ユニ 第1話
自身の研究のためひとり平野を旅していたユニだが、日頃の栄養不足と運動不足が災いして道中へたり込んでしまう。そこを通りがかった{player}は、なぜかユニの探索に同行することとなった。
-------------- situation:
会食の効能とその経過観察
--------------
ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】
ある日、
{player}が街道を歩いていると、
草むらの陰から幼い女の子の声が聞こえてきた。
voice: vo_adv_1110001_000
???:
【chara 1 face 1 (normal)】
我が命運、もはやこれまでか。
voice: vo_adv_1110001_001
???:
【chara 1 face 1 (normal)】
ぼくとしたことが、やれやれ、
久方ぶりの探索行に、初心を失していたよ。
先立つ不幸を、故郷の老師たちは許してくれるだろうか。
voice: vo_adv_1110001_002
???:
【chara 1 face 1 (normal)】
顧みれば凡庸な人生だった。
ただ与えられた環境に甘んじて
水のように書を貪るだけの日々だった。
voice: vo_adv_1110001_003
???:
【chara 1 face 1 (normal)】
どうだろう、ロゼッタ。
ぼくの今日までは、世に何事かを遺せただろうか。
Choice: (1) 声の発生源に近付いてみる。
----- Tag 1 -----
--- Switch scene ---
voice: vo_adv_1110001_004
???:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
んあ?
誰か来たようだよ、ロゼッタ。
voice: vo_adv_1110001_005
???:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
はて……辞世を贈る友も家族もない孤高の生涯だったけれど、
【chara 111011 face 1 (normal)】
この通りすがりの少年に最期を看取られるというならば、
【chara 111011 face 2 (joy)】
それがきっと大いなる意志の繋いだ縁なのだろう。
voice: vo_adv_1110001_006
???:
【chara 111011 face 1 (normal)】
ふむ……折角だ、少年。
来世の土産に、君の名を教えてはくれまいか。
voice: vo_adv_1110001_007
???:
【chara 111011 face 2 (joy)】
{player}君か。
良い名だ、来世のために記録しておこう。
【chara 111011 face 1 (normal)】
めもめも……
voice: vo_adv_1110001_008
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
ぼくはユニ。
聖テレサ女学院の『象牙の塔』に学び、
名も知らぬこの平原で朽ちてゆく儚き魂だ。
Choice: (2) 子供……だよね?
Choice: (3) 大人……ですか?
----- Tag 2 -----
voice: vo_adv_1110001_009
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】
この未成熟で愛くるしい容姿が
得てしてそう誤認させてしまう事実にはもう慣れている。
【chara 111011 face 1 (normal)】
不便も多いが、いまは褒め言葉として受けとっておくよ。
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----- Tag 3 -----
voice: vo_adv_1110001_010
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】
難しい問いだ。
そうだと断言できるほど生きてはいないが、
違うと反発するほどの青さもすでにない。
----- Tag 4 -----
voice: vo_adv_1110001_011
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
いまのぼくは子供でもなく大人でもない、途中の時期。
少女から女へと移ろう蛹の季節だよ。
voice: vo_adv_1110001_012
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
同年代の一般平均に比して、
いささか発育が遅れているようだがね。
voice: vo_adv_1110001_013
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
しかし、おそらく君よりは年長だ。
ぼくのことは敬意と親愛を込めて
ユニ先輩と呼んでくれたまえ、{player}後輩。
Choice: (5) ユニ先輩、死にそうですね。
Choice: (6) ユニ先輩、元気そうですね。
----- Tag 5 -----
voice: vo_adv_1110001_014
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】
是非もないよ。
運良く救いの手でも差し伸べられない限り、
か弱きぼくは程なく無残に息絶えるだろう。
voice: vo_adv_1110001_015
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
ところで話は変わるが後輩、
君は「未必の故意」という言葉を知っているかね。
voice: vo_adv_1110001_016
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
たとえば真冬の凍える夜、酔った男が道端で眠っていたとして。
もしその男を起こさずに通り過ぎ、彼が翌朝凍死をした場合、
起こさなかった者には罪がある……という考え方だ。
voice: vo_adv_1110001_017
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
おっと失敬、つい話が脱線してしまったな。
通りすがりの君にはまったく関係ないトピックスだった。
【chara 111011 face 1 (normal)】
さて、ここからは君の社会通念に委ねよう。【chara 111011 face 2 (joy)】
よしなに。
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----- Tag 6 -----
voice: vo_adv_1110001_018
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
元気そう。ふむ。
【chara 111011 face 1 (normal)】
これだけ迫真の死ぬ死ぬアピールを重ねているにも関わらず、
元気そう、君はぼくのつやつやな顔色を見てそう言うのだね。
voice: vo_adv_1110001_019
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
見えているものが真実──
【chara 111011 face 4 (sad)】
そろそろ人類はそんな命題を覆す時期じゃないだろうか。
voice: vo_adv_1110001_020
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
捻くれたぼくの仮説に過ぎないのだけどね、
もとよりこの世界は虚飾に塗れていると思うんだ。
【chara 111011 face 1 (normal)】
なれば本質を見通す目こそが肝要だよ、後輩。
----- Tag 7 -----
Choice: (8) つまりどういうこと?
----- Tag 8 -----
voice: vo_adv_1110001_021
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
それをいつも探している。
ぼくらが生きることに、
つまりはどういう意味があるのだろう。
voice: vo_adv_1110001_022
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
翻れば、その問いこそが生きる本質なのではあるまいか。
【chara 111011 face 1 (normal)】
永遠に解かれぬ自問自答が、ぼくらの人生の伴奏曲。
voice: vo_adv_1110001_023
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
……ふむ、なに言ってんのという顔をしている。
【chara 111011 face 1 (normal)】
つまりだね、端的に換言すれば、
ぼくもうヘトヘトで何もする気が起きないよということだ。
voice: vo_adv_1110001_024
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】
さらに補足すれば、
おなかペコペコで頭もろくに回ってないよということだ。
voice: vo_adv_1110001_025
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
したがって、ぼくはいま雰囲気で喋っている。
我ながらぐだぐだと何を言っているのかよくわからない──
というのが、残念ながらこの実りなき対話の実情だ。
voice: vo_adv_1110001_026
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
そこでだ、後輩。
君は今、この虚無的状況をドラスティックに打開しうる
何らかのキーアイテムを持ち合わせてはいないだろうか。
voice: vo_adv_1110001_027
ユニ:
【chara 111011 face 2 (joy)】
具体例としては、
空腹がぴしゃりと治まる炭水化物、
あるいは疲労がぽんと取れるポーションなどだ。
Choice: (9) コッコロ謹製・塩むすびを分け与える。
----- Tag 9 -----
voice: vo_adv_1110001_028
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
お、おおお、これは……!
【chara 111011 face 7 (special_a)】
肉体疲労時の栄養補給に最適、
穀物の塩化ナトリウム漬けじゃあないか!
--- Switch scene ---
still display end
voice: vo_adv_1110001_029
ユニ:
【chara 111011 face 2 (joy)】
はふう……馳走さまであった。
voice: vo_adv_1110001_030
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
いやはや、悪かったな。
【chara 111011 face 1 (normal)】
そんなつもりではなかったのだが、まるで瀕死を装って
君の携行食を強引に裾分けさせる結果になってしまった。
voice: vo_adv_1110001_031
ユニ:
【chara 111011 face 2 (joy)】
おかげでいともたやすく生き返ったよ。
【chara 111011 face 1 (normal)】
やはり外へ出る日は、固形物での栄養摂取が必要なようだ。
【chara 111011 face 6 (surprised)】
食事か……【chara 111011 face 1 (normal)】
時代を問わず全人類にあまねく普及するわけだな。
voice: vo_adv_1110001_032
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
うん?
ああ、平素はもっぱらサプリ頼みなものでね。
【chara 111011 face 1 (normal)】
知らないかい、栄養物質を抽出して錠剤にしたものだよ。
voice: vo_adv_1110001_033
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
今日はとある探索行のため珍しく外へ下りてきたが、
【chara 111011 face 6 (surprised)】
平素のぼくは朝から晩まで『塔』に籠っていてね。
voice: vo_adv_1110001_034
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
運動量といえば本やペンを持つ程度の微々たるものだから
大して腹が減らないし、そも食事に時間を割くのが煩わしい。
voice: vo_adv_1110001_035
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
ん? なんだね。
ほう、食事は楽しい行為だと言うのか。
voice: vo_adv_1110001_036
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
たしかに、味覚への刺激は脳内物質の分泌を促す。
報酬系のそれを多幸感と捉える主観は否定しないよ。
【chara 111011 face 6 (surprised)】
ぼくに限ってはあまりそうと感じたことは多くないがね。
Choice: (10) 誰かと一緒に食べるともっと楽しい。
----- Tag 10 -----
voice: vo_adv_1110001_037
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
ふうむ……
voice: vo_adv_1110001_038
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
それはしばしば耳にする巷説だが、エビデンスに乏しくないかね。
【chara 111011 face 6 (surprised)】
個人的にはプラセボないしオカルトの範疇だと思っている。
voice: vo_adv_1110001_039
ユニ:
【chara 111011 face 2 (joy)】
とはいえ、いまの意見は希少な反証材料だ。
『塔』では、ぼくの持論に異を唱える者などいないからな。
【chara 111011 face 1 (normal)】
忘れないうちに記録しておこう。めもめも。
voice: vo_adv_1110001_040
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
うん?
ああ、さっき言った通りだよ。
【chara 111011 face 1 (normal)】
ぼくは学院に籍を置いている。
voice: vo_adv_1110001_041
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
しかし、一般の生徒とは少々事情が異なるんだ。
彼女らと顔を合わす機会はあまりないし、
言葉を交わすこととなれば尚更だ。
voice: vo_adv_1110001_042
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
ふむ……そうだな。
小間使いのような教員と多少の事務的なやり取りはあれど、
思えば君のような同年代との雑談は久しぶりやもしれぬ。
voice: vo_adv_1110001_043
ユニ:
【chara 111011 face 2 (joy)】
礼を言おう。
発する言葉にいちいち即時反応が返ってくるというのは、
分厚い論文を提出しても得られない、実に興味深い体験だ。
voice: vo_adv_1110001_044
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
どういうことか? 【chara 111011 face 4 (sad)】
いや、少しは考えたまえよ。
端的に換言するのは面映ゆいが、
つまりは君と話せて楽しかったということだ。
Choice: (11) じゃあ証明できた。
----- Tag 11 -----
voice: vo_adv_1110001_045
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
ほ? 証明とは、何の話だ?
voice: vo_adv_1110001_046
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
ああ、なるほど……
これが君の提唱する「誰かと食事をするのは楽しい説」か。
【chara 111011 face 2 (joy)】
一本取られたな、小賢しいじゃないか後輩。
voice: vo_adv_1110001_047
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
いや、しかし、どうだろうな。
【chara 111011 face 4 (sad)】
それをエビデンスと呼ぶには不確定要素が多すぎる。
voice: vo_adv_1110001_048
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
例えばだ。
ぼくは故郷の里に下りて以来、孤立している時間が長かった。
客観的に見ても、対人交流に餓えていたのは明らかだ。
voice: vo_adv_1110001_049
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
路傍の石をペットに見立てて気を紛らわす程度にはな。
【chara 111011 face 6 (surprised)】
そうだろう、ロゼッタ?
voice: vo_adv_1110001_050
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
以上の事実から、現状のぼくは大変に人恋しかったと知れる。
単に他者と会話ができた一点においてテンション爆上がり
という可能性が否定しきれない。
voice: vo_adv_1110001_051
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
この精神高揚に、食事行為がいかほど作用したかは未知数だ。
【chara 111011 face 6 (surprised)】
学会の連中ならば、さらなる検証と経過観察を求めるだろう。
voice: vo_adv_1110001_052
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
そこでだ。
さっき、ぼくは、探索の途中だと言ったな?
voice: vo_adv_1110001_053
ユニ:
【chara 111011 face 2 (joy)】
とある考古学的な自由課題に取りくんでいるのだが、
いわゆるフィールドワークというやつでね、
伝承にいわく『碧の深淵』なる場所を目指しているのだよ。
voice: vo_adv_1110001_054
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
さて、どうだろうか。
voice: vo_adv_1110001_055
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
おい、何をきょろきょろしている。
{player}後輩、君に聞いているのだ。
voice: vo_adv_1110001_056
ユニ:
【chara 111011 face 6 (surprised)】
もう一度言うぞ。
【chara 111011 face 1 (normal)】
か弱きぼくは単身、孤独な旅の真っ最中である。
さて、どうだろうか。
voice: vo_adv_1110001_057
ユニ:
【chara 111011 face 4 (sad)】
だから、きょろきょろするんじゃあないよ。
【chara 111011 face 1 (normal)】
ぼかあ君の意思を聞いているのだ。
voice: vo_adv_1110001_058
ユニ:
【chara 111011 face 3 (anger)】
ぼくとて先輩風を吹かせて同行を強要するほど鬼ではない。
選択権ぐらいは与えてやるさ。
【chara 111011 face 1 (normal)】
行くか行かないか、それは君が好きに決めればいい。
voice: vo_adv_1110001_059
ユニ:
【chara 111011 face 2 (joy)】
ところで後輩、
話はまったく変わるのだが、
東の果ての小さな島国に、こんな諺があるらしい。
voice: vo_adv_1110001_060
ユニ:
【chara 111011 face 2 (joy)】
旅は道連れ、世は情け。
【chara 111011 face 7 (special_a)】
大胆に換言すれば、
『人助け、ちょお大事』という意味だそうな。
voice: vo_adv_1110001_061
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
失敬、脱線したね。
あまりに脈絡のない豆知識だった。
voice: vo_adv_1110001_062
ユニ:
【chara 111011 face 1 (normal)】
というわけで、ぼくは独り寂しく危険な探索を再開するよ?
さて、どうだろうか。
ナレーション:
【chara 0 face 1 (normal)】
行間から吹きすさぶ先輩風に煽られ、
もはや選択肢もないまま
探索の同行を決意する{player}であった。