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妖怪の山
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東風谷 早苗:
ああ、ロープウェイを吹き飛ばしちゃった……。
きっと天罰が落ちるんだ……!
河城 にとり:
そりゃー大変だね。ま、私には関係ないけど。
さて別の稼ぎを探すかー……。
東風谷 早苗:
……あなたにも、天罰が落ちると思いますよ。
ロープウェイを勝手に利用したわけだし。
河城 にとり:
天罰だって?
はん。宗教家の脅しは通用しないよ。
東風谷 早苗:
脅しなんかじゃありませんよ。
神奈子様や諏訪子様の天罰は、本物です!
河城 にとり:
具体的には? 河童基準で例えると?
東風谷 早苗:
んー、二度とキュウリが食べられなくなるとか?
それもあなただけじゃなくて、河童全体が。
河城 にとり:
そいつは、ちょっとコトだな……。わかったよ。
私が直してやる。なんなら改良もしてやるよ!
東風谷 早苗:
いや、元通りにするだけで十分なんだけど……。
河城 にとり:
上司の機嫌を取るには、付加価値が必要だろ?
参拝客を増やせる程度にはね。
東風谷 早苗:
そりゃまあ、たしかにありがたいけど……。
でも、どんな改良を?
河城 にとり:
単純に速度と乗り心地だけじゃ無理だな。
もっと目立つ外観が必要だ。射幸心を煽れ。
東風谷 早苗:
じゃあ、前に作ったアドバルーンみたいな?
非想天則でしたっけ?
東風谷 早苗:
実は最初、乗ってみたいと思ってたのよね。
河城 にとり:
人間の感覚で乗ってみたいんなら、正解なのか?
じゃあ見た目は決まった! あとは……。
東風谷 早苗:
腕が飛んでいくのね! 巨大ロボならよくある!
あ、手に乗るのもいい! ロマンだわー。
河城 にとり:
うーん、人間が乗り気ならいけるのか?
まあ、やってみるか!
河城 にとり:
よーし、試作品完成だ!
とりあえず、動きはするな。
東風谷 早苗:
おお! 本当に巨大ロボ!
でも、最初から飛んでる格好なのね。
河城 にとり:
そりゃ立つ必要もないからな。
最低限の機能しか付けてないけど、どうだ?
東風谷 早苗:
ばっちりです! あ、操縦席できてる!
では早速……、発進!
河城 にとり:
あ、バカ! まだ速度調整してないってのに!
東風谷 早苗:
いやー!? なんでこんなに速度出るの!?
止めるには……、このボタン!?
東風谷 早苗:
ああ!? 右腕のロケットパンチが出た!?
え、目の前神社!? もう終点!?
東風谷 早苗:
うそ!? 今終点突き破った!?
待って、これじゃ神社が……これで止まる!?
東風谷 早苗:
ああ!? 左腕まで飛んだー!?
本堂も見えてきた!? もうダメだー!?
河城 にとり:
あー、間に合わなかったか……。
本堂もゴンドラも、めちゃくちゃだな……。
東風谷 早苗:
ど、どうして……こんなことに……。
河城 にとり:
お前が勝手に動かすからだろ。
まあほら、生きてるだけでも儲けものじゃん?
東風谷 早苗:
うう、本堂までなくなったら、
ここはこれから、なんて呼べばいいんですか?
河城 にとり:
んー、跡地? それか、成れの果て?
東風谷 早苗:
違います! ここは、ずっと守矢神社です!
絶対なんとかしてみせます……!