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命蓮寺
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寅丸 星:
ほう。次のイベントは写経・写仏会ですか。
楽しみですね。
村紗 水蜜:
買い出しを頼まれましたが……大道具と小道具で
二手に分かれた方がよさそうです。
依神 紫苑:
あ、じゃあ、小道具は私が行ってくるよ。
墨汁とか、書道の道具だったよね。
村紗 水蜜:
いいんですか? 命蓮寺の方じゃないのに、
手伝ってもらっちゃって。
依神 紫苑:
女苑がいつもお世話になってるしね。
それに、これくらいのお使いなら私でも大丈夫。
寅丸 星:
では、お言葉に甘えて。必要なものは
こちらに書いてありますので、お願いします。
依神 紫苑:
ふう。必要なものは、全部買ったはず。あとは
階段で転ばないよう気をつけて。よいしょっと。
多々良 小傘:
ドッカーーーーーーーン!!!!!!
依神 紫苑:
ひゃああああああ!!!!!
多々良 小傘:
きゃはははは! いい驚きっぷりね!
とっても愉快だわ~~!!
依神 紫苑:
いたたたた……び、びっくりした~~~……。
急に飛び出してくるなんて、危ないじゃないの!
多々良 小傘:
だって驚かせるのが本業だもの! でもまさか
階段から落ちるなんて……ぷくく、あーはっは!
依神 紫苑:
もぉ~~、なんなのよ……って、
あーーーーーーーー!!!
依神 紫苑:
墨汁、こぼれてるし! す、硯も割れてる……!
あああ、ど、どうしよう……!!
村紗 水蜜:
さっきの悲鳴はいったい……。
紫苑さん!? 大丈夫ですか! お怪我は?
依神 紫苑:
ご、ごめんなさい!!
買ってきたもの、ダメになっちゃって……。
寅丸 星:
……とりあえず、一旦戻りましょうか。
大丈夫、聖も怒ったりしませんから。
聖 白蓮:
まあ、階段から落ちたなんて……。
大丈夫です? 痛む所はありませんか?
聖 白蓮:
一旦、こちらで休んでいてください。
失敗は誰にでもありますから、お気になさらず。
依神 紫苑:
うう……私が悪いわけじゃないのに……。
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命蓮寺 写経・写仏会
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村紗 水蜜:
いやあ、大盛況ですね! よかったよかった!
……そういえば、あの姉妹は?
聖 白蓮:
念のため、別室で写仏をしてもらっています。
能力を恐れる方もいらっしゃるので……。
依神 女苑:
ったく、なんで私がこんなこと……。
こんなの写して、なんになるってのよ。
依神 紫苑:
えー? 私は結構好きだけどな。
なんか、心が落ち着くっていうか……。
依神 女苑:
うげ。姉さん、真面目にやってんの?
どれどれ……。
依神 女苑:
あっははは! 何よこのヘッタクソな絵!
写すだけなのにこれって、ふざけてるでしょ。
依神 紫苑:
真剣だもん。てか女苑、うるさい。神聖な
行事の最中くらい、大人しくしていられないの?
依神 女苑:
ハァ? 何よ、偉そうに。お使いすらまともに
できない姉さんに、言われる筋合いはないわ。
依神 紫苑:
な、なんでそれを……!
あれは私のせいじゃないもん!!
依神 女苑:
そうやって言い訳ばっかり。確かに、根暗で
貧乏臭い姉さんには、お似合いかもしれないわね!
依神 紫苑:
な、何よ何よ何よ……。
そんなに言うこと、ないじゃない!!!
村紗 水蜜:
うわ! なんですかこの、陰気な気配は!?
聖 白蓮:
別室の依神姉妹だわ。私はそちらへ向かいます。
こちらの対応は任せました!
寅丸 星:
船長、人々の混乱を抑えますよ!
皆さーん! 大丈夫です、一旦落ち着いてー!!
依神 紫苑:
もう、何もかもどうでもいい……!
全員不幸にしてやる……っ!!
聖 白蓮:
何事ですか!?
紫苑さん、一旦落ち着いてください!
依神 女苑:
ムリよ、こうなった姉さんは
止められないわ……。ああもう、おしまいよ!
聖 白蓮:
仕方ない……力尽くで押さえつけます!
紫苑さん、お覚悟を!
聖 白蓮:
はぁ……落ち着きましたか? 紫苑さん。
依神 紫苑:
うう、ごめんなさい。
つい、カッとなっちゃって……。
聖 白蓮:
まったく、あとで事情はお聞きしますが……、
二人とも、お説教の覚悟はしておくように。
依神 女苑:
はぁ、また説教か。でも、あの姉さんを
止めてくれたのには、感謝しないとね……。
寅丸 星:
一時はどうなるかと思いましたが、
今回のイベントも無事成功、ですかね。
聖 白蓮:
ええ。人々に被害が及ばず、なによりです。
ひとまずは、お疲れ様でした。
村紗 水蜜:
暴走した貧乏神を一人で止めるなんて、
聖が一番大変だったでしょう。さすがでした。
聖 白蓮:
ふふ。さあ、まだ後片付けが残ってます。
もうひと踏ん張り、頑張りましょう!