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神霊廟
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魂魄 妖夢:
ここが、神霊廟か……。日々、仙人になるための、
厳しい修行をしていると聞いたけど。
修行者:
うおおおおおお!
まだまだ腕立ていけるぞおおおお!
魂魄 妖夢:
あれ!? 思ってたより体育会系!?
もっと静かな瞑想とかを想像してたんだけど……。
魂魄 妖夢:
いやいや、むしろ望むところよ……!
ごめんください!
豊聡耳 神子:
おや、新しい弟子入り希望かな?
魂魄 妖夢:
いえ、仙人になりに来たわけではありません。
けど修行させてください! 強くなりたいんです!
豊聡耳 神子:
また珍しいね。修行だけが目的とは。
なぜ、強くなりたいと?
魂魄 妖夢:
実は、お仕えしている幽々子様に、
剣術を指南するはずだったのですが……。
魂魄 妖夢:
あなたが今より強くならない限り、絶対に
剣術は習わない、と言われてしまいまして……。
豊聡耳 神子:
なるほど。それは、なかなかに大変だな。
いいだろう。修行に参加したまえ。
魂魄 妖夢:
ありがとうございます!
豊聡耳 神子:
ちょうど、少し前に修行を始めた者がいる。
彼女とともに励むといい。来てくれ!
東風谷 早苗:
失礼します! お呼びでしょうか?
魂魄 妖夢:
ええ!? なんで、あなたが!?
あなたは、守矢神社の巫女でしょ!?
東風谷 早苗:
他の宗教のことも知ろうと思い、参加しました。
でも、ここの修行、すごく身になるんですよ!
豊聡耳 神子:
君と同じく、彼女も修行自体を目的に来ている。
色々教わるといい。後は任せていいかな?
東風谷 早苗:
わかりました。お任せください!
さあ妖夢さん、厳しく行きますよ!
魂魄 妖夢:
お、お願いします!
東風谷 早苗:
まずは、うさぎ跳びです!
しっかりしゃがんで飛びましょう!
魂魄 妖夢:
う、うさぎ跳び!?
本当にこれ、道教関係あります!?
東風谷 早苗:
つべこべ言ってる場合じゃないですよ!
強くなりたいんじゃないんですか!?
魂魄 妖夢:
そ、そうでした! 強くなります!
そのために来たんです!
魂魄 妖夢:
うぐぐぐぐ……! なんのこれしき!
タイヤの重さくらいに、負けるものか……!
東風谷 早苗:
そ、その意気ですよ、妖夢さん!
ラスト一周、頑張りましょう!
魂魄 妖夢:
はいっ! それにしても、
早苗さん、結構、体力ありますね……。
東風谷 早苗:
そりゃあ、巫女も体力勝負ですから!
里を回ったりとか、妖怪退治とか!
魂魄 妖夢:
私も、体力勝負です! そして、幽々子様に、
絶対、剣術指南を受けさせる! うああああっ!
東風谷 早苗:
な、なんて気迫……!
私も負けてられませんね!
東風谷 早苗:
つ、次は、休憩です。
休むことも、立派な修行ですよ……。
魂魄 妖夢:
やっと、休憩……。体が、重い……!
正直、簡単についていけると思ってたのに。
東風谷 早苗:
実際は、脱落者も多いんですよ。だけど、
あなたは、ちゃんと、ついて来られています。
魂魄 妖夢:
私には、強くならなければならない
理由があるので……。それに……。
魂魄 妖夢:
誰かと一緒にする修行は、ちょっと楽しいです。
東風谷 早苗:
ふふっ、わかります、それ。私も、皆さんと
一緒に頑張れる、ここの修行が好きです!
東風谷 早苗:
さあ、そろそろ再開しましょう!
動けますか?
魂魄 妖夢:
ええ! 次の修行は何ですか?
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数日後
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魂魄 妖夢:
行きますよ! はあっ!
東風谷 早苗:
なんのこれしき! たあっ!
魂魄 妖夢:
そんな攻撃が、届くもんですか!
東風谷 早苗:
今のも防ぐなんて、さすがは剣士ですね!
だったら、これで……!
豊聡耳 神子:
そこまで! 今日も頑張っているね。
東風谷 早苗:
どうされました?
修行の最中にいらっしゃるなんて。
豊聡耳 神子:
君たちに用があってね。来てくれ。
弟子の中でも特に力のある者が必要なんだ。
魂魄 妖夢:
私たちですか? わかりました。
そういえば、道場の方がやけに静かな気が……。
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神霊廟 道場
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東風谷 早苗:
ええ!? で、弟子の皆さんが、
一人残らず倒されてる……!?
魂魄 妖夢:
あれだけの修行をこなしてきた人たちなのに……。
い、いったい、何があったんですか!?
豊聡耳 神子:
全員やられてしまったんだ。
たった三人の道場破りに、あっけなくね。