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マヨヒガ
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八雲 藍:
あの化け猫が消えた10日間、
私たちは、その行方をずっと追っていたの。
藤原 妹紅:
いつまた里に現れるか、わからないからな。
早い内に退治しておくべきだと思ったんだ。
八雲 藍:
この数日、ずっと痕跡を探し回り、
ついさっき、ようやく奴の根城を導き出した。
上白沢 慧音:
どうやらあいつは、この妖怪の山の中腹、
人目につかない洞窟に潜んでいたらしい。
上白沢 慧音:
私が昼間ここへ来たのは、
探している途中で、近くに寄ったからなんだ。
橙:
化け猫は、なんで山に?
里の近くにいれば人を襲いやすいのに。
藤原 妹紅:
奴は一度、里で慧音の攻撃を受けてる。
その傷を癒すため、ひと気のない山にいたのさ。
八雲 藍:
でも、私たちに根城が見つかって、
ここまで逃げてきたというわけなんだ。
橙:
そういうことだったんだ……。でも、
どうしてあいつは、消えちゃったんだろう?
八雲 藍:
おそらくだけど、奴は化け猫というより、
怨念の固まりなのではないだろうか。
橙:
怨念の固まり……?
八雲 藍:
人間に捨てられ、不当な扱いを受けた猫たち。
その怨念の集合体が、あの化け猫だった、と。
八雲 藍:
あの化け猫は、人間をひどく憎んでいた。
里を襲ったのは、復讐だったのだろう……。
橙:
そんな……そんなのって……!
橙:
じゃあ、もしも怨念になる前の猫たちが
ここで幸せに暮らしていたら……!
八雲 藍:
……そうだね。そうだったら、
こんなことには、ならなかったかもしれないね。
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数日後
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藤原 妹紅:
よーし。修繕、終わり。
前よりも、見違えるくらい綺麗になったな。
上白沢 慧音:
そうですね。猫の数も増えてるようだし、
以前より、住みやすくできたのかもしれません。
八雲 藍:
お二人とも、ありがとうございます。
ところで……、橙はどこへ?
橙:
おー! もう完成したんだ!
それじゃ、あとはこの石をここに置いて……。
八雲 藍:
橙、その石はいったい何?
橙:
お墓です! あの化け猫のね。
橙:
あの化け猫は、退治されて当然のことをした。
でも……、きっと防げたことなのかなって。
橙:
ああいう猫が生まれないよう、強くなりたい。
私は、猫を……。猫の楽園を守るんだ!
八雲 藍:
橙……。
橙:
というわけで、特訓開始!
さあ猫たち、私の言うことをちゃんと聞いてね!
マヨヒガの猫:
にゃ~お。
橙:
えっ、めんどくさい? なに言ってるの!
あんたたちのためを思ってなんだからね!
橙:
だから話をちゃんと聞いて……って、
言ってるそばから遊ぶなーーっ!!
藤原 妹紅:
頼りないリーダーだなぁ。本当に大丈夫か?
上白沢 慧音:
きっと大丈夫ですよ。あの化け猫にも、
果敢に立ち向かっていましたからね。
八雲 藍:
……ふふふ。頼りにしているよ、橙。