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神霊廟
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東風谷 早苗:
ど、道場破り……!?
誰なんですか、その三人って!?
西行寺 幽々子:
それは、私たちのことよ。
魂魄 妖夢:
ゆ、幽々子様!? なぜここに!?
東風谷 早苗:
それと、久侘歌さんに、白蓮さん……。
どうして、あなた方が道場破りなんて真似を?
庭渡 久侘歌:
道教が広まれば、仙人志願者が増えるでしょう。
地獄の門番として、それは見過ごせません。
聖 白蓮:
たとえ仙人になれずとも、修行で半端な力を
得てしまえば、心が弱い者ほど驕ってしまうもの。
聖 白蓮:
世の混乱を招かぬためにも、これ以上の
道教の繁栄は、止めなければなりません。
魂魄 妖夢:
えーと、じゃあ、幽々子様は?
西行寺 幽々子:
私はただ、妖夢を迎えに来ただけよ。でも、
道場破りされた道場は、廃業らしいじゃない?
西行寺 幽々子:
だから、こっちに付くことにしたの。
ここを別荘にしようかと思って。
魂魄 妖夢:
そ、そんな、無茶苦茶な……。
豊聡耳 神子:
君たちの言い分はわかった。
だが、私も神霊廟を捨てるつもりはない。
豊聡耳 神子:
我が弟子を倒してみろ。
その時、はじめて敗北を認めよう。
豊聡耳 神子:
そう。ここにいる、
もっとも実力のある弟子二人を!
魂魄 妖夢:
ふ、二人って……? ええ、私も!?
いや、私は仙人の弟子になった覚えは!
古明地 こいし:
はいはーい! 私も戦う! かかってこーい!
東風谷 早苗:
よし、これで、三人ですね! ……ん?
あ、あなた、いつの間に!?
古明地 こいし:
面白そうだし、私も混ざる!
人数合わせに、こっちに入ってあげるね!
聖 白蓮:
あの、あなたは一応、うちに入門して……。
まあ、いいでしょう。これで三対三ですね。
豊聡耳 神子:
そうだな。ならば、団体戦で勝負だ。
私が公平な眼で、神霊廟の行方を見届けよう!
魂魄 妖夢:
結局戦う話に……。しかも相手には、幽々子様。
仕方がないとはいえ、やりづらいなぁ。
豊聡耳 神子:
まずは、先鋒!
古明地こいし! 聖白蓮!
古明地 こいし:
よーっし、負けないよ! 姿を消せば……、
わあっ!? 捕まったー!?
聖 白蓮:
無意識に潜んでも、現れる場所はお見通しです。
さあ、もう逃がしませんよ?
古明地 こいし:
うーん、全然動けない。こうさーん……。
豊聡耳 神子:
続いて、次鋒!
東風谷早苗! 庭渡久侘歌!
庭渡 久侘歌:
守矢神社の巫女が、道教に肩入れとは……。
その志、試練をもって確かめさせてもらいます!
東風谷 早苗:
津波が押し寄せてくる!? ですが、これしき!
修行した今の私には、通用しません!
東風谷 早苗:
この程度、海を割るより簡単です!
道はできました、とどめです! たあっ!
庭渡 久侘歌:
こけっ!? まさか、一撃なんて……きゅう。
東風谷 早苗:
これが、修行の成果です!
さあ、後は頼みましたよ。妖夢さん!
魂魄 妖夢:
こ、こうなったら仕方ない、戦いますよ。
でも、幽々子様に剣を向けるのは……。
西行寺 幽々子:
さあ、早く剣を構えなさい、妖夢。
大将戦を始めましょう!
魂魄 妖夢:
くっ……!
西行寺 幽々子:
調子が悪そうね? でも、手加減はしないわ!
魂魄 妖夢:
うわっ!? やはり、無理だ……。
幽々子様と戦うなんて!
東風谷 早苗:
妖夢さん? どうしたんですか!?
西行寺 幽々子:
はぁ……仙人の修行って、噂に聞くほど、
大したことないのね。ねえ、妖夢?
魂魄 妖夢:
そんなことは……。
西行寺 幽々子:
なら、あなたは、ここで何をしていたの?
強くなるための修行に来たはずでしょ?
西行寺 幽々子:
それとも、そこの新しいお友達と仲良く遊んで、
無駄な時間を過ごしていただけなのかしら?
魂魄 妖夢:
……っ!
ち、違います! 決して遊びなどでは……!
魂魄 妖夢:
うぐぐぐぐ……! なんのこれしき!
タイヤの重さくらいに、負けるものか……!
魂魄 妖夢:
誰かと一緒にする修行は、ちょっと楽しいです。
東風谷 早苗:
ふふっ、わかります、それ。私も、皆さんと
一緒に頑張れる、ここの修行が好きです!
魂魄 妖夢:
つらかった、あの修行が……。
一緒に励まし合い、助け合ってきた日々が……!
魂魄 妖夢:
遊びなどと! ましてや、無駄などと!
そんなことは、断じてないっ!
東風谷 早苗:
妖夢さん……!
西行寺 幽々子:
……ふふ、いい目になった。
なら、その言葉が真実か、私に見せてちょうだい?
魂魄 妖夢:
ええ、やってみせます!
やああああああっ!
西行寺 幽々子:
お気に入りの扇子が、切られちゃった。
……私の負けだわ。
魂魄 妖夢:
幽々子様……。
ありがとうございます……って、わあ!?
修行者:
うおおおおおお! 神霊廟の存続だ!
ここを守ってくれて、本当にありがとう!
東風谷 早苗:
やりましたね。妖夢さん!
豊聡耳 神子:
よくやってくれた!
君なら勝てると思っていたよ。
西行寺 幽々子:
強くなったわね、妖夢。私も嬉しいわ。
さあ、そろそろ帰りましょうか。
魂魄 妖夢:
幽々子様……! はい、帰りましょう!
皆さん、お世話になりました!