--------------
華扇の道場
--------------
茨木 華扇:
うん。門番さんと動物たちの稽古は、順調そうね。
あとは……。
茨木 華扇:
竿打、運んで来てくれてありがとう。
さあ霊夢、よく来たわね!
博麗 霊夢:
うう、ついに捕まっちゃった。こないだの
遭難者の話だけ聞いたら帰りたいんだけど……。
茨木 華扇:
いいえ、今日こそは修行に励んでもらいます。
あうんからも、頼まれているのでね。
博麗 霊夢:
ぐ、あうんのヤツ……。もーー、わかったわよ!
やってやろうじゃないの!
茨木 華扇:
今回は、見張りを強化します。
逃げようなんて、考えないように!
博麗 霊夢:
滝行、終わったわ。う~、さむっ。
そういえば、なんで美鈴は一緒じゃないのよ。
茨木 華扇:
美鈴さんは、動物への稽古がメインですから。
それでもたまに、修行もしてるみたいだけど。
博麗 霊夢:
へぇー。稽古しつつ修行なんて、
あの居眠り門番も、案外真面目なのねぇ。
茨木 華扇:
貴方にも、見習ってほしいものだわ。
さて、休憩したら次は道場脇の竹林に行くわよ。
博麗 霊夢:
伸びすぎた竹の伐採って……。
雑用、押し付けられてない? これ。
仔犬:
ワンワン!
博麗 霊夢:
文句言うな、って顔ね。
はいはい、わかったわよ~。……ん?
博麗 霊夢:
今の音って……え、仙界って雷鳴るの?
わっ! 雨降ってきた!
博麗 霊夢:
雨なら、中断しても仕方ないわよね!
急いで道場に戻ろうっと!
博麗 霊夢:
うわっ、土砂降りになってきたわね!
というか、この赤い雲って……!
茨木 華扇:
霊夢、ちょうどよかった!
この雨雲、おそらくこの間の消し残しだわ!
茨木 華扇:
きっと仙界のどこかで大きくなって、
戻ってきたのね。急いで対処してちょうだい!
博麗 霊夢:
ええっ!? そんなこと、急に言われても……!
無理よ、今日はなんの準備もしてないし!
博麗 霊夢:
これから天子を探して緋想の剣を、ってなると、
時間がかかるわよ。どうする?
茨木 華扇:
参ったわね。この間よりも雨が含む妖力が強いみたい。
仙界の中で、早めに片付けたいのだけど……。
紅 美鈴:
……今の私になら、霊夢の気質を、
開放できるかもしれません。
博麗 霊夢:
ほんとに!? 確かにあんた、
気を操れるけど……そんなパワー、あったっけ?
紅 美鈴:
仙界修行により、力が高まっているのを感じるわ。
仙人と動物たちの力も合わせれば、あるいは……
茨木 華扇:
一か八か、試してみる価値はありそうね。
そうと決まれば、みんな! 全員集合よ!!
博麗 霊夢:
私の方は、いつでもオッケーよ。
さあ、来なさい!
紅 美鈴:
皆さん、準備はいいですか。いきますよ……
ハァァァァァアアア!!!
博麗 霊夢:
ホ……、ホントに晴れた……。
茨木 華扇:
まさか、一瞬で晴らすなんて……!
あ、空に虹が出てるわ。
紅 美鈴:
綺麗ですね~。
いやあ、うまくいってよかった!
茨木 華扇:
今回は、消し残しもないようね。
すごいわ美鈴、貴方のおかげよ!
紅 美鈴:
いやいや、華扇さんや動物たち、みんなのおかげです!
一人じゃできませんでしたから。
茨木 華扇:
貴方が稽古をつけてくれたから、動物たちだって
力を貸してくれたのよ。本当に、ありがとう!
紅 美鈴:
これも修行の成果ですよ!
私だけじゃなく、みんなのね。
動物たち:
ウッキー♪
博麗 霊夢:
ちょっと~、私のことも褒めてくれても……。
いやまあ、何もしてないんだけど。
博麗 霊夢:
それより、これが修行の成果だって?
いやいや、まさかね。
博麗 霊夢:
気質を自分で制御できれば、
快晴を司る巫女として、大活躍間違いなし……。
博麗 霊夢:
見返りとしては充分ね。
私も修行、がんばってみようかしら。ふふっ♪
茨木 華扇:
しかし、霊夢の打算的な考えで
修行が上手くいくはずもなく……。
茨木 華扇:
またしても、
道場から逃げ出すことになるのであった。
博麗 霊夢:
もぉ~~~!!
やっぱり修業はこりごりよぉ~~~~!!!