹林が荒らされているって!
因幡 てゐ:
あんたたちは、この前もやらかしてたからね。
今回も、あんたたちなんでしょ?
宇佐見 菫子:
え〜!? 今回は関係ないよ!
因幡 てゐ:
はっ! どうだか! 関係ないって証拠はあるの?
宇佐見 菫子:
しょ、証拠!? そんなのないけど……。
宇佐見 菫子:
な、なにこの風!?
因幡 てゐ:
むむむ……。この風が、竹林を荒らす原因なの?
つまり、風上にあんたの仲間がいるってことね!
宇佐見 菫子:
ちょ、ちょっと! ……うう、濡れ衣なのにぃ。
疑いを晴らすために、なんとかしないと!
宇佐見 菫子:
えーっと……、風上はあっちかな。
よし! テレポートで……えいっ!
宇佐見 菫子:
よしっ、兎さんより先に着いた。
早く犯人を見つけなきゃ。
宇佐見 菫子:
あ、誰かいる! あいつが風を起こしているのね。
よーし、このタケノコを……ていっ!
東風谷 早苗:
あ、いたぁっ!? な、何……って、タケノコ?
宇佐見 菫子:
えっ!? さ、早苗さん!?
貴方が、竹林を荒らしていた犯人だったの?
東風谷 早苗:
す、菫子さん!?
って、どうしてタケノコを投げつけるんですか!
宇佐見 菫子:
えっと、その……ごめんなさい。
っていうか、こんな所で何をしているの?
東風谷 早苗:
私は、バイオ燃料の材料にするために、
竹を採取していたの。
宇佐見 菫子:
えっ、バイオ燃料!?
それって、あの再生可能エネルギーの?
東風谷 早苗:
そうなんです。新たなエネルギー資源として
バイオ燃料を普及させようと。
東風谷 早苗:
すでに製造の準備も整っています。
これも信仰のため、幻想郷のためですから!
因幡 てゐ:
やっと見つけたー!
って、やっぱりあんたたちじゃないか!
宇佐見 菫子:
いやいや。だから、私は関係ないって!
東風谷 早苗:
そうです! 菫子さんは関係ありません!
今回は私だけなんです!
東風谷 早苗:
それに、竹を採取する許可はいただいています。
先ほど里でお会いした、永遠亭の方から!
因幡 てゐ:
はぁ!? そんなこと聞いてないけど……。
因幡 てゐ:
どうしたの? ふんふん……えっ!?
許可が出てる!?
因幡 てゐ:
あー……、ごめんなさい。
こっちの連絡ミスだったみたい。
因幡 てゐ:
お詫び……になるかわからないけど、
こないだ聞かれた、光る竹について教えてあげる。
因幡 てゐ:
光る竹は、確かにこの竹林にあるわ。でもね、
あれを切っても、特に何も出てこないのよねー。
因幡 てゐ:
光る原因も、よくわからないし……。
お師匠様いわく、薬の材料にはなるらしいけど。
宇佐見 菫子:
薬の材料……。お姫様や金銀財宝が、
隠されてるわけじゃないんだ……。
東風谷 早苗:
竹からお姫様とかが出てくるところを、
見てみたかったのに……。うぅ、残念です。
因幡 てゐ:
そんなことより、ちょっと聞こえたんだけど
バイオ燃料ですって?
因幡 てゐ:
竹林の所有者である私を差し置いて、
そんなうまそうな金儲けを企むなんて、ダメよ!
東風谷 早苗:
いえ。これは商売ではありません!
すべて幻想郷のために……。
因幡 てゐ:
まあまあ、そんな建前はいいから。
とりあえず、私にも一枚噛ませなさい。
因幡 てゐ:
そしたら、あとは私に任せとけば大丈夫よ!
あっという間に広まって、大儲け間違いなし!
因幡 てゐ:
とってもいい話でしょう?
はい、決まり! 契約成立ね! 楽しみだわー!
東風谷 早苗:
だから、お金儲けをするためではないのに……。
宇佐見 菫子:
あはは……。でもさ、現代の科学技術のよさが
広まってくれるなら、こういうのもアリかもよ?