クルミ 第12話
公演が始まった途端に緊張で頭が真っ白になるクルミ。機転を利かせた{player}が舞台に上がって場を繋ぐ。調子を取り戻した彼女は最後の見せ場で自らの想いを演技にのせて、舞台を大成功に導く。


-------------- situation:
想いを言葉にのせて
--------------

ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】 チャリティー公演の当日──
ランドソル広場には『魔法少女ベルルちゃん』の
公演を待つ観客で埋め尽くされていた。

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男爵:
【chara 2511 face 1 (normal)】 これはマダム。
いらしてくださり感謝します。

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観客1:
【chara 1514 face 2 (joy)】 こちらこそ、今日を楽しみにしていたわ。
【chara 1514 face 1 (normal)】 公爵から聞いたわよ?
無名の劇団だけど、なかなか光る演技をするそうね。

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男爵:
【chara 2511 face 1 (normal)】 はい。ご息女のことはもちろん、
主役を演じるクルミちゃんという少女を気にかけていましてね……
【chara 2511 face 2 (joy)】 ぜひ、ご自身の目でお確かめください。

ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】 一方、舞台裏。
{player}たちは舞台袖より、
観客席の様子をこっそりと伺っていた。

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劇団員1:
【chara 811 face 6 (surprised)】 ひいふうみぃ……なんて数えるどころじゃねぇ……
見ろよ。すんげー人の数だぞ……!?

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劇団員2:
【chara 411 face 6 (surprised)】 ここまで注目されるなんて……
【chara 411 face 2 (joy)】 あたしたち、一気に人気劇団の仲間入りじゃない!?
【chara 411 face 1 (normal)】 これは気合が入るわね!!

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クルミ:
【chara 102111 face 6 (surprised)】 あっ、招待された子供たちもいました……
私、あの子たちの前でお芝居するんですね……
【chara 102111 face 4 (sad)】 そう考えたら、なんだか緊張して震えが……!

Choice: (1) お水を渡す。
----- Tag 1 -----
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クルミ:
【chara 102111 face 2 (joy)】 ありがとう、お兄ちゃ……【chara 102111 face 6 (surprised)】 ひゃっ!?
お兄ちゃんの手がまた……!

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少女:
【chara 211 face 6 (surprised)】 ふ~ん?
お兄さんに触られると顔が真っ赤になっちゃうんだ……?
【chara 211 face 1 (normal)】 それってつまりぃ……

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クルミ:
【chara 102111 face 3 (anger)】 も、もう!
からかっちゃ嫌ぁ~!!

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少女:
【chara 211 face 2 (joy)】 うんうん! いい声出てるじゃない!
【chara 211 face 6 (surprised)】 初めての大舞台って、緊張しちゃうわよね。
私も衣装がべちょべちょになるくらい汗かいたもの。

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少女:
【chara 211 face 2 (joy)】 でも、大丈夫!
【chara 211 face 1 (normal)】 だってリハーサル、ばっちりだったじゃない!
あとは『小さな勇気、小さな一歩』よ!

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クルミ:
【chara 102111 face 6 (surprised)】 う、うん……! 私、頑張ります……!
【chara 102111 face 1 (normal)】 あ……あのね……

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少女:
【chara 211 face 6 (surprised)】 ……?

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クルミ:
【chara 102111 face 2 (joy)】 色々助けてくれて、ありがとう……
あなたが私に託してよかったって思えるような、
そんなベルルちゃんを演じてみせるから……!

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少女:
【chara 211 face 1 (normal)】 ……クルミ。それなら私も、
【chara 211 face 2 (joy)】 ベルルちゃんに負けない、最高の友人役を演じてみせる!

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団長:
【chara 4911 face 2 (joy)】 二人とも気合十分だね……それじゃ、全員集まって!
今日がこのメンバーでできる、最初で最後の大舞台だ!
みんなで絶対、最高のお芝居をするぞ!!

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全員:
【chara 1 face 1 (normal)】 おー!!

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アナウンス:
ただいまより『魔法少女ベルルちゃん』を開演いたします。

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クルミ:
【chara 102111 face 6 (surprised)】 は、はじまった……!
【chara 102111 face 4 (sad)】 たくさんの拍手が、体中にビリビリ伝わってくるよぅ……!
それに、一人一人の顔がこんなにハッキリ見えるなんて……! 

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クルミ:
【chara 102111 face 1 (normal)】 最前列の子供たちも、私を見てる……!
【chara 102111 face 3 (anger)】 いい演技をしなくちゃ……最高のベルルちゃんを演じなきゃ……!
【chara 102111 face 6 (surprised)】 最初のセリフは──

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クルミ:
【chara 102111 face 6 (surprised)】 最初のセリフ……あれ、あれ……っ!?
【chara 102111 face 4 (sad)】 頭が真っ白で……セリフが、出てこない……! 

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観客1:
【chara 1 face 1 (normal)】 どうしたのかしら……?

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観客2:
【chara 1 face 1 (normal)】 あれぇ? 始まらないよぉ……?

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クルミ:
【chara 102111 face 6 (surprised)】 何かアドリブしてごまかして……
【chara 102111 face 4 (sad)】 でも、それからどうやって次へ繋げばいいの……? 

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クルミ:
【chara 102111 face 4 (sad)】 このままじゃ……
私のせいで、舞台が台無しになっちゃうよぅ……! 

Choice: (2) 『ベルルちゃん、遅刻してごめん~!』
----- Tag 2 -----
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クルミ:
【chara 102111 face 6 (surprised)】 へっ!?
お、お兄ちゃん!?

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クルミ:
【chara 102111 face 6 (surprised)】 裏方のお兄ちゃんがどうして舞台の上に……!?
【chara 102111 face 1 (normal)】 お兄ちゃんが出演するなんて聞いてないよぅ……!? 

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クルミ:
【chara 102111 face 6 (surprised)】 も、もしかして私を助けるために、即興で出てくれたの……!?
【chara 102111 face 3 (anger)】 そ、それなら……! 

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クルミ:
【chara 102111 face 3 (anger)】 『も、もうお兄ちゃん! いつも遅刻ばっかりして!
すっごくすーっごく待ったんだから!!』

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クルミ:
【chara 102111 face 2 (joy)】 『今日はこの王国が誕生してから100年目の祝祭♪
変わらない毎日、変わらないわたし、
でも今日は、何か特別なことが起こるかもしれないわ!』

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クルミ:
【chara 102111 face 2 (joy)】 良かったぁ、安心したらセリフがちゃんと出てきてくれた……!
お兄ちゃん、あとは大丈夫だよ……! 

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クルミ:
【chara 102111 face 2 (joy)】 ありがとうの気持ちは……
私の最高のお芝居で伝えるから……!! 

ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】 公演は順調に進み、
ついにクルミの最後の見せ場へと突入した──

--- Switch scene ---

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クルミ:
【chara 102111 face 2 (joy)】 『みんなのおかげで、魔王はこの世から消え去った!
希望の力が、絶望を追い払ったの!』

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クルミ:
【chara 102111 face 3 (anger)】 『だけど絶望は、いつかまたここへやってくる……
それは一年後かもしれないし、明日かもしれない!』

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クルミ:
【chara 102111 face 2 (joy)】 『でも、それを恐れないで!
絶望を失くすことはできないけど、乗り越えることはできるから!
だから……』

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クルミ:
【chara 102111 face 1 (normal)】 ……私もね、たくさんのものを失くしちゃったんだ。
【chara 102111 face 6 (surprised)】 でもいろんな人に助けてもらって……
それから大切なものがたくさん見つかったの。

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観客2:
【chara 1 face 1 (normal)】 ……

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クルミ:
【chara 102111 face 2 (joy)】 あなたのそばにも、あなたを支えてくれる人たちがいる……
だからあなたにも見つかるよ……! かけがえのない宝物が……!
私も、みんなのことを応援してるから……!

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クルミ:
【chara 102111 face 2 (joy)】 『……わたしは魔法少女ベルルちゃん☆
世界中の愛ある人々のために……
これからも祝福の音を鳴らしましょう!』

ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】 クルミの決め台詞が舞台に響き渡った瞬間、
観客席からは、壮大な拍手が送られたのだった。

--- Switch scene ---

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クルミ:
【chara 102111 face 1 (normal)】 はぁ……はぁ……っ!

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少女:
【chara 211 face 1 (normal)】 クルミ! 最後ちょっとアドリブ入ってたわよね?
【chara 211 face 2 (joy)】 すっごく良かったわよ!

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クルミ:
【chara 102111 face 2 (joy)】 え、えへへ……!

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団長:
【chara 4911 face 2 (joy)】 クルミちゃん、お疲れさま! もうひと踏ん張りだよ!
【chara 4911 face 6 (surprised)】 さぁみんなも、舞台へ上がって!

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少女:
【chara 211 face 2 (joy)】 クルミ! 

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クルミ:
【chara 102111 face 2 (joy)】 うん! 【chara 102111 face 6 (surprised)】 ……あれっ!?
お兄ちゃんは、一緒に行かないんですか……!?

Choice: (3) 本来はただの裏方だから。
----- Tag 3 -----
voice: vo_adv_1021012_045
クルミ:
【chara 102111 face 6 (surprised)】 そ、そんなことありません……!
あの時『ベルルちゃんのお兄ちゃん』がいたから
ベルルちゃんは最後まで頑張れたんです……!!

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クルミ:
【chara 102111 face 2 (joy)】 だからお兄ちゃんも、一緒に来てください……!
私の手……握ってほしいですぅ……!

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クルミ:
【chara 102111 face 2 (joy)】 ……お兄ちゃんが、手を握ってくれた……!
【chara 102111 face 1 (normal)】 恥ずかしくて、いつも『駄目』って言っちゃうけど……
でもね、本当は違うんだよ……

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クルミ:
【chara 102111 face 2 (joy)】 本当は私……お兄ちゃんのこと……
家族みたいな大好きじゃなくて……
もっと、もっと大きくて、特別な……っ! 

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少女:
【chara 211 face 1 (normal)】 行くよ、クルミ!!

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クルミ:
【chara 102111 face 2 (joy)】 うん! お兄ちゃんもっ!!

--- Switch scene ---

voice: vo_adv_1021012_051
全員:
【chara 1 face 1 (normal)】 ありがとうございましたっ!!

ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】 こうして観客の拍手喝采に包まれ、舞台は終演した。
観客が帰った後、熱気が残った舞台の裏では
劇団員たちが集まっていた。

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クルミ:
【chara 102111 face 4 (sad)】 ふぇ……っ!

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少女:
【chara 211 face 6 (surprised)】 えぇっ!? ちょ、ちょっとクルミ!?
どうして泣いてるの!?

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劇団員1:
【chara 811 face 4 (sad)】 あっ……!
まだ最初のこと気にしてるんじゃねーの!?

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劇団員2:
【chara 411 face 1 (normal)】 クルミちゃん、終わりよければ全て良しよ!
【chara 411 face 2 (joy)】 それに頭が真っ白になってる中、アドリブもできてすごかったわ!

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クルミ:
【chara 102111 face 4 (sad)】 はい……っ! ありがとうございます……!
全部出しきったはずなのに、悔しい気持ちとか、
楽しい気持ちとか……色々混ざって、涙が出ちゃいました……!

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クルミ:
【chara 102111 face 4 (sad)】 私、もっとお芝居うまくなりたい……!
それでもう一回、ベルルちゃんを演じたいです……!
ここにいるみなさんと一緒にっ!!

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少女:
【chara 211 face 1 (normal)】 クルミ……
【chara 211 face 2 (joy)】 ええっ! その時までに、私ももっと頑張るわ!

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団長:
【chara 211 face 1 (normal)】 【chara 4911 face 2 (joy)】 みんなクルミちゃんと同じ気持ちだよ。
劇団があろうとなかろうと、俺たちもお芝居を続けるつもりだ。
だから、その日を今から楽しみにしているからね。

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クルミ:
【chara 102111 face 4 (sad)】 ……っ!
みなさんにそう言ってもらえて……よ、良かったですぅ……!!

voice: vo_adv_1021012_061
少女:
【chara 211 face 6 (surprised)】 ほらほら、もう泣きやんで笑ってよ!
【chara 211 face 4 (sad)】 こうなったら……【chara 211 face 1 (normal)】 お兄さん、出番ですよっ!

Choice: (4) クルミの頭をたくさん撫でる。
----- Tag 4 -----
voice: vo_adv_1021012_062
クルミ:
【chara 102111 face 6 (surprised)】 わわっ!?
【chara 102111 face 2 (joy)】 ……え、えへへっ♪
急にびっくりしちゃいますよ、お兄ちゃん……っ♪

ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】 泣き笑いを浮かべるクルミに、舞台裏でどっと笑い声が響き渡る。
この公演は話題を呼び、劇団にはスポンサーがつくことになった。
のちに名女優を輩出した劇団として名を馳せるのは、遠い未来の話……