豊聡耳 神子: かつての姿を取り戻した森で、 宴会による騒音トラブルが起きているのだ。 豊聡耳 神子: 森の中は、宴会の推進派と否定派に分かれ、 激しく争っているようだな……。 豊聡耳 神子: これは私の出番ということか! 見事、森の騒ぎを治めてやるとしよう! -------------- 魔法の森 -------------- アリス・マーガトロイド: まったく、こう毎日どんちゃん騒ぎをされたら、 夜もゆっくり眠れやしないわ。 東風谷 早苗: ここに看板立てません? 宴会禁止って。 豊聡耳 神子: ほう。宴会禁止の看板か。 それは、皆で決めたことなのかな? 東風谷 早苗: いいえ。彼らは騒ぐのに夢中で、 私たちの話なんて、聞いてくれませんから。 豊聡耳 神子: それ事は一人定さだむべからず、必ず衆しゅうとともに 論あげつらうべし。一方的に決めず、皆で話し合うのだ。 東風谷 早苗: おお! それって聖徳太子の十七条憲法……。 あ、そういえば本人でしたね。 豊聡耳 神子: 森に、話し合いの場を設けようじゃないか。 私が皆の意見をまとめ上げてみせよう。 アリス・マーガトロイド: いいわ。 やれるもんなら、やってみなさいよ。 豊聡耳 神子: さあ、話し合いだ! 皆、遠慮なく意見を述べるがよい! 東風谷 早苗: 宴会してる人たちは、もっと森の人を 気づかってもいいんじゃないですか! レミリア・スカーレット: いまさら何を言ってるの。 宴会三昧なんて、珍しくもないでしょう? アリス・マーガトロイド: こっちは毎日のようにヘタクソな演奏を 聞かされて、うんざりしてるのよ! チルノ: なにー! あ、そっか! アンタたちの頭じゃ、 妖精の音楽が理解できないんでしょーね! 河城 にとり: そうだそうだー! 豊聡耳 神子: 忿こころのいかり を絶ち、 瞋おもていかり を棄すて人の違たがうを怒らざれ……、 怒らず、目の前の相手の意見を聞くように! 東風谷 早苗: 一声で、場が静まった……。 今のも十七条憲法。その十条! レミリア・スカーレット: そもそも、話が違うのよ。こっちはショバ代 払ってんの。森の代表を名乗ってる、河童にさ。 レミリア・スカーレット: お金さえ払えば、いくら騒いでも いいってことじゃなかったの? アリス・マーガトロイド: 河童! 宴会騒ぎの原因は、あんただったのね! 河城 にとり: え、えーと、私は皆さんを楽しませようと 思いましてね……。 豊聡耳 神子: 饗あじわいのむさぼり を絶ち欲することを棄すて、明あきらかに訴訟うったえを弁わきまえよ。 悪しきを懲こらし善ほまれを勧すすむるは、古いにしえの良き典のりなり。 豊聡耳 神子: 金で機嫌を取るな。そして、悪しき心を改めよ! そうだなぁ、罰は無償奉仕でどうだい。 東風谷 早苗: 今度は十七条憲法の五条と六条! にとりさんにとって、これ以上ない罰ね! 河城 にとり: そんなあ……、タダで仕事なんて……。 うう……。 豊聡耳 神子: 悪を懲らしめたところで、ここは十七ほど、 森の法を決めてはいかがかな? アリス・マーガトロイド: それって、 夜は騒がないとかでもいいのかしら? 豊聡耳 神子: そうだな。もしも夜に騒ぐなら、音を消す妖精に 手伝ってもらう決まりにしてはどうかな? チルノ: それならいいの!? あたいに任せて。アイツに頼んでみるね! 東風谷 早苗: あの、森と川を汚さないとかどうでしょう? あたりまえかもしれませんが……。 豊聡耳 神子: そういうのが大事なのだ。 私の憲法も、当たり前の行いを定めている。 豊聡耳 神子: 信まことは是これ義ぎの本もとなり。事こと毎ごとに信まことあれ、だ。 いつも、他者に真心をもつのを忘れてはいけない。 東風谷 早苗: 十七条憲法の九条ですね! わかりました! お互いを思いやりながら話し合います。 アリス・マーガトロイド: そうね。 案外、話してみればなんとかなりそうだし。 レミリア・スカーレット: 決まったことは、きちっと守るわよ。 こっちは場所を借りているのだしね。 豊聡耳 神子: もう私は必要なさそうだな。これぞ一条、 和を以もって貴とうとしとなす、だな!