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迷いの竹林
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鈴仙・優曇華院・イナバ:
とりあえず、今日の仕事はこれくらいかな。
……って、あそこにうずくまってるのは?
魂魄 妖夢:
う、ううっ……。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
貴方、白玉楼の庭師じゃない!
どうしたの? ケガをしているみたいだけど。
魂魄 妖夢:
あ、ああ……永遠亭の兎か……。
それが、何者かに背後から襲われて……。
魂魄 妖夢:
しかも、一人でいたから、犯人の姿を
確認できなかったの……。不覚だわ……。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
あらら、それは大変ね……って貴方、
顔色もずいぶん悪いみたいだけど、大丈夫?
魂魄 妖夢:
そもそも具合が悪くて、診てもらうために来たの。
幽々子様も、そうしたほうがいいって。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
なるほどね。それなら、この薬を使って。
ちょうど、里に薬を売りにいった帰りなのよ。
魂魄 妖夢:
ありがとう。恩に着るわ。
それじゃあ気をつけてね。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
気をつけてって……、貴方こそね。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
ふぅ、今日もいろいろあったなぁ。
明日も早いし、早く寝ようっと。
妖怪兎:
う、うわあああああああ!?
因幡 てゐ:
うーん、どうしよう……。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
あら、どうしたの? 悩みごと?
因幡 てゐ:
あ、鈴仙。実は昨晩、兎が何者かに襲われたの。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
えっ! そうなの!?
因幡 てゐ:
一人でいたところを背後から襲われたみたいで、
しかも、誰も犯人を見ていないって。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
それなら、私も犯人探しを手伝うわ。
妖怪兎:
ううっ……。
因幡 てゐ:
んん? お前は……?
鈴仙・優曇華院・イナバ:
貴方どうしたの!? ひどいケガ……。
妖怪兎:
わ、私も襲われまして……。
まだ、犯人は近くにいます!
魂魄 妖夢:
あははは! どこだー! どこへ逃げたー!
魂魄 妖夢:
あちらにも! こちらにも! あはははは!
幽霊がたくさん! 連れ戻さないと!
鈴仙・優曇華院・イナバ:
あれは昨日の!? どうしちゃったの?
幽霊なんて、どこにも……。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
もしかして、幻覚を見ている?
……あっ! まさか昨日の薬のせいで?
因幡 てゐ:
ねー、鈴仙。この兎……。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
てゐ! ちょっとごめん!
ここは任せたわよ!
因幡 てゐ:
ちょ、ちょっと、鈴仙!?
……って、うわあ!
魂魄 妖夢:
見ーつけた! あとは、お前たちだけ!
さあ、覚悟しろ!
因幡 てゐ:
ま、まずい……!
因幡 てゐ:
お、お師匠様!?
八意 永琳:
危なかったわね、てゐ。
なるほど……、急性薬物中毒による幻覚症状ね。
八意 永琳:
弟子の不始末なのだから、私が責任を取るわ。
八意 永琳:
これで、二人の治療も済んだわ。
……さて、鈴仙。
八意 永琳:
今回の騒動の原因は、わかっているわね?
鈴仙・優曇華院・イナバ:
はい……。私が勝手に、薬を渡したせいで……。
八意 永琳:
そうです。そもそも、くわしく診せずに
薬を処方するなど、言語道断!
八意 永琳:
今後、そのようなことのないように!
そして、後でお仕置きです! いいわね?
鈴仙・優曇華院・イナバ:
はい! 申し訳ありません。
肝に銘じて、これから一層、精進します!
因幡 てゐ:
助かったよ、鈴仙。
お師匠様を呼んできてくれたのよね?
鈴仙・優曇華院・イナバ:
そうよ。間に合ってよかった!
私の失敗で、てゐにも迷惑をかけちゃったわね。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
でも、これで兎が襲われることはないはずよ。
因幡 てゐ:
そうだねー。ま、今日はもう帰るとしますか。
鈴仙・優曇華院・イナバ:
……あれ? 犯人があの庭師だったんだとしたら、
最初にあの庭師を襲ったのは……?
妖怪兎:
きゃあああああああ!