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華扇の道場
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紅 美鈴:
居眠りする性根を叩き直してもらえだなんて、
咲夜さんの鬼ぃ~……。
茨木 華扇:
オホン。頼まれたからには、
みっちり鍛えますよ。よろしくね。
紅 美鈴:
はぁー。よろしくお願いします。あれ?
今日は紅白巫女もいるって聞いてたような。
茨木 華扇:
霊夢はちょっと、捕まらなくてねぇ。
なので、今日は貴方と一対一ね。
茨木 華扇:
みっちり鍛える、なんて言ったものの……。
茨木 華扇:
動物のうるささにも、水の冷たさにも
一切動じぬ胆力……。
茨木 華扇:
なんて素晴らしいの! ああ、休憩後の
修行内容は、どうしようかしら。……あら?
茨木 華扇:
いつの間にか、動物たちと仲良くなったのね。
何してるの? それは……太極拳かしら?
紅 美鈴:
そうですー! 型を構えていたら、みんなが
集まって来たので、いっしょにやってました。
茨木 華扇:
見かけないものだから、みんな気になったのね。
すっかり懐かれていて、すごいわ。
紅 美鈴:
へへ……褒めても何も出ないですよ~。
ま、武道は私の得意分野ですから!
茨木 華扇:
そうだ! 貴方がよければだけど……、
この子たちに、稽古をつけてくれないかしら。
紅 美鈴:
稽古、ですか? 理由をお聞きしても?
茨木 華扇:
実は最近、修行不足で……。この子たち、
少し怠け癖がついちゃったみたいなのよ。
茨木 華扇:
貴方の指導と太極拳なら、みんなも喜んで
稽古に励んでくれるかなって。どうかしら?
紅 美鈴:
なるほど~。私も楽しいので、大歓迎ですよ!
よーしみんな、続きをしますよ~!
茨木 華扇:
武道に励む動物たち、凛々しい顔をしているわ。
これで、いい方向に進むといいんだけど。
紅 美鈴:
よし、今日はここまでにします!
皆さん、お疲れ様でした!
紅 美鈴:
ふぅー、動物に稽古なんてはじめてだったけど、
一生懸命励んでくれる、いい子ばかりですね!
茨木 華扇:
ありがとう! 動物たちは……あらあら、
みんな、まだできるぞって顔してるわね。
茨木 華扇:
……よし! そんな貴方たちには、
今日の食材探しをしてきてもらうわ!
茨木 華扇:
夕飯までには戻ってきてね。
頼んだわよー!
動物たち:
ウキー!
茨木 華扇:
よしよし、行ったわね。
貴方が鍛えた成果、見せてくれるかしら!
紅 美鈴:
動物たち、遅いですねぇ。
どうしたんでしょう……。
茨木 華扇:
やっぱり、まだ早かったのかしら。
仕方ないわ、探しに……。
紅 美鈴:
あっ! 帰ってきたみたいですよ!
……ってあれは、人間を連れてる!?
動物たち:
キキッ!
遭難者:
おお、民家だ。それに人の姿も……!
お前たち、本当にありがとう!!
動物たち:
ウキキ!
茨木 華扇:
あの、そこの方。どうされました?
遭難者:
ああ、実は守矢神社から帰る際、
道に迷ってしまいまして……。
遭難者:
そんな時、この子たちが助けてくれたんです!
木の実を持ってきてくれたりして。
遭難者:
さらに人のいる場所に案内してくれるとは!
すみませんが、お助けください……!
茨木 華扇:
なんとまあ! それは大変でしたね。
さあ、一旦こちらで、お休みになってください。
茨木 華扇:
あの男性は、別室で寝てるわ。ごめんなさいね、
ありもののご飯になっちゃって。
紅 美鈴:
いえいえ! それよりも、遭難者を助けるなんて
あの子たち、お手柄じゃないですか!
茨木 華扇:
本当にね。でも、人助けなんて教えてないのに、
どうしたのかしら。
紅 美鈴:
それはきっと、日頃、あなたが霊夢たちを
助けるのを見てたから、見習ったんですよ。
紅 美鈴:
弱きものを助ける精神。
武道は身体だけでなく、心も鍛えますから!
茨木 華扇:
……ふふ、なるほどね。
やっぱり、貴方に稽古を頼んで、よかった。
茨木 華扇:
たまにでいいから、
また稽古をつけに来てくれたら、嬉しいわ。
紅 美鈴:
ええ、もちろんですよ! あ、でもそれは
紅魔館の主、レミリア様にご相談ください!
茨木 華扇:
あの吸血鬼のお嬢様に、か。
はは、交渉には難儀しそうだわ……。