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灼熱地獄
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霧雨 魔理沙:
天狗!
なんでお前が、八咫烏の力を持っているんだ?
射命丸 文:
前に話しませんでした?
ご存じの通り、神から力をいただきましてね。
射命丸 文:
山の神が、山に産業革命を起こすべく、
この力を地獄鴉に与えようとしていたのです。
射命丸 文:
私は、鳥頭の妖怪より博識な天狗のほうが、
力をうまく扱えると神を説得し、譲り受けました。
博麗 霊夢:
なるほど。
今回の再上映では、そこが違ったのね。
射命丸 文:
でも私は、産業革命なぞ、どうでもよかった。
ある計画のために、神の力が必要だったのですよ。
射命丸 文:
幻想郷をさらに盛り上げるための計画。
……それは!
博麗 霊夢:
それは……?
射命丸 文:
私、射命丸文自身が、
幻想郷史上最大最高のスクープになることです!
射命丸 文:
神の力でマグマを操って幻想郷へ侵攻し、
その様子を新聞で大衆に見せつけるのですよ!
霧雨 魔理沙:
……は?
射命丸 文:
読者が求めるのは、刺激的な記事! それに
応えるため、私は偽りの記事もよく書きました!
射命丸 文:
しかし、虚構ばかり書くのは、つまらない!
私は、本物の大事件を書きたいんですよ!!
博麗 霊夢:
アンタ、嬉々として
私の捏造記事を書いていたじゃないの。
射命丸 文:
力を手に入れた私は、協力者に声をかけ、
さっそく地獄に乗り込みました!
射命丸 文:
そして灼熱地獄へ降り、いざ幻想郷!!
そう気合いを入れたところで……、
射命丸 文:
さとりに閉じ込められてしまいました。
いやあ、蓋を閉められたのには参りましたよ。
博麗 霊夢:
それで、私たちを利用したってことね。
地上へ出るために、さとりを敵と思い込ませて。
射命丸 文:
ええ。一方のさとりたちも、あなたを敵と思って
対抗してくれましたし、すべて計画通りでした。
射命丸 文:
おかげで私は本懐を遂げられます!そうだ!
記事のタイトルは、こんなのでどうでしょう?
射命丸 文:
『溶岩侵攻の犯人、火柱に立つは主筆自身!!』
霧雨 魔理沙:
天狗のくせに、ベラベラ喋りやがって。
なあ霊夢、もうコイツやっちまおうぜ。
射命丸 文:
いやいや、そうおっしゃらずに……。
あなたがたには感謝しているんですよ?
射命丸 文:
お二人の反応を見て、手応えを感じました。
幻想郷中が驚嘆すること間違いなしです!
射命丸 文:
お礼といってはなんですが、お二人のご活躍を
新聞で大きく取り上げることをお約束します。
博麗 霊夢:
遠慮しとくわ。
アンタの茶番は、もう終わりよ。
霧雨 魔理沙:
話が長くて、こっちはウンザリしてんだよ。
ダンマクカグラで終わらせてやる!
射命丸 文:
邪魔をするなら仕方ない。
でも、いいですね!
射命丸 文:
博麗の巫女を倒したとあらば、幻想郷では、
相当なスキャンダルになりますからねぇ!!