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神霊廟
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豊聡耳 神子:
神霊廟が復興したが、まだ物が少ないな。
そうだ。今のうちに模様替えでもしてみようか。
豊聡耳 神子:
こうか? それとも、こっちか?
違うな……、どうもしっくりこない。
蓬莱山 輝夜:
とても大きなお屋敷ね。
ごめんくださーい!
豊聡耳 神子:
おや、入門希望者ではなさそうだ。
どちら様かな?
蓬莱山 輝夜:
蓬莱山輝夜よ。ここに珍しい物があると聞いて、
ぜひ見せてもらおうと思ったの。ダメかしら?
豊聡耳 神子:
私の持ち物なら、好きに見て構わないよ。
かわりに、後で模様替えを手伝ってもらえないか?
蓬莱山 輝夜:
もちろん! それぐらい、お安い御用だわ!
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神霊廟 蔵
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豊聡耳 神子:
ここにある物は、自由に見てくれ。
ただ、触るときは気を付けてくれよ?
蓬莱山 輝夜:
素敵だわ! 知らないものが、たくさん!
豊聡耳 神子:
お気に召したのなら、なによりだ。
ところで、模様替えの話なんだが……。
蓬莱山 輝夜:
この龍の像、いかめしい顔で、すごい迫力!
あら、こっちは……まあ! きれいな宝玉!
豊聡耳 神子:
参ったな……、全然聞いていない。
仕方がない。満足するまで待つとするか。
蓬莱山 輝夜:
この宝玉、もしかして龍の手に持たせられる?
あ、ぴったり! ……って、あら?
蓬莱山 輝夜:
きゃっ!? 像から黒い煙が……。
外に出てったけど、なんだったのかしら?
豊聡耳 神子:
どうかされたか?
ん? その龍の像、まさか……。
蓬莱山 輝夜:
雨? さっきまで降ってなかったのに。
……これ、どんどん強くなってない?
八意 永琳:
ふう……、やっぱりここでしたか、姫。
勝手に出かけられては、困ります。
蓬莱山 輝夜:
……永琳! ずぶ濡れだけど、大丈夫?
八意 永琳:
ついさっき、急に雨が降り出してね。
この雨、この辺りだけ降ってるみたいよ?
蓬莱山 輝夜:
ええ? それって、どういうこと?
豊聡耳 神子:
その龍の像は、水を司る龍神を模している。
宝玉を持たせると起動し、雨を降らせるんだ。
蓬莱山 輝夜:
宝玉って、あの手に持たせたやつのこと?
豊聡耳 神子:
そうだ。そのせいで、豪雨が降ってしまった。
おそらく、外は洪水だろう。
八意 永琳:
……そのようね。水圧で扉が開かない。
蓬莱山 輝夜:
ええっと……そうよ!
宝玉を外したら、止まるんじゃない!?
豊聡耳 神子:
それだけでは、止まらなかったはずだ。
だが……、正しい止め方が思い出せない。
蓬莱山 輝夜:
ど、どうにかして思い出せないの!?
どんどん浸水してきてるし、このままじゃ……!
八意 永琳:
……ねえ、あなた、たしか仙人よね?
だったら、壺中天は作れない?
豊聡耳 神子:
なるほど、その手が!
それなら昔作ったものが……、あったぞ!
蓬莱山 輝夜:
あの……、何をするのか、
私にも教えてくれない?
八意 永琳:
まず扉を壊します。姫、危険ですから、
しっかり掴まっていてください! 行くわよ!
蓬莱山 輝夜:
すごい! 水が全部、壺に吸い込まれていく!
これは、何が起きているの?
豊聡耳 神子:
よし、うまくいった! 安心しろ、
壺中天で、龍の像や雨雲ごと吸い込んだのさ。
豊聡耳 神子:
壺中天は、壺の中に別の世界が入ったもの。
容量は無限大だ。水でも像でも、なんでも入る。
八意 永琳:
あとは、その壺に封をすれば大丈夫でしょう。
これで一件落着ね。
豊聡耳 神子:
そうだな、協力に感謝するよ。ただ……。
豊聡耳 神子:
神霊廟の模様替えをするつもりだったんだが、
その前に、掃除をしなければな……。
蓬莱山 輝夜:
ごめんなさい……。そこから手伝います。