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命蓮寺
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依神 女苑:
ったく、窓掃除だなんて、面倒ったらないわ。
第一、まだそんなに汚れてないじゃないの。
依神 紫苑:
まあ、そう言わずに。バケツの水換えてくるけど、
女苑、梯子から落ちないように気をつけてね。
依神 女苑:
はぁ~、こんなことなら写経でもなんでも、
真面目にやっとくべきだったわ……。
多々良 小傘:
えーいっ。
依神 女苑:
ん? あんた何して……、えっ、嘘でしょ!?
お、落ちる~~~~!?!?!
依神 女苑:
いったーーーーーい!!!
アイツ、梯子から落っことすとか正気ィ!?
依神 紫苑:
うわ。女苑、まさか落ちたの……?
あはは、ダサーい。
依神 女苑:
落とされたのよ!!
って、あ! 姉さん後ろ……。
多々良 小傘:
ドーンッ!!!
依神 紫苑:
うぎゃっ!! え、何? 今、何されたの?
びしょびしょなんだけど……。
依神 女苑:
あの傘の仕業よ! 姉さん、突き飛ばされたの!
あたしもやられたのよ。うぎー、許せない!!
村紗 水蜜:
お二人とも、掃除は順調……ではないようですね。
はあ。いったい何があったら、こうなるんです?
村紗 水蜜:
梯子は倒れ、バケツはひっくり返り、掃き集めた
落ち葉も流されて……ああ、窓にヒビまで!
依神 女苑:
ちょっとあんた、なんとかしなさいよ!
これ全部、ダッサい傘お化けのせいなんだから!
村紗 水蜜:
傘って、小傘さんのこと?
彼女がそんなことするとは、思えませんが。
依神 女苑:
まあ確かに、いつもと様子が違った気も……、
あっ、あそこ! 危ないわよあれ!!
寅丸 星:
皆さーん、お茶が入りましたよー。
一度休憩にしましょ、うっ……!?
村紗 水蜜:
星ーーー!!!
小傘さん、今、足を引っかけましたね!?
多々良 小傘:
あはははっ! おもしろーい!
みんなバッタバッタと倒れていくんだもん!
多々良 小傘:
なんて楽しいのかしら!
ああ私、妖怪を驚かせる才能があるみたい!
村紗 水蜜:
こんなの、驚かせるの域を超えてるわ……。
星、大丈夫ですか! しっかり!
寅丸 星:
いたた……。
あれは、本当に小傘さんなんでしょうか……。
村紗 水蜜:
そのことは、後で相談するとして……。聖が
帰ってくる前に、この惨状をどうにかしないと!
聖 白蓮:
なるほど……。事情はわかりました。小傘さんと
一度、お話しする必要がありそうですね。
聖 白蓮:
この件は、我々だけで動きましょう。
彼女にもきっと、何か事情があるはずです。
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命蓮寺 墓地
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聖 白蓮:
小傘さーん、いらっしゃるんでしょう?
出てきてください。
多々良 小傘:
あら住職さん。何かご用?
貴方も驚かされたいのかしら。
村紗 水蜜:
うわっ! 卒塔婆が倒れてきた!
手が込んでますね……。
寅丸 星:
さっきから、危ないいたずらばかり……。
もっと平和な方法を、考えませんか?
多々良 小傘:
えー、イヤよ。あんなにいい反応をくれるのに、
何を変えることがあるって言うの?
多々良 小傘:
ああ、リアクションこそが最高の養分!
そのためなら、何をしてでも驚かせてやるわ!
聖 白蓮:
二人とも冷静に。
この気配、ユメミタマの仕業に違いありません。
聖 白蓮:
私が浄化します。二人は援護を。
いざ、南無三!
多々良 小傘:
うう……。あれ、私……?
村紗 水蜜:
小傘さん、大丈夫ですか? 今、貴方に
憑りついていたユメミタマを浄化したところです。
多々良 小傘:
え、嘘っ! 私が、ユメミタマに!?
あ、ありがとう!
聖 白蓮:
ふう、これにて一件落着ですね。
皆さん、戻りま……
寅丸 星:
聖!? 大丈夫ですか! 聖!!