--------------
華扇の道場
--------------
茨木 華扇:
ここの修行は、一筋縄ではいかないわよ。
まずは座禅。何があっても心を乱さないこと!
博麗 霊夢:
うう、またこれか……。
耳元で小鳥が飛び回ってて、集中できない~。
十六夜 咲夜:
この音は、蛇かしら……。
確かに、これは少々……。
高麗野 あうん:
ひっ! 何かが足に触りましたよ!?
これって大丈夫……あいたっ!
茨木 華扇:
そこ、心を乱さない!
次は動物が噛みつくわよ!
高麗野 あうん:
ひぃ~~~!
茨木 華扇:
次は滝行です。引き続き、精神統一を。
高麗野 あうん:
ひーっ! 冷たい!
この中に入るんですかー!?
茨木 華扇:
もたもたしてると、この子に襲われるわよ。
虎:
グルルル……。
十六夜 咲夜:
くっ! やるしかないようね!
博麗 霊夢:
もぉ~~!
これだから動物園修行は嫌なのよ~~~!!
茨木 華扇:
お疲れ様。さ、温まって。
次の修行は……ん? 霊夢は?
高麗野 あうん:
あれ? 着替えのあと、
いち早く戻っていきませんでした?
十六夜 咲夜:
アイツ、さては逃げたわね。
茨木 華扇:
はぁーー、まったく……! まあいいわ。
今は、貴方たちの修行に集中しましょう。
茨木 華扇:
次は、山で食材探しをしてもらいます。
大体の場所は、動物たちが案内してくれるわ。
十六夜 咲夜:
食材探し、ですか。
突然、修行のテイストが変わりましたね。
茨木 華扇:
え、ええ。これが貴方がたの
夕飯になりますから、しっかりね。
高麗野 あうん:
わっ、いいものを探してくれば、その分
いいご飯が食べられるわけですね! がんばろ!
茨木 華扇:
ふう。本来の修行内容ではないから、
ちょっと申し訳ないけど……。
茨木 華扇:
最近、動物たちの食材調達が
上手くいかないのよねぇ。
茨木 華扇:
私が家を空けることも多いし、修行不足ね……。
今日は、あの二人に頑張ってもらいましょう。
高麗野 あうん:
わぁ、美味しそう~~!!
豪華・山の幸てんこ盛りご飯、ですね!
茨木 華扇:
こんなにたくさん、素晴らしいわ! お二人の
修行の成果です。さあ、いただきましょう!
十六夜 咲夜:
もぐもぐ。ふむ、なるほどなるほど。
これは……。
十六夜 咲夜:
微妙ですね。
茨木 華扇:
んん、確かに、これはイマイチ……。
高麗野 あうん:
山菜もきのこも採れたてなはずなのに、
どうして、こんなに美味しくないの……?
十六夜 咲夜:
どれも絶妙に旬を逃していましたし……。
私はまあ、これはこれで悪くないと思いますが。
高麗野 あうん:
うう、これが私たちの修行の成果……。
こんなのあんまりですよぉ……。
茨木 華扇:
うっ、申し訳ないわ。
おかしいわね、見た目は完璧にできたのに……。
茨木 華扇:
(やはりこの手では、何かを創り上げるのは
難しいのかしら……)
十六夜 咲夜:
茨華仙、台所をお借りしますわ。
この料理、少々アレンジさせていただきます。
十六夜 咲夜:
先ほどの料理に、ちょっとだけ手を加えました。
どうぞお召し上がりを。
高麗野 あうん:
えっ!? お、美味しい!
さっきまでの味と、全然違う!!
茨木 華扇:
これ、香りを強めるために、葉を潰したのね。
それにこっちは食感を……見事なアレンジだわ!
十六夜 咲夜:
お褒めにあずかり光栄です。紅魔館の
メイドたるもの、これくらいお手の物ですわ。
十六夜 咲夜:
さあ、まだまだありますよ。
いっぱい食べて、英気を養いましょう!
高麗野 あうん:
わぁ~、いっぱい採ってきてよかった!
咲夜さんも、早く一緒に食べましょ!
茨木 華扇:
少しのアレンジで、ここまで美味しくなるとは。
人間の知恵は偉大ですね。ん~、美味しいっ!
茨木 華扇:
さて。お二人とも、修行お疲れ様でした。
短い間でしたが、いい顔になったように見えます。
十六夜 咲夜:
ええ。たいへん身になりましたわ。今度は
うちの門番にも、修行をつけてくださいな。
高麗野 あうん:
色々あったけど、なんだかんだ楽しかったです!
次は霊夢さんのことも、頼みますね!
茨木 華扇:
ふふ、もちろんよ。その時は
ちゃんと迎えに行くので、安心してね!